愛するときに話すこと Solace |
原題:愛するときに話すこと 사랑할 때 이야기하는 것들(サランハル テ イヤギハヌン コットゥル )<2006> |
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監督 | キム・デウ | <2006>愛 する時に話す こと |
出演 |
ハン・ソッ キュ(韓石圭) |
<1995>
ドクター・ポン、<1996>銀杏のベッド、<1997>ナンバー3、<
1997>グリーン・フィッシュ、 |
キム・ジス (金知秀) |
<2005>チャー
ミング・ガール、<
2005>拍手するとき発て(特別出
演)、
<2006>ロマンス、 |
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イ・ハヌィ | 出演作品一覧 |
【レビュー&ネタバレ】 |
動員数は21万人程度。 夏物語や国境の南側と共に、2006年メロー映画の興行失敗作の1つに挙げら れる作品。 22万人しか動員できず「公開するべきではなかった」とまで言われた国 境の南側よ り酷い。 最近<落ち目>と言われるハン・ソッキュの株を更に下げたという..... 同年主演の<殴打誘発者たち>も動員14万人だったため、 ハン・ソッキュはかなり叩かれまくっております.... ただ、興行に失敗したからといって、粗悪な作品かといえば、そうでもない。 興行に難しい作品。 お金を出してまで観るほどでも...... という映画。 ハン・ソッキュが主演した八月のクリスマスのように、 少しずつ近づいていく男女の過程を淡々と優しく描いている映画。 八月のクリスマス は、’死へのカウントダウン’という、せつなくドラマティックな展開ですが、 この映画は、どこか遠い話のように聞こえてしまう。 まるで、ニュースを見ているような。 カタルシスも、同情も、感じぬまま終わってしまう。 21万人は妥当な数字。 もっと少なくても不思議ではないと思いますが。 映画を観たというより、雑学が少し増えたという感じ。 好き嫌いが大きく分かれる映画であることは確かなので、 予告編を参考にどうぞ。 庶民的な街並みと、色褪せたノスタルジックな映像は嬉しくなるわ。 英題の' Solace ' とは、'慰め'という意味。 互いに重荷を抱える男女が、互いの存在により慰められる...... 傷を舐めあうような暗いものではなく、前向きに生きていくようになる物語。 最初は’心が慰められた’のかもしれませんが、’支え’へと変わっていくラスト。 重荷を抱えている人々へ捧げる映画..... そんな映画ですが、実際にこんな重荷を背負っている人には、 映画を観ている余裕などないものでしょう...... 自分が頑張っていることを知っていてくれる人、 見ていてくれる人、 そんな人がいるだけで、支えになり、前に進める..... その素晴らしさがイマイチ伝わってこなかった気がするのはmocaだけでしょうか。 主人公二人は輝くほどの笑顔で、キラキラ、イキイキとしておりますが.... この映画で、キム・ジスは性格までやつれた女性...... を演じております。 キム・ジスが演じるとガサツというよりも、男勝り程度ですが..... 演技変身を狙ったのかどうかは定かではありませんが、 やっぱりキム・ジスには、いつもの美しいキム・ジスが似合う。 ハン・ソッキュのメローはホントご勘弁願いたく.... 本人はまだ第一線にすがりたいのか、熱のこもったラブシーンは目を反らしたくなる。 キム・ジスとキスできてよかったわね....... と、嫌味の一つも言いたいくらい。 ハン・ソッキュは、当時42歳。 1964年(昭和39年)生まれといえば、 宅麻 仁、温水 洋一、阿部 寛、椎名 桔平、岸谷 五朗、などなど... 何を思うかは、皆様にお任せ。 この映画の一番の立役者は、イ・ハヌィでは? 端役から始まり、今では重要な役どころを演じるほどに..... mocaは、イ・ハヌィが出てくると嬉しくなりますね。 どんな役であっても、目が離せなくなる。 春のワルツのような 彼は、ちょっと観たくありません が...... 発達の遅れた兄。子供のような無邪気さを持ちながらも、大人の成熟した体も持つという役どころ。 イ・ハヌィの笑顔が無邪気で、可愛らしくなります。 韓国には、魅力的な助演俳優がたくさんいるので、彼らを見ているだけでも幸せです。 それはmocaだけではないようで... こんな記事にもなっております。 助演の役が主人公以上重要になり、トップスターよりむしろ、もっとキャスティング競争が熾烈で、1年始終忙しいスケジュールを消化するスター助演たちが ひっきりなしに登場している。 'A級' 助演俳優たちのギャランティーは、1億ウォンから1億 5000万ウォン。 ソン・ガンホ、ソル・ギョング、チャン・ドンゴンなど、5億ウォン以上ギャランティーを受ける'特A'主人公たちとの比較は20%位になる出演料だが、中 はさらに内容が充実している。 ドラマは出演する一回当たりの出演料を受けるが、映画はひとまずクレジットに名前が上げれば、登場するシーンに関係なく固定されたギャランティーを受け る。 主人公たちは出演分量も多く、1年に2作品以上の作品活動が難しいが、助演たちは出演分量も少なく、1年に何本も多様な映画に出演することができる。特に 主人公たちは興行結果に負担を持つが、助演は相対的に観客数にも自由だ。 なるほど..... キム・ジスの元不倫相手の弁護士が、<あの青い草原の上で>のスンミンこと、チェ・チェロにはビックリ。 カメオ出演なので、ほとんど映りません..... もう一度きちんと見てみたいですね。あのスンミンのような彼には出会えないでしょうけれど.... ハン・ソキュの母は.... <グリーン・ローズ>のコ・ス엄마(オンマ)!! 映画としては、人生に大きな重荷を抱えた男女が、映画を観たり、旅行に行ったりと、 久しぶりに恋愛を楽しむわけですが....... そんなロマンティックなものではなく、もっと現実的。 キム・ジス演じるヘランは、不倫相手と別れたばかりで、 結婚など考える余裕もないヘランにとっては、 楽な相手だった = 性欲だけ満たす相手 という感じであり、 インスとも、そんなデートを重ねるよりも先に、ホテルで体を重ねるわけです。 その時は、互いに特別な感情もなく、 現実を忘れるための、現実逃避のようなもの。 そして、少しずつ歩み寄って行く.... 自分が背負った重荷の話を、少しずつ相手に吐露しながら..... 借金を抱え、生きるのが精一杯の人間は、こんな風に荒んでいくもの。 妊娠した妹にも、「堕ろせ」の一言で、 それをなじられれば、「私一人で返せっていうの?お金が絡めば親兄弟もない」と。 それは、ヘランに限ったことでなく、それが人間。 血のつながった兄が疎ましくなる弟。 韓国は、日本と比較できないほど<血のつながり>を大切にする民族。 日本なんて、兄弟は他人に近い間隔では? 兄弟は<扶養の義務>があることも、あまりピンと来ない。 そんな韓国であっても、精神の発達の遅れた兄は重荷と感じてしまう。 そんな自分の中に存在する醜い部分を、なかなか他人に吐き出せるものではない。 二人は、しだいに苦しい胸のうちを打ち明け始める。 それは、相手を愛し始めていると気づき始めたから...... 愛したくても、自分には愛する余裕などない.... 「僕もヘランさんも、簡単にはいかないな」 そうして、二人は別々の道を歩き始める。 ヘランは、インスの言葉に衝撃を受ける。 兄さんなんていなければよかった.... ヘランは、反対していた妹に結婚式を挙げさせる。 インスは、施設に入れていた兄を引き取り、再び一緒に暮らし始める。 そして、兄が好きだった登山に一緒に行くインス。 兄と二人で撮った写真をヘランに郵送するインス。 インスの輝くばかりの笑顔は、本物だった。 僕は生きてます── ヘランは、記憶から消すことのできない懐かしい小学校の下校のメロディーを聴きに行く。 もう流れなかったらどうしよう.... そんなヘランの不安を拭い去るように流れるあのメロディー。 ヘランの表情も喜びでほころぶ。 インスの家の留守電に、そのメロディーを笑顔で録音するヘラン。 私も生きてます── |
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