愛するときに話すこと  Solace 
 原題:愛するときに話すこと 사랑할 때 이야기하는 것들(サランハル テ イヤギハヌン コットゥル )<2006>

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愛するとき話すこと

親切な町内薬剤師イング(ハン・ソッキュ)。兄インソプ(イ・ハヌィ)の問題を 除けば、職業も良く、 性格も良く、なかなか男前。しかし、精神の発達 が遅れている兄のために、結婚はいつも後まわしだ。

そんなイングの町内に東大門贋物デザイナーのヘラン(キム・ジス)が引っ越してくる。顔も可愛く、スタ イルも良いが、亡くなった父が残した莫大な借金のためにガメツク暮ら すので、恋愛はさておき、性格までやつれている。

過去の恋人の結婚の知らせに心が激しく乱れ、息苦しくなりビールを飲んだイング。そんな彼の薬局にヘラン が睡眠剤を買いにやってくる。睡 眠剤の代わりにビールの缶を差し出すイング。二人は一緒にビールを飲みながら、互いに好感を感じるようになる。

熱病のような愛ではないが、決して軽くもな い恋愛の始まり。映画を見て、旅行にも行きながら一緒に笑うことができた二人。しかし、愛する心が大きくなる ほど、現実の荷物も大きくなっていく。

そうするうちに、母の突然の死で兄の面倒を一人で看ることになったイングと、妊娠した妹が子供を堕ろして結婚を諦め ようとする状況に置かれたヘ ランは、難しく始めた愛をこれ位で終わりにしようとする。

【予告編】


監督 キム・デウ <2006>愛 する時に話す こと

出演

ハン・ソッ キュ(韓石圭)

<1995> ドクター・ポン、<1996>銀杏のベッド、<1997>ナンバー3、< 1997>グリーン・フィッシュ、
<1997>接続、<1998>八 月のクリスマス、 <1999>シュリ、 <1999>カル、<2002>二 重スパイ
<2004>スカーレット レター、<2005>ユゴ 大統領有故、 <2005>ミスター主婦クイズ王
<2006>恋の罠、<2006>殴打誘発者たち、 <2006>愛すると きに話すこと、<2008>目には目、歯 には歯
<2009>白 夜行-白い闇の中を歩く、<2010>2階の悪党

キム・ジス (金知秀)

<2005>チャー ミング・ガール、< 2005>拍手するとき発て(特別出 演)、 <2006>ロマンス
<2006>愛するときに 話すこと、<2006>ノートに眠った願いごと

イ・ハヌィ 出演作品一覧

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【レビュー&ネタバレ】
動員数は21万人程度。
夏物語国境の南側と共に、2006年メロー映画の興行失敗作の1つに挙げら れる作品。
22万人しか動員できず「公開するべきではなかった」とまで言われた国 境の南側よ り酷い。
最近<落ち目>と言われるハン・ソッキュの株を更に下げたという.....
同年主演の<殴打誘発者たち>も動員14万人だったため、
ハン・ソッキュはかなり叩かれまくっております....

ただ、興行に失敗したからといって、粗悪な作品かといえば、そうでもない。
興行に難しい作品。
お金を出してまで観るほどでも...... という映画。
ハン・ソッキュが主演した八月のクリスマスのように、
少しずつ近づいていく男女の過程を淡々と優しく描いている映画。

八月のクリスマス は、’死へのカウントダウン’という、せつなくドラマティックな展開ですが、
この映画は、どこか遠い話のように聞こえてしまう。
まるで、ニュースを見ているような。
カタルシスも、同情も、感じぬまま終わってしまう。
21万人は妥当な数字。
もっと少なくても不思議ではないと思いますが。
映画を観たというより、雑学が少し増えたという感じ。
好き嫌いが大きく分かれる映画であることは確かなので、
予告編を参考にどうぞ。
庶民的な街並みと、色褪せたノスタルジックな映像は嬉しくなるわ。

英題の' Solace ' とは、'慰め'という意味。
互いに重荷を抱える男女が、互いの存在により慰められる......
傷を舐めあうような暗いものではなく、前向きに生きていくようになる物語。
最初は’心が慰められた’のかもしれませんが、’支え’へと変わっていくラスト。

重荷を抱えている人々へ捧げる映画.....
そんな映画ですが、実際にこんな重荷を背負っている人には、
映画を観ている余裕などないものでしょう......

自分が頑張っていることを知っていてくれる人、
見ていてくれる人、
そんな人がいるだけで、支えになり、前に進める.....
その素晴らしさがイマイチ伝わってこなかった気がするのはmocaだけでしょうか。
主人公二人は輝くほどの笑顔で、キラキラ、イキイキとしておりますが....

この映画で、キム・ジスは性格までやつれた女性...... を演じております。
キム・ジスが演じるとガサツというよりも、男勝り程度ですが.....
演技変身を狙ったのかどうかは定かではありませんが、
やっぱりキム・ジスには、いつもの美しいキム・ジスが似合う。

ハン・ソッキュのメローはホントご勘弁願いたく....
本人はまだ第一線にすがりたいのか、熱のこもったラブシーンは目を反らしたくなる。
キム・ジスとキスできてよかったわね....... と、嫌味の一つも言いたいくらい。
ハン・ソッキュは、当時42歳。
1964年(昭和39年)生まれといえば、
宅麻 仁、温水 洋一、阿部 寛、椎名 桔平、岸谷 五朗、などなど...
何を思うかは、皆様にお任せ。

この映画の一番の立役者は、イ・ハヌィでは?
端役から始まり、今では重要な役どころを演じるほどに.....
mocaは、イ・ハヌィが出てくると嬉しくなりますね。
どんな役であっても、目が離せなくなる。
春のワルツのような 彼は、ちょっと観たくありません が......
発達の遅れた兄。子供のような無邪気さを持ちながらも、大人の成熟した体も持つという役どころ。
イ・ハヌィの笑顔が無邪気で、可愛らしくなります。
韓国には、魅力的な助演俳優がたくさんいるので、彼らを見ているだけでも幸せです。
それはmocaだけではないようで... こんな記事にもなっております。

助演の役が主人公以上重要になり、トップスターよりむしろ、もっとキャスティング競争が熾烈で、1年始終忙しいスケジュールを消化するスター助演たちが ひっきりなしに登場している。
'A級' 助演俳優たちのギャランティーは、1億ウォンから1億 5000万ウォン。
ソン・ガンホ、ソル・ギョング、チャン・ドンゴンなど、5億ウォン以上ギャランティーを受ける'特A'主人公たちとの比較は20%位になる出演料だが、中 はさらに内容が充実している。
ドラマは出演する一回当たりの出演料を受けるが、映画はひとまずクレジットに名前が上げれば、登場するシーンに関係なく固定されたギャランティーを受け る。
主人公たちは出演分量も多く、1年に2作品以上の作品活動が難しいが、助演たちは出演分量も少なく、1年に何本も多様な映画に出演することができる。特に 主人公たちは興行結果に負担を持つが、助演は相対的に観客数にも自由だ。

なるほど.....

キム・ジスの元不倫相手の弁護士が、<あの青い草原の上で>のスンミンこと、チェ・チェロにはビックリ。
カメオ出演なので、ほとんど映りません.....
もう一度きちんと見てみたいですね。あのスンミンのような彼には出会えないでしょうけれど....

ハン・ソキュの母は....
<グリーン・ローズ>のコ・ス엄마(オンマ)!!


映画としては、人生に大きな重荷を抱えた男女が、映画を観たり、旅行に行ったりと、
久しぶりに恋愛を楽しむわけですが.......
そんなロマンティックなものではなく、もっと現実的。
キム・ジス演じるヘランは、不倫相手と別れたばかりで、
結婚など考える余裕もないヘランにとっては、
楽な相手だった = 性欲だけ満たす相手
という感じであり、
インスとも、そんなデートを重ねるよりも先に、ホテルで体を重ねるわけです。
その時は、互いに特別な感情もなく、
現実を忘れるための、現実逃避のようなもの。

そして、少しずつ歩み寄って行く....
自分が背負った重荷の話を、少しずつ相手に吐露しながら.....

借金を抱え、生きるのが精一杯の人間は、こんな風に荒んでいくもの。
妊娠した妹にも、「堕ろせ」の一言で、
それをなじられれば、「私一人で返せっていうの?お金が絡めば親兄弟もない」と。
それは、ヘランに限ったことでなく、それが人間。

血のつながった兄が疎ましくなる弟。
韓国は、日本と比較できないほど<血のつながり>を大切にする民族。
日本なんて、兄弟は他人に近い間隔では?
兄弟は<扶養の義務>があることも、あまりピンと来ない。
そんな韓国であっても、精神の発達の遅れた兄は重荷と感じてしまう。

そんな自分の中に存在する醜い部分を、なかなか他人に吐き出せるものではない。
二人は、しだいに苦しい胸のうちを打ち明け始める。
それは、相手を愛し始めていると気づき始めたから......
愛したくても、自分には愛する余裕などない....

「僕もヘランさんも、簡単にはいかないな」

そうして、二人は別々の道を歩き始める。
ヘランは、インスの言葉に衝撃を受ける。
兄さんなんていなければよかった....
ヘランは、反対していた妹に結婚式を挙げさせる。
インスは、施設に入れていた兄を引き取り、再び一緒に暮らし始める。
そして、兄が好きだった登山に一緒に行くインス。
兄と二人で撮った写真をヘランに郵送するインス。
インスの輝くばかりの笑顔は、本物だった。

 僕は生きてます──

ヘランは、記憶から消すことのできない懐かしい小学校の下校のメロディーを聴きに行く。
もう流れなかったらどうしよう....
そんなヘランの不安を拭い去るように流れるあのメロディー。
ヘランの表情も喜びでほころぶ。
インスの家の留守電に、そのメロディーを笑顔で録音するヘラン。

 私も生きてます──




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