アドリブ・ナイト  Ad Lib Night 
 原題: とても特別なお客さん 아주 특별한 손님(アジュ トゥクピョラン ソンニム)<2006>

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ソ ウルの週末の午後、平凡に見える20代初めの女性ポギョン(ハン・ヒョジュ)は、道で偶然ギヨン(キム・ヨンミン)ら、見知らぬ青年から頼みごとを受け る。

彼らの故郷の村のミョンウンという娘の父が危篤なのだが、ポギョンがその娘ミョンウンとそっくりなのだと。青年たちは、頑としてポギョンにミョンウンの代 わりに臨終を見届けて欲しいと頑として引き下がらない。ポギョンは、彼らの切実な頼みに、迷いながらも同行することを決める。

ポギョンらは、闇に包まれた夕方になって、ようやく村に到着する。会うやいなや、ポギョンに敵対心を露にするミョンウンの初恋の相手ジホ(ヨ・ミング)、 そして、臨終を待つ家族と村の住人達は、ポギョンをそっちのけにし、ポギョンをどうするか様々な意見を取り交わす。どさくさまぎれに娘の代役をすることに なってしまったポギョンは、結局、そこで一夜を過ごすことになる。

日本公式サイト:http://www.adlib-night.jp/


【予告編】
監督 イ・ユンギ <2005>チャー ミング・ガール、<2005>ラブ・トーク、<2006>ア ドリブ・ナイト
<2008>素晴らしい一日

出演

ハン・ヒョジュ

出演作一覧
キム・ヨンミン <1998>太陽はない、<1998>エキストラ、<1999>顔、 <2001>受取人不明
<2003>春夏秋冬そして春、 <2003>私には私を破壊する権利がある、<2006>残 酷な出勤
<2006>アドリブ・ナイト、<2008> 慶祝!私たちの愛、<2008>素晴らしい一日

チェ・イルファ

<2001> ベサメムーチョ、<2004>小さな恋のステップ、 <2004> 春が来れば、<2005>王の男
<2006>韓半島、 <2006>アドリブ・ナイト、<2007>優雅な世界、<2007>同い年の家庭教師 レッスン2、 <2008>最高のパートナー、 <2008>素晴らしい一日、<2009>エジャ

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【レビュー&ネタバレ】
2006年11月、韓国公開。
原作は平 安寿子の「素晴らしい一日(こちらも2008年に映画化)の中のアドリブ・ナイト」

この映画は万人ウケする映画ではありません。
良い映画ですが、楽しめるのはごく一部。玄人向けといいますか....
いかにもインディーズ映画といった雰囲気で、ミニシアター映画が好きな方にはいいかもしれません。
映画祭などでは、評価されそうな映画ですね。
この監督の他の作品をご覧になった方なら、この監督の作風はわかると思います。

↑の予告編の動画は、「予告編」というよりも、「ミュージック・ビデオ」風ですね。
本編とはまーったく異なります!
予告編はメチャえー感じやないですか!
こりゃ、詐欺だゾ。

ちょっと「コメディー要素」があり、楽しめるのかなぁ?とも、期待しましたが、
その期待は思い切り裏切られました。
非常に真面目な映画。
人間の本質を真っ向から描いた作品。
「一人の人間の死を前に、人間はどうなるのか?」
人間の本音を赤裸々に、まるでドキュメンタリーのようなドラマです。
心から心配する者。
金目当ての者。
金目当てだと罵る者。
まるで家族のような、密なつながりを持つ小さな村の住人たち。
その罵りあいが映画の大部分を占めております。

その中で、淡々としているのがヒロイン、ポギョン。
人々の喧騒の中で一人、静かな暗闇の中、揺れ動くポギョンの心情...
ハン・ヒョジュは、この役に適役でしたね。
ハン・ヒョジュが嫌いでこの映画に手を出しておりませんでしたが、
(お熱いのがお好きで、ユン・ヒソクが気になりまして....手を出しました)
この映画のハン・ヒョジュは、自然で、イヤミのない演技を見せてくれました。

この映画は、人間の本質を赤裸々に描くと共に、
一人の女性(ポギョン)が、一つの希望を取り戻す物語。

両親や親戚、近所の人間など、疎ましい人間関係から逃れたくて出た都会。
そこで、生活の全てを自分で背負わなくてはならず、
生きる術もなく、人生に迷い、誤り.... そんな女性の心には響くものがあるかもしれません。




【イ・ポギョン】
ハン・ヒョジュ
【チャン・ギヨン】
キム・ヨンミン
【ジホの父】
チェ・イルファ
【ミョンウンの叔父】
キム・ジュンギ



【ジホの母】
イ・ヒョンジョン
【ミョンウンの叔母】
シン・ヨンジン
【チェ・ヨンス】
イ・ジャンウク
【ナム・テクチョン】
ユン・ヒソク
【キム・ジホ】
ヨ・ミング
【ジホの妹ジニョン】
クォン・ダヒョン
【近所の女性ソニ】
イ・スンヨン
【看護婦】
チョン・ジョンア

春夏秋冬そして春のキム・ヨンミンや、優雅な世界のチェ・イルファ、
ドラマ「白雪姫」のヨンヒの親友ジュリだったチョン・ジョンアなどが出演。

* * *

結 末までネタバレしちゃいますので、ご注意を!

* * *

この映画の一番の関心は、ポギョンは実はミョンウンではないか?
そう疑わせるような展開が見られること。
中学生の頃ソウルへと家出し、母の葬儀にさえも戻らなかった娘ミョンウン。
帰るはずもない娘のために、新品の洋服などを買い揃えていたミョンウンの両親。
そんな両親の気持ちを悟り、ミョンウンの靴下に履き替えるポギョン。
しかしそれは、自分の両親の気持ちと重ね合わせていたのでしょう。
ミョンウンの父の臨終の時、父の手を取り、耳元で何か囁くポギョン。
きっとそれは、ミョンウンとしてミョンウンの両親の気持ちを汲み取ったポギョンの行動。
何を囁いたかは、最後まで明らかになりませんが、
きっと、ミョンウンとしての両親への謝罪の気持ちではなかったでしょうか。

大人になれば、金のこと、生活のことで、ズルく、汚くなっていく.....
それでも、人間らしい気持ちを失くしたわけでなく、
ミョンウンの父の死を心から悲しむ面々....
しかし、悲しみに暮れるだけでなく、そつなく葬儀への準備を整えていく....
その中にも、人間らしい可愛らしさが見え隠れし、
人間は悪でもあり、善でもある、
それはポギョンにも言えることで、
この家で過ごした一夜により、自分を省み、
新たな一歩を踏み出す。
疎ましかった両親への気持ちの変化。
両親の娘への想い、それがポギョンが得た最も大きな収穫だったのではないでしょうか。
両親が悲しむことをしていた自分。
両親が知ったら、どれだけ悲しむか.....
そんな生き方をしていた自分に、今日でサヨナラ........





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