モダンボーイ   Modern Boy  
 原題:モダンボーイ 모던 보이(モドォン ボイ)<2008>

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1937年の日帝強制占領時代。
朝鮮総督府1級書記官イ・ヘミョン(ペク・ヘイル)は、親友の日高晋介(キム・ナムギル)と共に遊びに行った秘密クラブで、ダンサーとして登場した女性 チョ・ナンシル(キム・ヘス)に一目で魅惑される。

あらゆる方法を駆使し、夢のような恋愛を始めるが、幸福も束の間。ナンシルが包んでくれた弁当が総督府で爆発し、彼女はヘミョンの家の中を物色 し、跡形もなく消えてしまう。

ナンシルを探して京城を彷徨うヘミョン。彼が知った事実は、彼女が名前も多数、職業も多数、男さえも多数の正体不明な女性ということ。

押し寄せる危機感の中でも彼女へ向けた情熱を止められないヘミョン。手のほどこしようもない歴史の渦の中に入り込んだ彼は、またどんな驚くべき事件 に遭うことになるのだろうか。愛と運命を賭けた一生一代の危険千万な追跡が繰り広げられる。
【予告編】
監督 チョン・ジウ <1999> ハッピー・エンド、<2005>親 知らず、<2008>モダンボーイ

出演

パク・ヘイル (朴海日)

出演作品一覧

キム・ヘス (金恵秀)

出演作品一覧

キム・ナムギル 出演作品一覧
 
【イ・ヘミョ ン】
朝鮮総督府1級書記官
パク・ヘイル
【チョ・ナンシ ル】
ローラ(ダンサー、歌手)
キム・ヘス
【日高 晋介 (ひだか しんすけ)】
日本人高等検事/ヘミョンの親友
キム・ナムギル
 
【ペク・サン ホ】

キム・ジュンベ
【おおがい】
ローラのマネージャーで従兄
キム・ヨンジェ
【ヘミョン の父】
イ・スンネ
シン・グ
【文化クラブ  マダム】

イ・カニ

パク・ヘイルは、1977年1月生まれ
キム・ヘスは、1970年9月生まれ
二人の間には6歳もの年齢差があるわけですが、その年齢差を感じさせないほど、
キム・ヘスが若く美しく見えてしまう。
恋をしているからでしょうか?(謎)

主演はパク・ヘイルでありながら、キム・ヘスの方が主演のような目立ちぶり。
スイングダンスを踊るは、 日本語のブルースをせつせつと歌うわ。

それでも、パク・ヘイルは地味ながらも、どんな役も自然に演じきる、
名優だと痛感させられます。

キム・ナムギルは勿体ないですねー
まだブレイクする前とはいっても、この程度の役に納まるような器ではないのにー
日本人役だから、これまた日本語の違和感もあり、残念で仕方がありません。

「おおがい」役は、ドラマ【魔王】のソクチン、【このろくでなしの愛】のボック兄ミング。
うっすーい顔の上に、扮装しているような役柄なので、気づきませんでしたワぁ。

mocaの大好きなシン・グ
なんかいつもと雰囲気が違う(髪の色&キャラ?)ので、いまいち嬉しくない。

「美しいなぁ」と思ったら、イ・カニ。
でも、やはり老いには逆らえないのでしょうか?以前のまばゆいばかりの美しさとは、また一風違った熟女の雰囲気。

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【レビュー&ネタバレ】
2008年10月韓国公開。観客動員数は、約77万人。

2008年は、ワンス・アポン・ア・タイム、 ラジオデイズなど、近代京城をモチーフとした映画が多い。
この映画は、約100億ウォンの制作費が投入された大作。
しかし、その制作費のほとんどは、「近代京城の街並み」を制作するのに使われたのでは?
という感じですね。
既存の近代京城のセットでは満足できず、納得いく街並みを作ったそうで...
そんなことに力を注ぐより、映画の内容に力を注いで欲しかったですねぇ....
ハッピー・エンドでは、ゾクゾクするよう な才能を感じたのに、親知らずでガッカリ。
ハッピー・エンドだけが、ま ぐれだったとしか思えない。

モダンボーイは、 週末ボックスオフィス1位を記録。
当時、同時期に公開され争っていたライバルは、Go Go 70's
どちらも、たいした映画ではありませんで.....
しかし、1週目の累積観客40万9千504人。1週目で全累積観客数の半数以上を越えてしまっている。
観客数が、しりすぼみになっていく作品は、観客の反応が良くなかった証拠。

見応えのない映画であることは、断言できますとも!←ホントか?

見所といえば、キム・ヘスだけですね。
スイングダンスまで踊り、日本語でブルースを完璧に歌い上げました。
キム・ヘスが歌った曲は、日本の「Ego-Wrappin」が
1930年代ダンスホール音楽をモデルに作ったという「色彩ブ ルース」
1936年代にアメリカで作られヒットしたジャズ曲「Why don't you do right !」
キム・ソウォル詩人が1930年代初期に発表した詩に、
イ・ヒモクが曲を付けた「小川」の韓国語と日本語バージョンの計4曲。
「色彩ブルース」は、3ヶ月間のボーカルトレーニン グで、半分以上の時間と努力を費やしたそうだ。
吹き替えだと思ってしまうほど完璧。
日本語のアクセント、透明感のある声で抑揚たっぷりにせつせつと歌い、
それとは相反するパワフルな歌声も披露する。

この映画は、「モダンボーイ」というタイトルからイメージする内容とは、かけ離れた映画。
一目惚れした女性ナンシルに何度も裏切られ、苦渋を舐めさせられても、
結局、ナンシルの元へと心は戻ってしまい。
ナンシルを失った後には、ナンシルの意思を引き継ぐ男の純愛。
しかし、この純愛ぶりも薄っぺらい。
危険を承知で、命を賭けてナンシルを愛するヘミョンの一途さが、
一番の見所であるはずなのに、「朝鮮独立運動」を描く上での背景と化してしまっている状態だ。
「朝鮮独立運動」が、いかに悲しい出来事であったか、
それを心の琴線に訴えるためだけの...

結局は、この映画は「日帝時代」の朝鮮人の痛みと、
「朝鮮独立運動」の悲しみがメインになっている。
訴えたかったのは、そこなのだ。

この映画は、相当な 反日映画です。
食客の反日描写ですら、「反日描写を 削除せねば買い入れない」と随分モメましたし、
この映画は、丸ごと反日描写な上に、特に見応えのある作品ではありませんので、
日本輸入は難しいかもしれませんね。

日本人の国民性は生真面目で善良だそうです。(一部除外)
この映画を観たら、ナンシルに感情移入してしまい、自虐的になってしまうと思います。
韓国人だって同じです。
この映画を観れば、反日感情が高まるでしょう。

何といっても、朝鮮人は朝鮮人で、日本人は、「皇国臣民」
一つの国になったわけではないのです。
「朝鮮人」と侮蔑される心の痛みがわかりますか?
その屈辱を長い間味あわせられたら、人間、精神がおかしくなりますよ....
国を奪うべきではありません。

今大切なのは、過去を掘り起こすことよりも、未来に向かうにはどうすべきかです。
日本人ばかりが自虐的になりすぎてもよくありませんし、
韓国人が過去にこだわり反日精神を持ちすぎることもいけません。
そして、痛みだけではなく、日帝時代に受けた恩恵も認めるべきでしょう。

歴史は深いです。
一つの映画に感情を左右されてはいけません。
映画を観るに当たって、これはフィクションだ!と、心得て、映画を楽しむだけに留めるべきですね....
単に、「悲しいラブストーリー」として、捉えて鑑賞してくださいませ。
「悲しい」というほど、深い映画じゃないですが。
悲しいのは、ラストだけ(苦笑)

この映画を一言で言えば、「朝鮮独立運動の、とある1つのエピソード」というところでしょうか。
京城一のモダンボーイが、「朝鮮独立運動」に関わっていく過程を描いた。
そして、日本人である高等検事シンスケとの友情。
国を越えて結ばれていた二人の友情は、ヘミョンがナンシルを愛してしまったことで、崩れてしまう。
ヘミョンは、シンスケの敵を愛してしまったのだから。
けど、この友情劇もまた、うすっぺらーいのよね、描き方が。



京城(現:ソウル)一のモダンボーイ、ヘミョン。
靴から服、時計まで、身につけるモノは超一流品。
富豪の父を持ち、東京大学を卒業し、
現在は朝鮮総督府1級書記官。
朝鮮人ではエリート中のエリートだ。
街を歩けば女学生が黄色い声で騒ぎ立てるほどの
モダンボーイ、ヘミョン。
日帝時代において、豊かで悩みのない人生だ。



そんなある日、東京大学時代の同級生シンスケが、
高等検事として赴任してくる。
朝鮮に興味があった日本人のシンスケと、
朝鮮人のヘミョンは、深い友情を分かち合った友だ。



ヘミョンは、文化クラブへとシンスケを連れて行く。
そこで、大人気の「ローラとモダンボーイ」のステージを目にし、一目でダンサーで歌手のローラに魅惑される。
文化クラブのママにローラを呼ぶよう頼んでも、
「あんたが相手にできる相手じゃないわ」
と、あしらわれてしまう。
何とかローラに近づきたいヘミョン。
シンスケは、簡単だと言い放つ。
それどころか、ローラの方から近づいてくるよう
仕向けることさえできると。





シンスケは部下を使い、ローラの従兄でありマネージャーである「おおがい」を拉 致する。


数日後、ローラが朝鮮総督府のシンスケを訪ねて来る。
文化クラブのマダムに紹介されたと。
ローラは、従兄が行方不明になった、探して欲しいと懇願する。
ローラの相談を受けたのは、シンスケになりすましたヘミョン。ヘミョンは必ず捜し出すと断言する。
昼間はデザイナー(でも、縫製もするのよね)のローラこと、チョ・ナンシル。
ヘミョンはナンシルの勤める店にあしげく通い、
ナンシルに近づいていく。
しかしある日、雑誌に載っている
「ヒダカ シンスケ」の写真を見て、
ヘミョンに騙されていたことをナンシルは知ってしまう。




ヘミョンはナンシルの店に、
オーダーしたスーツを取りに行く。
すると、ナンシルが自分がオーダーしたスーツを着ていた。
「なぜ、あなたの服が私にピッタリなのかしら。
袖が少し長いけど」
ナンシルは言い放つ。
そしてナンシルは、ヘミョンを散歩へと誘う。
ナンシルはシンスケの写真が掲載されている雑誌の
切り抜きをヘミョンに突きつける。
「総督府に勤めているのはウソじゃない。
従兄は必ずみつける」と、ヘミョンは必死に言い訳する。

ナンシルと結ばれ、夢のようなヘミョン。
しかし、その甘い時間も束の間だった。



ナンシルは早起きし、ヘミョンのために弁当を作り、
出勤するヘミョンに持たせた。




しかし、とんでもない事件が起きる。
ヘミョンがシンスケの部屋にいる間に、
ヘミョンの所属する部署の部屋が爆破されたのだ。
爆発物は、弁当に仕込まれていた。
そして、爆発の威力で焼け跡の残った
ナンシルが持たせた弁当の包み。
ヘミョンは、青ざめる。

急いで家に戻ったヘミョン。
しかし、ナンシルは跡形もなく消えていた。
その上、金だけでなく、一流品を揃えていた
ヘミョンの靴から服、時計などの持ち物まで
持ち出されていた。
愕然とするヘミョン。




ヘミョンはナンシルの居所を探すために、
文化クラブへやってくる。
しかし、クラブのマダムを見て驚愕する。
激しい暴行の跡。
「日本の警察が来たのよ!」
マダムは、ナンシルのせいで警察にヤラれたことを訴える。
マダムは語る。
「ローラがステージに立てば、
西大門外にあるサムヤン牧場のミスター・リーから
連絡があるの。
ナターシャの公演準備ができたと」
ヘミョンには意味がわからない。
「ローラが、ナターシャよ。
恐らく、10以上の名前を持っているはず」
マダムは語る。
サムヤン牧場に向かい、ミスター・リーを問い詰めるヘミョン。何とミスター・ リーは、「イ・ヘミョン」と名前の入った、
ヘミョンの靴を履いていた。
「これ、おじさんの靴?ごめんよ」
ミスター・リーは素直に謝り、話し始める。
今日の集会にはナンシルは来ないと。
そして、ナンシルは、ある男と別行動しているという。
その男は、テロ・パク。
その時、牧場に警察が乗り込んできた。
慌てて逃げるミスター・リーと、ヘミョン。

逃げのびたヘミョンは、ミスター・リーを問いただす。
テロ・パクとは、誰か?
「上海やフランスで起きた爆破事件の犯人が、
テロ・パクだと。
テロ・パクはハンガリー人から技術を習い、
東北アジアでは、最高の爆破専門家だと」

ヘミョンの家から盗んだ靴を、逃げる時に失くしたと、
ミスター・リーは惜しがる。
「もう忘れろ」
ヘミョンは言い放つ。
「どうせ、国も、恋人も失ったんだ...」
ヘミョンはつぶやく。


ヘミョンは、ペク・サンホを訪ねる。
朝鮮独立運動に関わる人間をサポートしている人間だ。
かつてはヘミョンの父も、サンホを援助していたが、
あまりの長い痛みに耐えられなくなり、
サンホへの援助も見切った。
ヘミョンは、ナンシルがいなくなったことを告げる。
「俺の愛する人だった」
サンホは困ったように告げる。
「女と犬は、常に逃げるものだ」と。
諦めて帰りかけるヘミョン。
その時、部屋の音楽が流れてきた。
「ナンシルの声だ!」
ヘミョンは、ドアを蹴破り部屋に押し入る。
しかし音楽は、レコードから流れていた。
「ナンシルの声だ、間違いない」
しかし、その歌は、石田耀子という歌手が歌っていた。
ヘミョンは、石田耀子のコンサートに出かける。
そして、石田耀子の後ろに、怪しげな影をみつける。



楽屋裏に忍び込むヘミョン。
なんとそこで、ナンシルが石田耀子の代わりに歌っていた。
ナンシルは、石田耀子のゴーストだったのだ。
ヘミョンの姿をみつけると、ステージそっちのけで逃げ出すナンシル。
必死に追うヘミョン。
ようやくナンシルを捕まえるヘミョン。
約束があると立ち去ろうとするナンシルに、
ヘミョンは言い放つ。
「誰とだ?爆破の専門家か?テロ・パクとは誰だ?」
ナンシルは答えず、しっかり聞けと前置きし、
「もうすぐ独立するのだ」と、告げる。
そして、ヘミョンを侮蔑する。
「総督府の職員が、こんな風に遊んでるなんて」と。
その言葉に、ヘミョンは逆上する。
「俺は言ったじゃないか。独立の助けをしたいと。
それに、この前の弁当。
ホントに美味くてしょうがなかったよ」
しかしナンシルは、冷たく言い放つ。
「二人といない親日派のサボリ魔!」
その言葉は、ヘミョンの逆鱗に触れる。
「俺が親日派のサボリ魔だから、
弁当に爆弾を入れたのか?あんなものを食えと?」
ヘミョンは、ナンシルの腕に噛み付く。
そして、二人は取っ組み合いになる。
しかしナンシルは、弁当爆弾のことを認めない。
「一生懸命早起きして作ったのに、爆弾だと?
私の作った玉子焼きが、爆弾だと!」
泣きわめくナンシルが、嘘を言っているようには思えない。
自分が勘違いした?と、悩むヘミョン。
「ゴミの未来は、何だかわかる?」
ナンシルは言い放つ。
「ゴミ箱に行くしかないの。わかってるの!」
悔しくて慟哭するナンシルを、なだめるヘミョン。
「お金は返すわ。あの時は、他に方法がなかったの。
事情を正直に話せば、
あなたは、そのままお金をくれるはず。
あなたはそういう人でしょ?」
ナンシルは問う。


結局ヘミョンはナンシルを連れ帰り、
またもや、元の鞘へ納まる。

外でディナーの約束をしたナンシル。
しかしそこへ、行方不明だった従兄「おおがい」を連れてやってくる。
気が触れてしまった「おおがい」
「拷問されて、おかしくなってしまったの」
ナンシルは言い放つ。
ヘミョンは言葉も出ない。
シンスケは、「おおがい」を拉致して何をしたのだ?






ナンシルは、またもや弁当を持たせようとする。
ヘミョンは、やんわりと断る。
「何も言わずに持って行ってはくれないの?」
ナンシルの悲しそうな表情に、
ヘミョンは弁当を受け取ってしまう。
せつない表情で、ヘミョンを送り出すナンシル。


同僚らがヘミョンの弁当をみつけると、
面白がって、勝手に弁当を開けてしまう。
その弁当には何と!太極旗がかたどられていた!
慌てふためくヘミョン。ここは、総督府だ。
太極旗など、ご法度だ。
慌てて弁当を奪い、形を崩し、ごまかすヘミョン。


弁当を前に、ナンシルの意図に困惑するヘミョン。
そこへ、シンスケの部下がやってくる。
シンスケが呼んでいると。

しかし待っていたのは、取調室での尋問だった。
ナンシルら、「私愛団」のアジトであるサムヤン牧場に
置いてきてしまったヘミョンの名が入った靴と、
ヘミョンの車のナンバープレート。
ヘミョンがあの場所にいたことは明確だ。
「シンスケを呼んでくれ」
ヘミョンは必死に訴える。
しかし、その訴えは聞き入れられない。
そして、ヘミョンはとんでもない事実を知らされる。
テロリスト・パク。
つまり、テロ・パクは、ナンシルの夫だと。
認めたくない事実。
存在すら知らないテロ・パクへの嫉妬心のせいで、
ヘミョンは、ハサミで耳を切られ、拷問を受ける。







その頃、シンスケはヘミョンとの友情に揺れていた。
ヘミョンは、自分との友情よりも、ナンシルへの愛を取った。
シンスケは、ヘミョンとの友情よりも、
職務を全うすべきかと。


その頃ナンシルはヘミョンへ置手紙を残し、
またもや姿を消してしまった。
今度は、家財道具一切全て持ち出して。
そして、ナンシルの仲間がヘミョンへの置手紙の入った
蓄音機(?)まで持ち出してしまい、
結局、手紙は渡らずじまいになってしまった。














取調室へシンスケがやってくる。
ヘミョンは助けが来たかのように、シンスケにすがる。
しかしシンスケは、冷たくヘミョンを突き放した。
まるで罪人のように、ヘミョンを厳しく問いただした。
ショックを受けるヘミョン。



釈放されたヘミョン。
「鎮痛剤だ」
シンスケは、そう言って薬だけ渡して去って行った。

またもや姿を消したナンシルに、ヘミョンは心を痛める。
それでも会いたいナンシル。
ヘミョンは、「おおがい」の元を訪れる。
「西竺堂へ行け」
「おおがい」は、告げる。
急いで西竺堂へ向かうヘミョン。
そこでヘミョンは、
パク・サンホとナンシルが密会しているのを目撃する。
ヘミョンは、パク・サンホを金にモノを言わせ問い詰める。
ナンシルはどこだ?カバンの中身は何だ?
「一つ確かなことは、ナンシルがテロ・パクと一緒にいるところを見たことがない」
パク・サンホは告げる。
「一度失った国と、二度消えた女を取り戻すのと、
どちらが難しいか」
パク・サンホは、笑う。
「ナンシルが危険なんだ!」
ヘミョンは、激怒する。
「ナンシルは、踊っている...」
サンホは、それだけ告げた。
文化クラブへやってきたヘミョン。
そこで、見覚えのあるズボンを履いた男をみつける。
すばやくズボンの裏を見るヘミョン。
そこには、「イ・ヘミョン」と、書かれていた。
ヘミョンの家から持ち出されたズボンだ!
こいつは、ナンシルの仲間だ!
ヘミョンは、逃げる男を追いかける。
文化クラブへつながった秘密の通路を抜けて行く男。
そこもまた、ナンシルの仲間らのアジトだった。
ヘミョンは、総督府の人間だと、身分がバレてしまう。
そして、拳銃を向けられる。
そこへ、ミスター・リーと、ナンシルがやってくる。
拳銃を向けられたヘミョンに驚くナンシル。
「この方は、総督府の情報を流してくれた人よ」
ナンシルは、嘘をついてヘミョンを庇う。
「このアジョシは、僕らを助けてくれたんだ。本当だ」
ミスター・リーも、ナンシルを後押しする。
しかし仲間は信じない。
「靴や服、蓄音機まで売って、
活動資金を提供してくれたのは、この方よ」
ナンシルは必死でヘミョンを助け出そうとする。
しかし、仲間はなかなか受け入れない。




困り果てたヘミョンは、とんでもないデマカセを言い出す。
「俺がテロ・パクだ。ナンシルの夫の」と。


ナンシルの仲間は、カバンを取り出す。
いつか西竺堂で、サンホから受け取ったカバンだ。
その中には、燕尾服が入っていた。
その燕尾服は、テロ・パクのサイズに合わせて
あつらえたもの。
本当にテロ・パクなら、ぴったりサイズが合うはずだ。
ヘミョンは、恐々と燕尾服に袖を通す。
どうしたことか、その燕尾服はヘミョンのサイズにピッタリだった。
ホっとするナンシルとヘミョン。
そしてナンシルは言い放つ。
数日前から情報が飛び交っていたの。
裏切り者がいると。
同志を疑うべきではないけれど、
満州事変勝戦式典での重要な任務がある。
試す他になかった。
幸いにも、こちら側からは漏れてないようね。
「今すぐ発て!今じゃないとダメだ」
ヘミョンはナンシルを説得する。
ナンシルは受け入れない。
「あなたがテロ・パクですって?」
ナンシルは責める。
「ナンシルの男になるには、テロ・パクになるしかない」
ヘミョンは言い放つ。
「あなたが着ているその服は、衣服爆弾なの!」
ナンシルは、言い放つ。
服の中身を見て、ヘミョンは言葉も出ない。
「でも、なんで俺のサイズなんだ?
誰のために作ったんだ?」
ナンシルは質問に答えず、
「もう、妨害しないで」と、言い放つ。
そこへ、仲間らが戻ってくる。
シンスケや警察がやってきたと。


どうしていいか困惑するナンシル。
「シンスケは全てを知っている。
君を捕まえないのは、捕まえられないんじゃなく、
泳がせているだけだ。テロ・パクを捕らえるために」
ヘミョンは、真実をナンシルに告げる。
動揺するナンシル。

ヘミョンはローラになりすまし、ステージに立つ。
その間にナンシルらは、別の通路から脱出する。



ステージが終わると、ナンシルの仲間から、
手紙を渡される。
いつかナンシルが消えた際に書いた置手紙だ。


ヘミョンは、シンスケらの前に投降する。
「ナンシルの代わりに公演まで?次は何をする?」
シンスケは尋ねる。
「爆弾でも投げようか?」
ヘミョンは、震えながら冗談を言う。
シンスケはボトルごと酒を呑み、ヘミョンに呑めと渡す。
「ヘミョン、俺達の友情を維持できない理由は何だ?」
シンスケは尋ねる。
「お前は大日本帝国の皇国臣民で、
俺は朝鮮人じゃないか」
シンスケは、ヘミョンの言葉に何かを感じたようだ。
再び酒を口にすると、
「勝戦の記念式典には来てくれるな?」
と、招待状を渡す。
「今日も、パク・テロを逃したようだ」
そう言うと、「行け」と、ヘミョンの肩を叩く。




「いくら奪われた国を取り戻すにしても、
それでどうなると?
生きていてこそ、朝鮮語で歌えるんだ。
それが”幸福”じゃないのか?
生きていることが」
ヘミョンは、ナンシルに告げる。


ヘミョンは、ナンシルからの手紙を読み上げる。

ヘミョンさんへ
今日は、あなたを再び裏切って発ちます。
あなたと離れたくないけれど、
そうするしかない私を許してください。
良い恋人になれなくて、ごめんなさい。
従兄が、あんな姿で戻った後、
あなたにお弁当を持たせ、
離れるしかなかった私を許してください。
私という存在が、悪い女としてしか残らない事実が、
耐えられないほど辛い。
あなたへの愛の代わりに、
祖国を選択するしかない私を理解してください。
あなたを愛しています。
ナンシルの本心を知ったヘミョンは、
ナンシルを優しく抱きしめる。

翌朝、ヘミョンは記念式典に向かう。
「本当に、テロ・パクになってくれるの?」
ナンシルは尋ねる。
「もちろん」
ヘミョンは、そう言いきって去って行く。
衣服爆弾の燕尾服を着て。


貴賓が並ぶテーブルに近づいていくヘミョン。
覚悟を決め、ポケットチーフを抜くヘミョン。

しかし、爆発しない。
しかも、手にしているのは、太極旗だ。



慌てて燕尾服の中を確認するヘミョン。
そこには、爆弾など仕掛けられておらず、
代わりに、ガラクタが詰まっていた。
「あの女!」
ヘミョンは、逆上する。

立つ瀬が亡くなったヘミョン。
太極旗を手にすると、「朝鮮独立万歳!」と、叫びだす。
(これが、おかしくて笑っちゃうんだけど)
警察に連行されていくヘミョン。
式典に参列していたヘミョンの父は、
息子の行く末を案じて、力が抜けてしまう。






「どうして!どうしてなんだ!!」
シンスケはヘミョンを責め立てる。
しかしヘミョンは笑い出す。
「ナンシルは、俺が生きることを望んだ」と。
複雑なヘミョンの気持ちを知り、
シンスケも、何も言えない。


ヘミョンを乗せた護送車が、襲撃される。
爆破され、横転してしまう。




護送車の幌が開き、
ミスター・リーが、ニヤリと笑う。

サンスは、ヘミョンに手錠の鍵を渡す。
「テロ・パクは人間じゃない。衣服爆弾のことだ」
手錠を外しかけたヘミョンは、
サンスの言葉に驚き、慌ててナンシルの元へ向かう。






記念式典では、石田耀子の公演が行われていた。
もちろんナンシルは、裏方で歌っていた。
衣服爆弾の燕尾服を着て。

せっかく助けたヘミョンの命。
なのに、なぜまたやってきたのかと、ナンシルは責める。



ナンシルは、ヘミョンの手にかかっていた手錠を
ステージの骨組みにくくり付けてしまう。
愛する男を前に、困惑し、嗚咽するナンシル。
「前に言った言葉、覚えてるか?
一緒に満州に行って、庭の広い家を買って、
俺達の子供を生んで、
台所で、美味い料理を作り、仲良く暮らしたい、と。
覚えてるか?」
ヘミョンは、ナンシルに問う。
頷くナンシル。
「そうしよう」
ヘミョンは、ナンシルを説得する。
頷くナンシル。
ナンシルの隙をついて、ナンシルを抱きしめるヘミョン。

「私達、必ずそうしよう」
ナンシルはそう言って、ヘミョンから離れて行く。



涙を流しながらステージに立つナンシル。
「生きたい....」
そうつぶやくと、一気にポケットチーフを抜く。


記念式典の会場は爆破される。




爆破の状況を、呆然としながらみつめるヘミョン。
ナンシルを止められなかった....

時は流れ──

銃を調達し、新たな任務を計画するナンシルらの仲間。
そして、そこには、ヘミョンの姿が。
銃を背負ったヘミョン。
そこには、かつての「モダンボーイ」の面影はなかった。
愛する女性を失い、
その想いを、自分のものとして受け止めたヘミョン。
命を賭けてまで、ナンシルが成し遂げたかったこと。
今では、ヘミョンの生きる道となった。







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