幼い王子(星の王子さま)   Little Prince  
 原題:幼い王子 어린 왕자(オリン ワンジャ)<2008>

 オススメ

 ストーリー

 韓流王道

 泣き

 笑い

名作

 映像

×



性格に潤いがないワーカーホリック(仕事中毒)のポリーアーティスト(音響効果 師)、ジョン チョル(タク・チェフン)。仕事にすっかりはまって生きるジョンチョルは、ポリーアーティストとしては最高だが、息子のウンギュと妻のヒスには、自然と粗 雑に扱われ、家族たち には、大韓民国代表「落第家長」の烙印が押されている。

そんなある日。録音室で全身を使い完璧な効果音を作ったジョンチョルは、運悪く鳴った妻の電話に癇癪を起こし、仕事に熱中するあまり、携帯電話の電源 を切ってしまう。

観賞用の幼い鉄甲鮫(チョウザメ)を育て、また海に送りかえすという夢を持った純粋なヨンウン(カン・スハン)。大型マートでの小さな接触事故で、”幼い 王子”ヨンウンと”落第パパ”ジョンチョルは、運命的な出会いを持つ。ケガしたところがないかという問いに、自動車がケガしたのを心配する明るい子供ヨン ウン。

出会って間もないのに、足音を聞いただけで自分だと分かるヨンウンに、ジョンチョルは気づかぬうちに徐々に失った小さな幸福を探すようにな る。

しかし幸福も束の間。ある日ジョンチョルは、ヨンウンが死んだ息子ウンギュと関連があるという新たな事実を知ることになる。
【予告編】
監督 チェ・ジョンヒョン <2007>幼 い王子(星の王子さま)

出演

タク・チェフ ン

<2004>誰に でも秘密がある、<2005>家門の危機-家門の栄光2、 <2006>裸足のキボン
<2006>恋愛、その耐えられない軽さ、<2006>家門の復活-家門の栄光 3
<2007>キム館長 対 キム館長 対 キム館長、 <2007>私の生涯で最悪の男、
<2007>幼い王子(星の王子さま)、 <2008>夕べのスキャンダル

カン・スハン

<2008>幼い王子(星の王子さま)
チョ・アン <2003>狐 怪談、<2004>まわし蹴り、 <2006>ホリデー、<2007>お姉さん が行く、<2007>ムイ、
<2008>幼い王子(星の王子さま)、 <2008>アンティーク~西洋骨董洋 菓子~(友情出演)、
<2009>キングコングを持ち上げる

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【レビュー&ネタバレ】
2008年1月韓国公開。観客動員数は、約8万4千人.......
1万人も越えられない映画なんて.... お話にならないでしょう....
ですが、数字だけで決め付けてはいけません!
まさにこの映画は、数字だけでは図れない代表的な例だと思います。

韓国での映画の観客層は、学生中心の若者です。
その若者には、この映画の良さはわからないでしょう。
大ゴケしても仕方ありません。
この映画のターゲットとしては、20代後半以上の女性でしょうね....
しかし、その層は主婦だったりと、なかなか映画を観に行くことも少なそうですね....
興行には失敗しましたが、良い映画です。
かなり地味な映画ですが、
心に染み入る温かさと、優しさが詰まっています。

”幼い王子”とは、”リトル・プリンス”.....
日本でいう、サン=テグジュペリの”星の王子さま(フランス語原題:Le Petit Prince)”のことです。
この映画は、”星の王子さま”がモチーフになっています。

”星の王子さま”を読んだことがない方は、
Wikipediaに、この映画を観る上での下準備に必要なあらすじが掲載されてますので、ご参考に。
いえ、観終わった後に読むと、この映画の趣旨がより理解できるかもしれません。

”星の王子さま”ヨンウンが、大人が忘れてしまった大切なモノに気づかせてくれます。
”星の王子さま”は、児童文学ですが、希望を失った大人に贈る童話です。
mocaも買いました。大人になってから(笑)
子供の心を失ってしまった大人に向けての童話です。
そしてこの映画は、疲れたきった大人、希望を失ってしまった大人に贈る映画です。

この物語を世界中の子供たちに、
また自分が子供だった頃を忘れがちな大人たちに、
そして上辺だけでなく物事の本当の美しさを見つめる勇気を持ったすべての人々に、
心からの友情を込めて贈ります…。

まさに、その通りの映画です。

ヨンウンを通し、子供が持ついじらしさと純真さに触れ、心が洗われると共に、
自分が失ってしまった大切なモノを思い出すでしょう。
ヨンウンのいじらしさに、涙なくしては観れません。
孤児の上に大病で苦しみ、その上、養父母にまで捨てられるヨンウン。
それでも、まっすぐな心を持つ天使のような子供。

そして、この映画は童話のような優しさではなく、
人生においての教訓も学ぶことでしょう。
深い映画です。
今、日本でも子供の脳死、移植について論議になっていますが、
この映画を通して、考えずにはいられなくなるでしょう。

感情のままに選択したことにより、後々、深い悔恨に苦しめられる.....
ですが、人間だったら、誰しも同じ選択をするでしょう。
その選択をしてしまった人への理解を示唆すると共に、
病気の子、そして病気の子を持つ親への理解を持って欲しい。

この映画のようなシチュエーションはそうそう起きることはありません。
ですが、子を持つ親であれば、いつか遭遇するかもしれない問題です。
ぜひ観て頂きたいです。

この映画は、ワーカーホリックで家庭を顧みなかった男ジョンチョルが主人公です。
なぜジョンチョルが家庭を顧みず、仕事に夢中になってしまったか。
それにも深い理由があるのです。
愛する息子を抱きしめながらも、「ウンギュがいるのに、なぜこんなに寂しいんだろう...」
ジョンチョルのその言葉に、全てが表れています。
家庭を顧みず、仕事人間だった父への確執により、心に大きな穴がポッカリと開いていたのです。
心に大きな穴を抱えたまま生きるジョンチョルにとって、
父親としての義務よりも、自分の心の穴を埋めることが、自然に優先されてしまったのでしょう...
自分の父と同じことを、息子もまた、繰り返してしまうのです。
人間は弱い生き物です。
何か心の支えが必要です。
それが家族であれば、きっと温かい家庭が築けることでしょう。
ですが、温かい家庭を知らないジョンチョルには、家族だけでは心の穴は埋められなかったのです。
後々、深い悔恨に苦しめられますが、気づいた時には既に手遅れ...
しかし、”星の王子さま”ヨンウンとの出会いにより、ジョンチョルは様々なことを感じ、学んでいきます。

誰も気づかなかったジョンチョルの心の大きな穴。
しかしヨンウンは、出会ってすぐに、その心の傷に気づきます。

完成度の高い映画です。
導入部で一気に惹きつけるアイディアは見事!
映画にどんな風に効果音をつけるのかを垣間見れ、その面白さに引き込まれます。
導入部で引き込み、しっかりとしたストーリー展開。
こんな良い映画がひっそりと埋もれてしまうのは、勿体ないですね...

【ハン・ジョン チョル】
ポリーアーティスト
タク・チェフン
【ハン・ヨンウ ン】

カン・スハン
【キム・ソノ ク】
ハニークリーニングの娘
チョ・アン
【ウン・ヒス】
ジョンチョルの妻
ユ・ハジン
【ヨン・ジュン ス】
ジョンチョルの同僚
パク・ウォンサン
【キルジョン】
ソノクに片想いする男
チェ・ジェミン
【ハン・ジョン テ】
ジョンチョルの父 医師
イ・ホジェ
【ヒスの父】

チョン・ムソン

タク・チェフンは最近主役を演じるまでになりましたが、スター俳優とは言えないでしょう。
この映画をスター俳優が演じていたら興行は... とも考えますが、
タク・チェフンは、自然ながらも名演技を見せてくれます。
泣き所も、笑い所も、タク・チェフンの良さが溢れています。

カン・スハンは、素晴らしい!
素の愛らしさも生かされていますが、大人顔負けの演技力!
韓国の子役、恐るべし!
ちなみに、”ヨンウン”は、”英雄”という意味です。
「名前のように強い...」は、そういう意味です。

チョ・アンは好きじゃないんですよねぇ....(また出た、mocaの女優ギラい)
ですが、女優としては見事です!

光州5・18のパク・ウォンサン。
ジョンチョルを立ち直らせようと必死な姿に、心が洗われます。
韓国の情の深さを感じます。
日本なんて、他人を利用したり、蹴落とすことしか考えない人が多いったらありゃしない....

そして、チェ・ジェミン!!!!!
今回のmocaの一番のお気に入り!どれだけ癒されたことかー
頭のてっぺんから、足のつま先まで大好きです!
この愛すべき”おバカキャラ”
mocaのそばにいて欲しい...
マンス&ジュヨンと合わせての三人組。最高ですね!
人を見かけで判断してはいけません。

父親陣には、のホ・イジェに、ホワイト・バレンタインのチョン・ムソン。


いや~ん!キム・ボルレ씨よ!キム・ボルレ씨!!
雪の女王のチョン教授よー
最初は目を疑っちゃったわよー
だって、キム・ボルレ씨は俳優ではなく、弘益大学の教授なんですものー
また俳優としてお目にかかれるなんて思いませんでした。
感涙です(T T)
考えてみれば... キム・ボルレ씨は、音響技術者として韓国で屈指に入るとのこと。
この映画の主人公は音響効果師ですから、その縁で出演になったのでしょうね。
それにしても嬉しいわ。
チョン教授は演技ではなく自然体の素のままだったけれど、
今回のパク博士は、演技してます(笑)
それでも、キム・ボルレ씨の個性は、ほんのちょっとだけ感じられるかしら。
やっぱり、素がいいワ!(笑)

そして、ウンギュ役の子役ちゃん。チョン・ユンソクくん。
この子も可愛いわねー
髪を結んでるから娘かと思っていたので、「アドルー(息子)」と呼ばれた時にはビックリ。
ドラマでも、いろんな子役をしているので、御存知でしょうか。
可愛いですねぇ。


↓  結末までネタバレしますので、ご注意を! ↓


一流のポリーアーティスト、ジョンチョル。
今日も録音室で、完璧な仕事ぶりを発揮。
しかしその時、妻から電話が。
仕事に夢中になるあまり、
ジョンチョルは妻からの電話を拒否する。
それが後々深く後悔することになるとも知らずに...

ジョンチョルは、憔悴しきった表情で、
白い布を被せられた息子ウンギュの遺体に付き添う。





その時、一人の少年ヨンウンとすれ違う。


事故の前日。
ジョンチョルと妻のヒスは言い争いをしていた。
ヒスの父が一緒に釣りをしようと、
船まで借りて待っているというのに、
ジョンチョルは仕事を入れてしまったのだ。
「金を稼がないと」
と、悪びれず言い訳するジョンチョルに、
ヒスはついに逆上してしまう。
「お金を稼ぐ人と結婚したかったわけじゃない。
人生において大事な時に、何度一緒にいてくれた?
ウンギュを産む時も、ここの引越しの時も...」
ヒスに責められても、ジョンチョルは軽くかわす。
ヒスの怒りは限界に達していた。






翌日、ジョンチョルが行かないことに不満顔なウンギュを連れ、ヒスは父との約束 へと出かけていった。


しかし途中で、ヒスの車はエンコしてしまう。
保険会社にも電話をしたが、
レスキューが来る気配もない。
困り果てたヒスは、ジョンチョルに電話する。
しかし仕事に夢中のジョンチョルは、電話に出なかった。
ヒスは留守電にメッセージを入れる。
仕事を終えて来てもらえないかな?
ウンギュも疲れているの、と。


怖がるウンギュをなだめるように、
ヒスは後部座席でウンギュに絵本を読んでやる。
その時、後方からトラックが.....




ジョンチョルは、ヒスとウンギュが眠る納骨堂を訪れた。
ヒスが愛する息子のために自ら描いた
「星の王子さま」の絵本も供えられている。



「ヒス、すまなかった...」
ジョンチョルはヒスの遺影に向かって詫びる。


ヒスとウンギュを失った辛さを酒で紛らわそうと、
大型マートで、しこたま酒を買い込み、
車を出そうとした瞬間、
後方に駐車していた車に衝突してしまう。

慌てて、衝突した車の様子を見に行くジョンチョル。
車のバンパーが思いっきり歪んでしまった。
頭を痛めるジョンチョル。
そこへ、誰かの声が。
「自動車を治療してくれるの?」と。



その声の主は、まだ幼い男の子、ヨンウンだった。
ジョンチョルはヨンウンに歩み寄り、
「どこか痛いところはないか?」と、尋ねる。

「おしりの怪我が..」
というヨンウンの言葉に慌てるヨンウン。
「見せてみろ」
ヨンウンを心配するジョンチョル。
しかしヨンウンは、驚くような言葉をつぶやく。
「自動車のおしりが怪我をして怒ってる」と。



ヨンウンの言葉に、呆然とするジョンチョル。
すると、ヨンウンは突然気を失ってしまう。
慌てるジョンチョル。

ヨンウンを抱きかかえ、慌てふためくジョンチョル。
そこへヨンウンの保護者的存在のソノクがやってくる。
気を失ったヨンウンを見て、血相を変えるソノク。



幸い事故による怪我はなかった。
しかし、医者は告げる。
「血圧や呼吸に問題があるようですが、
最近検査は受けましたか?」と。
言葉を失うソノク。


診察費を支払い、ソノクにお金を手渡すジョンチョル。
「車の修理代だ」と。
そんなジョンチョルにソノクは激怒する。
「誰がお金が欲しいと?
まず謝罪するのが筋でしょ?
謝罪の仕方を知らないの?」と。



「死に値する罪を犯しました。これでいいか?」
ジョンチョルは開き直る。
そんなジョンチョルの態度に、
ソノクはますます怒りを募らせる。

去っ て行こうとするジョンチョルを追いかけようとすると、
突然ジョンチョルは倒れてしまう。

(この時から既にハンバーガーの絵を描いてたのね/笑)






ジョンチョルは栄養失調だった。
食べずに酒ばかり飲んでいたせいだ。

ジョンチョルは不機嫌そうに点滴の針を抜いてしまう。
それを見たヨンウンは、
ジョンチョルの腕から滲む血に、絆創膏を貼ってやる。
「아저씨(アジョシ:おじさん)、これはご飯と同じなの。
痛くても我慢してね」と。
しかしジョンチョルは無言で去ってしまう。

そんなジョンチョルを見て、心を痛めるヨンウン。


渋滞する道で、ソノクの車と隣り合わせになる。
ふと後部座席に目をやるジョンチョル。
ウンギュが乗っていると錯覚し、ハっとするジョンチョル。
しかしそれは、ヨンウンだった。






ハニークリーニングの娘、ソノク。
ソノクはスクーターで、洗濯物を配達する。


酔いつぶれて寝ているジョンチョルの元に、
ソノクから電話が。

再活院(障害児のリハビリ施設)で暮らすヨンウンを迎えに行くジョンチョル。
足音を聞き、ヨンウンは目を閉じる。
「アジョシ?当たった」と、喜ぶヨンウン。
ジョンチョルの足音は変わっているからわかるのだと。
「ククン、ククン...」
と、足音を真似るヨンウン。
再活院の院長であるロマナ修道女は、
ジョンチョルに尋ねる。
「もしや、タバコを吸われます?」と。
「あ、はい...」
ジョンチョルは気まずそうに答える。
ロマナ修道女は、ヨンウンの描いている絵を指差す。
ハンバーガーの顔をした男がタバコを吸っている。
ヨンウンは、ジョンチョルを描いているのだった。










ソノクの車が修理に出されているせいで、
ジョンチョルにヨンウンを病院に送ってくれるよう
頼まれたのだった。
ヨンウンが大事に抱えているチョウザメを見て、
ジョンチョルは尋ねる。
「本物のサメを見たことあるか?」
ヨンウンは答える。
「これも、サメだよ」と。
「そんなんじゃなく、大きなサメのことだ」
ジョンチョルの問いにヨンウンは答える。
「僕のジョーズも、たくさん餌を食べれば大きくなるんだ」
それを聞いたジョンチョルは、とんでもないことを言う。
「大きくなったら、どうやって育てるんだ?
食い殺されるぞ」
それを聞いたソノクは、何てことを!と言わんばかりに、
ジョンチョルを睨みつける。



注射しても泣かなかったヨンウン。
「よく頑張ったな、チビ」
と、ジョンチョルは褒める。
そして、鳳仙花の花の汁で染めたヨンウンの指を見て、
「男のくせに、なんだこれは」と、たしなめる。
「こうすると、願いが叶うんだ」
ヨンウンは答える。
「お前の願いはなんだ?」
ジョンチョルは尋ねる。
「ジョーズと一緒に海に行くこと」
ヨンウンは答え、そして、ジョンチョルに尋ねる。
「アジョシの願いは何?」
ジョンチョルは、言葉に詰まってしまう。











そして、注射の跡だらけのヨンウンの腕を見て、
ウンギュの痛ましい姿を思い出してしまい、
涙がこらえきれずに、病室を出て行ってしまう。
病室の外で泣き崩れるジョンチョル。



家で酒を浴びるように飲んでいたジョンチョルに、
再活院のロマナ修道女から電話が。
そして、ヨンウンが電話を代わる。
「アジョシ、ジョーズは?僕のジョーズだよ。
きっと、お腹をすかせてるんだ」
ヨンウンは涙声で訴える。

ジョンチョルは車の中に置き去りにされていた
ヨンウンのジョーズの様子を見に行くが、
ジョーズは既に死んでいた。

ジョーズの死体を川に流すジョンチョル。






ジョンチョルは代わりのチョウザメを買い、病院を訪れる。
しかしヨンウンは、市民病院に転院した後だった。
そして、看護士から「ヨンウンから」と、手渡される。
ジョンチョルが忘れていった帽子と、絵だった。



「ヨンウンは、ハンバーガーが大好きです」
絵にはそう書かれていた。
ハンバーガーとは、もちろんジョンチョルのことだ。
その絵を見たジョンチョルは、安らかな気持ちになる。

その頃ヨンウンは、病室でジョンチョルを待ちわびていた。
「あの変なおじさん?」
と、ソノクは意外な顔をするが、
「アジョシは、病気なんだ。
僕と同じで、ここが病気なんだよ」
と、ヨンウンは心臓をさする。
ヨンウンの言葉に、ソノクは考えさせられる。






新しいチョウザメを持って、
ジョンチョルはヨンウンの病室を訪ねる。
しかしヨンウンは泣き出す。
「これは僕のジョーズじゃないよ。
サメじゃなくて、ジョーズだよ。
一緒に話もして、餌も食べる僕のジョーズだよ。
僕のジョーズを返してよ」
そして、引きつけのように泣き続けたヨンウンは、
そのまま失神してしまう。


医師は、ロマノ修道女とジョンチョルに告げる。
「心臓がどんどん肥大しています。
内科的な治療では、もう望みはありません」
医師の言葉に逆上するジョンチョル。
「あんた医者だろ。医者なら助けろ!
1%でも可能性があるなら、最善を尽くすべきだろ!
何だと?望みがないと?
これが自分の息子でも、そう言えるか!」
ジョンチョルの剣幕に、ロマノ修道女は呆然とする。







「おい、動けよ。動いてみろよ」
じっとして動かないサメに、ヨンウンは話しかける。
「엄마(オンマ:お母さん)や友達がいなくて寂しいのか?
そうなのか?
心配するな。いっぱい餌を食べて大きくなったら、
また会えるよ。ホントだよ」
ヨンウンは、新しいサメともすっかり打ち解けた。
そんなヨンウンをみつめるジョンチョル。
「ヨンウンは誰にでも心を開きます。
ですが、それが仇になることも」
ロマナ修道女は告げる。


その頃、ソノクはアナウンサーの試験を受けていた。
審査員は、容赦ない言葉を浴びせる。
「北のミサイル発射のニュースなのに、
そんな話し方で、視聴者が警戒心をもてますか?」
しかしソノクは反論する。
「警戒心はもてなくても、親近感は持てると思います」
しかし審査員は厳しい。
「こんなニュースに親近感ですか?
だったら、自分でネットで放送局を持つといい」
しかしソノクは言い返す。
「アナウンサーが堅苦しくすべきだと、それは偏見では?
私がアナウンサーを志望したのは、
安らぎを与えたかったからです」と。
それでも、審査員はソノクを真っ向から否定する。
「可能性がなくても、夢をみる権利はあり、
幸せになる権利はあると考えます。失礼しました」
そう言ってソノクは会場を後にする。





街でサメのポスターを見かけたジョンチョルは、
ヨンウンを思い出し、再活院を訪ねる。
元気にサッカーをする子供たちの中で、
病気のヨンウンは、一人静かに絵を描いていた。

ジョンチョルは、名前のないサメに名前をつけてやる。
シャープで素早いから、「シャーキル」と。
「俺達も、みんなとサッカーするか?」
ジョンチョルはヨンウンに尋ねる。
ヨンウンは嬉しそうに頷く。
ヨンウンの車椅子を押しながら、
みんなと一緒にサッカーを楽しませてやるジョンチョル。
ヨンウンは嬉しそうだ。





そこへ、ソノクがやってくる。
「どうしてアジョシがここに?」
ジョンチョルは気まずそうに、何も言えない。
しかし、ヨンウンとサッカーを楽しむジョンチョルを見て、
ソノクのジョンチョルに対するイメージも変化する。


ジョンチョルはロマノ修道女に願い出る。
ヨンウンにサメを見せるために外出したいと。
ロマノ修道女は、いい顔をしない。
そこへソノクが助け舟を出す。
「半日くらいなら大丈夫では?」
ジョンチョルは、懸命に説得する。
「はい、半日でもいいですから」と。
そうして、ようやく了承を得る。





しかし、その日アクアリウムは休館日だった。
うなだれるジョンチョル。
「ヨンウン、ここで動かずに待ってるんだ」
と、ヨンウンに言い聞かせ、
ジョンチョルはアクアリウムの事務局に行く。








「少しだけでも」
と、しつこく食い下がるジョンチョル。
しかし職員は、「ダメです」の一点張り。
そして、突然スコールのような雨が降り出す。
慌ててヨンウンの元へ戻るジョンチョル。


ヨンウンは、雨に打たれながら震えていた。
「バカだな。雨が降ったら避けなきゃ」
と、ジョンチョルはたしなめる。

しかし、すぐに気づく。
ヨンウンの車椅子を押した瞬間、車椅子の車輪が、
側溝にハマって動けなかったことを。
「アジョシがバカだった。ごめんな」
ジョンチョルは、ヨンウンを抱きしめる。




ジョンチョルは、ヨンウンに段ボールを被せ、
作業員になりすまし、アクアリウムに忍び込む。


「海だー!」
ヨンウンは魚で溢れる大きな水槽を見て大喜びだ。
大きなサメを見ては驚くヨンウン。
そんなヨンウンを見て、ジョンチョルも幸せだった。







アクアリウムの帰り、
ハンバーガーショップで昼食を取ろうとする。
ハンバーガーとジョンチョルを見比べるヨンウン。
しかし、ハンバーガーを眺め、ヨンウンは躊躇する。
「どうした?ハンバーガー好きだろ?」
ジョンチョルはヨンウンを促す。
「うん、ハンバーガー大好き」
ヨンウンは、ハンバーガーにかぶりつく。
そんなヨンウンを見て、ジョンチョルは嬉しそうだ。


しかし再活院に戻ったジョンチョルは、
ロマノ修道女に叱責される。
「何を考えているんですか!」と。
病気の子を雨に濡らすなんて!
しかも、ハンバーガー?
退院したばかりで、食事も喉を通らないことを知らないの!
何も知らなかったジョンチョルは、うなだれる。
しかしロマノ修道女の声を聞きつけたヨンウンは、
具合が悪いのにもかかわらず、院長室にやってくる。
「アジョシを叱らないで!
僕がハンバーガーが食べたいって言ったんだ!
ハンバーガーが大好きなんだ!」
と、ヨンウンは泣きながら必死にジョンチョルを庇う。


(涙なくしては、見れません...)



病状が悪化したヨンウンは、再び入院することに。
ジョンチョルは、胸が痛んで仕方がない。



ジョンチョルは決意し、父の元を訪れる。
ジョンチョルの父は、大学病院の教授だった。

「こうして息子の顔が見れるなら、医者も悪くないな」
ジョンチョルの父は告げる。
しかし、ジョンチョルには、父への深い確執があった。
父はジョンチョルが手にしている書類を見て尋ねる。
「誰なんだ?こんな時間に急に訪ねてくるなんて」
事情を話そうとするジョンチョル。
しかし、「手術の時間です」と呼ばれ、
父は部屋を出て行く。
そんな父にジョンチョルは言い放つ。
「勘違いされてますね。
僕はただ、教授を訪ねただけです。
知りませんでしたか?
僕にとっては、父でなく医者だと。
父さんは、母さんが亡くなった時も涙一つ見せなかった。
ウンギュの時もそうだった」


ジョンチョルの言葉が、父の胸に突き刺さる。

ジョンチョルの元へ、
父の同僚であるパク博士がやってくる。
ジョンチョルの父に聞いて心配でやってきたと。
パク博士は、ヨンウンの顔を見て驚く。
「なぜ君がヨンウンを知っているんだ?」と。
「パク博士こそ、なぜ御存知で?」
ジョンチョルも驚く。
そして、パク博士からある事実を知らされる。





ジョンチョルの息子ウンギュが、
脳死状態で病院に運ばれたあの日....

「このまま逝かせてやろう。既に脳死状態だ」
ジョンチョルの父は告げた。
「助けてよ、父さん。医者なら助けてよ」
ジョンチョルは受け入れなかった。
その時、ジョンチョルの父はある提案をした。
「ジョンチョル。ウンギュくらいの子供が死にかけている。
その子は、ウンギュと血液型も組織型も一致するんだ。
心臓を移植すれば、一つの命が助けられる。
ウンギュにとっても、意義のあることだと思わんか?」
ジョンチョルは、そんな父の言葉を受け入れなかった。
あの日のことを思い出し、
ジョンチョルは深い悔恨の念に苦しむ。
ウンギュの心臓を移植しようとした相手は、
ヨンウンだったのだ。





「何を言ってるんですか!
ウンギュが死にかけてるんだ!
父さんはウンギュを助けるべきだ。
他人の子供を助けるために、
我が子の命を差し出せと?
そんなことできると?」

あの日ジョンチョルは、父を責めた。
そして、ウンギュの心臓は移植されぬまま、
ウンギュは息を引き取った。

ヨンウンの病室を覗き、心を痛めるジョンチョル。
自分のあの選択により、
こうしてヨンウンが苦しんでいる。
自分は、間違った選択をしてしまったのでは....
ジョンチョルは自分を責め、苦しむ。





亡くなったウンギュの部屋で、
一人涙を流すジョンチョル。


酒に溺れ、自暴自棄になるジョンチョル。
しかし気を取り直すと、
プラモデルを組み立て、色を塗り、
ウンギュとヒスの眠る納骨堂を訪れる。
ウンギュが好きだったロボットの顔をデザインした
ケーキを持って。



ウンギュに語りかけるジョンチョル。
「お前が何が好きなのか知っていれば、
もっといろいろなことをしてやれたのに....
本当に悪い父親だな。
そうだろ?
その代わり、これからは...
パパはヨンウンを大事にするつもりだ。
ウンギュにしてやれなかったことを...
いいだろ?」
ジョンチョルはウンギュに語りかける。
「ウンギュオンマ、見守ってくれるよな」
そして、ヒスに語りかけるジョンチョル。

ヨンウンにも、自分が作ったプラモデルを持って、
病室を訪れる。




ジョンチョルの顔を見ると、笑みを浮かべるヨンウン。
そして、ジョンチョルに抱きつく。


ジョンチョルは、しっかりとヨンウンを抱きしめた。




ジョンチョルは、ヒスの父を呼び出した。
そして、ある相談をする。
通帳と印鑑を差し出すジョンチョル。
ヒスとウンギュの事故の賠償金だと。
今までは使えなかった。
けれど、ヨンウンのためなら使ってもいい気がして....
ジョンチョルは、自分の想いを告げる。
「君の好きにしなさい。
君が喜ぶなら、あの子たちも幸せだろう」と。



ジョンチョルはヨンウンを迎え入れるために、
掃除をし、壁を塗り替え、手すりまで備え付けた。







そこへソノクが訪ねてくる。
ヨンウンのために買い供えられた一式を見て、
ソノクは驚く。


ヨンウンを自分のマンションに連れ帰ったジョンチョル。
そこへ、父が待ち構えていた。


父はいきなりジョンチョルを殴りつける。
「わしが憎いなら、わしに復讐しろ!」
ジョンチョルの父は、ジョンチョルを誤解していた。
ヨンウンを引き取るのは、自分への復讐だと。
しかしジョンチョルは、一言も言い訳しない。



「ごめん、さっきは驚いたろ?」
ジョンチョルは、ソノクに詫びる。
「気になっているはずなのに、聞かないの?」
ジョンチョルは尋ねる。
「誰にでも、簡単には話せないことがあるじゃない」
ソノクはジョンチョルをいたわる。
ソノクの言葉に救われたジョンチョルは、
胸のつかえが取れたかのように語り始める。
「実は、息子がいたんだ...」と。



「ウ ンギュの心臓をヨンウンにあげていたら...」
自分を責めるジョンチョルの言葉を思い出すソノク。
「大丈夫よ、アジョシ。
その代わり、ヨンウンにはアジョシが贈られたの」
ソノクはジョンチョルをなぐさめた。
ソノクは、運命というものを噛み締める。



新しい靴をヨンウンに履かせ、
喜ぶヨンウンを見て幸せを感じるジョンチョル。






二人でパーマをかけ、お揃いの洋服を着て、
まるで親子のように楽しい時間を過ごす二人。


ジョンチョルはヨンウンを遊びに連れて行き、
ラジコンまで教えて楽しませてやる。
ヨンウンも幸せそうだ。


「落第パパ」だったジョンチョルが、
ヨンウンのために体にいい料理までするように。
冗談まで言い出すジョンチョルに、
ヨンウンは楽しくて仕方がない。

(このシーン、最高!さすがタク・チェフン!)

ジョンチョルは、仕事場にまでヨンウンを連れて行く。
ヨンウンの笑顔が、ジョンチョルを幸せにした。





ジョンチョルからヨンウンを預かったソノク。
しかし、その日ソノクには、大事な約束があった。
ヨンウンを、キルジョンらに預けて出かけるソノク。


その日は、ヨンウンの養母であったソノクの姉が、
出国する日だった。
空港にかけつけ、ヨンウンの写真を手渡すソノク。
ヨンウンの写真を見て、胸が詰まるソノクの姉。
ソノクの姉の夫は、そんなソノクの姉を急かすように
出国ゲートへと向かっていく。





姉の後ろ姿を見送りながら、ソノクはつぶやく。
「大丈夫よ。ヨンウンには、良い人が現れたの」と。


キルジョンらは、ヨンウンを楽しませるために花火をするが、それを見たマンショ ンの警備室から、
ジョンチョルに連絡が行ってしまう。
慌てて駆けつけたジョンチョル。
そして、ソノクを責める。
「謝ってすむことか?
子供に何かあっても、謝って済ませるのか?」



ジョンチョルの言葉に、ソノクは反論する。
「今日は、ヨンウンのオンマが発つ日だったのよ!」
「オンマ?」
ジョンチョルは、初めて耳にする母親の話に驚く。


ソノクは語る。
孤児だったヨンウンを、ソノクの姉夫婦が養子にした。
しかし、ヨンウンの病気を知ると、施設に返したのだ。
「ヨンウンが気に入らないと返品するの!」
ソノクは姉夫婦を責めた。
「だったら、二度と親になる資格はない!」
ソノクは必死に姉夫婦を引き止める。
「ヨンウンのために決めたことだ」
姉の夫は告げる。
どんなに引き止めても、
姉夫婦はヨンウンを置いて去ってしまった。
その様子を窓からみつめていたヨンウン。

ソノクは本音を吐露する。
今でも、ヨンウンが恨んでいるんじゃないかと怖い、と。


(何がヨンウンのためよね。あんな健気な子なのに。
愛情があれば、それだけでよかったのよ)




ジョンチョルの献身的な介護も虚しく、
ヨンウンはどんどん悪化していった。
「ヨンウンには、そろそろ準備が必要だ」
パク博士はジョンチョルに告げる。



「アジョシ、本当に海に行けるの?」
ヨンウンは尋ねる。
「もちろんだ。ヨンウンはシャーキルみたいに強いからな」
ジョンチョルはヨンウンを励ます。
「アジョシと約束しないか?
1日に10回食事して、10回眠れば、
アジョシが、もっと早く連れて行ってやるから」
ジョンチョルは涙をこらえながら、約束する。


またも、酒に溺れるジョンチョル。
パク博士の言葉を思い出す。
「ヨンウンには、そろそろ準備が必要だ。
お前の父親は、言えなかったはずだ。
いつも、お前の前では、医者である前に父親だから。
ウンギュの時もそうだった」
ジョンチョルは、父と撮った幼い頃の写真と、
ヒスとウンギュの写真をみつめる。







酒に溺れるジョンチョルを見て、ヨンウンは尋ねる。
「アジョシ、どうしてお酒を飲むの?」
「酒を飲む恥ずかしさを忘れるためだよ、ヨンウン」
ジョンチョルは答える。


ヨンウンは、ジョンチョルのそんな姿に胸を痛める。




ジョンチョルは、ヒスとウンギュとの日々を思い起こす。
「星の王子さま」を話して聞かせるヒス。
「次の星には、お酒呑みがいました...」
ちょうど、酒呑みの話をしていたヒス。
「なぜ、お酒を呑むの?星の王子さまは尋ねました。
すると、酒呑みは酒を置いて答えました。
酒を呑む恥ずかしさを忘れるためさ、と。
困った王子は、その星を発ちました。
”大人は変だな”と、心の中でつぶやきながら」
その時、ジョンチョルはウンギュを抱きしめる。
「気分が良いから酒を呑んできた」
そう語るジョンチュルににウンギュは尋ねる。
「恥ずかしさを忘れるためにも呑むんだよね」と。
「違うさ、パパは気分がいい時だけさ」
ジョンチョルは否定する。
ジョンチョルはウンギュを抱きしめながら語る。
「ウンギュ。なのに、どうして悲しくなるのかな。
ウンギュがいるのに...」と。
ウンギュを想いながら、ウンギュの大切にしていたロボットに手を伸ばすジョン チョル。
ロボットの体を開けるとそこには、
ジョンチョルがなくしたと思っていた携帯電話が。




携帯電話には、思いがけないメッセージが....
ジョンチョルの携帯電話で遊んでいたウンギュが、
偶然、録音スイッチを入れてしまったのだ。
そこには、ヒスとウンギュの最後の会話が、
録音されていた。

「パパは、なんで来ないの?」
「来るわよ、来るって言ったわ」
「嘘だ」
「本当よ。すぐに行くからって電話があったの」
「だけど、いつも来ないじゃん。
パパは、僕たちを捨てたんだ」
「そんな風に言わないの!パパは忙しいの。
もうすぐ来るわ。わかった?」
「フン!」



二人の会話を聞いたジョンチョルは、
衝撃で声も出ない。
自分は、何てことをしてきたんだと....


「ウンギュ、寝ましょう。すぐにパパが来るわ」
ヒスがウンギュを寝かしつけようとした時、
後方からトラックが....
ヒスの車はトラックに押し出され、
崖の下に転落してしまう。









息絶え絶えのヒス。
それでもウンギュを必死に心配し、
携帯電話に手を伸ばす。
「あなた、こっちに向かってるわよね?
ウンギュがパパを捜してるの。
私はもう、待てそうにないの....
あなた、愛してるわ」
ヒスはジョンチョルにメッセージを残し息絶えた。


ジョンチョルは慟哭し、自分を責める。
胸が張り裂けそうだ。





(なぜ納骨堂に供えた絵本があるんだろう)




ジョンチョルは、決意する。
再活院の子供たちを連れて、海へと向かった。
キルジョンらも一緒だ。

初めて海を見て、嬉しそうなヨンウン。



「シャーキル、ごめんよ。
これからは、一人で生きるんだよ。
一人でも、オンマをみつけられるよね?
そして、僕のオンマに会ったら、僕の話をしてね。
いっぱい食べて、元気だよ。もう泣いてないよ、って」
ヨンウンはシャーキルに語りかけると、
シャーキルをジョンチョルに託す。




ジョンチョルは、シャーキルを海へ帰す。
泣きながらシャーキルを見送るヨンウン。




ジョンチョルは、天国のヒスとウンギュに語りかける。
「元気で暮らしてるよな?
俺の心配はせずに、幸せに、安らかにいてくれ。
必ず行くから。
今度は絶対に遅れないように、必ず行くよ。
ヒス。ウンギュ。愛してる....」

(意味深な言葉よね。遅れないで...って、どういうこと?)
ジョンチョルは、ヨンウンをおぶって海岸を歩く。




そして、ジョンチョルらの手作りの映画が上映される。
ジョンチョル版、星の王子さま。
音響効果師のジョンチョルの腕の見せ所だ。
同僚のジュンスも、手伝った。
(いいわよね、同僚愛)


スクリーンをみつめるヨンウン。


そこに、ジョンチョルの父とパク博士も現れた。


僕は、彼に出会う前は、「仲良くなる」ということがどういうことか、わかりませ んでした。

彼は、とても小さな星から来た王子さまでした。
彼は「もっと大きな世界はないのかな」と、
星から旅立ちました。



王子さまが辿りついた星は、お姫様の星でした。
誰よりも美しいお姫様でしたが、
その星は小さすぎて、お姫様以外に誰もいませんでした。
(スクーターで洗濯物を配達する姫に皆が笑う)

それに、お姫様は誰よりも速かったけれど、
どんなに速くても、小さな星では意味がありません。

お姫様は、自分をみつけてくれた王子さまに、
とても感謝しました。
そして、お姫様は決心しました。
幼い王子と一緒に行くことを。
キルジョンも、バイクで効果音を出す。

王子さまとお姫様がたどり着いたのは、
三人の友達の星でした。
(キルジュン&マンス&ヨンジュ)
彼らは、いつも楽しいことを求めていましたが、
やはり小さな星では、これ以上は期待できませんでした。
そして三人の友達も、王子さまと一緒に行くことにしました。



そして彼らが辿りついた星は、地球でした。
地球は美しくて大きかったけれど、
それなのに、悲しく、寂しい星でした。
なぜなら、そこには...
希望を失った大人たちがたくさん住んでいたからです。

その男は、地球で王子が出会った大人です。
彼はタバコを吸い、酒を呑んで、一人で苦しんでいました。
それで王子は、教えてあげました。

「希望の花は、絶望の中で咲くのだと」
愛する人を胸に抱けば、
愛が消えない限り、
その人も、永遠に心の中で生きているのだと。
そして、別れの前で、
これ以上悲しまずに済む方法をです。


ジョンチョルの胸の内を知り、
ヒスの父も安心して、映画を見守る。


ジョンチョルの父も、
真剣にジョンチョルの言葉に耳を傾けていた。


ジョンチョルはヨンウンを見やり、語る。
「そして今日、この場は、
僕にとって、世界で最も愛しく、
最も悲しい風景です」


そして、スクリーンに映し出されたのは、
「ヨンウンは、ハンバーガーが好き」
と書かれた、ヨンウンの絵。

ヨンウンは嬉しそうに涙で瞳をうるませる。
そして、海岸を歩きながらジョンチョルが言った言葉を思い起こす。

「ヨンウン。これは誰の足音だ?」
「アジョシ」
ヨンウンは答える。
「これは、俺達の足音だ」
ジョンチョルは言う。
「それなら、僕らの足音は同じってこと?」
ヨンウンは尋ねる。
「もちろん」
ジョンチョルは答える。
ヨンウンは、幸せに包まれながら、息を引き取る。


時が流れ──

ソノクは、ラジオ局のアナウンサーになっていた。
「幼い王子(星の王子さま)」の物語について語るソノク。

「幼い王子を読んだすべての人々は、
サン=テグジュペリ。あなたの温かい心に共感します。
作家、サン=テグジュペリの没後63年を迎え、
特集をお送りしました」

ソノクのPCには、あの日上映した映画の壁紙が。






時は遡り──

ウンギュが亡くなったあの日。
憔悴しきったジョンチョルの後ろ姿と、
亡くなったウンギュを、
ジョンチョルの父は泣きながら見送っていた。
ヨンウンは、そんなジョンチョルの父の姿を見ていた。

夜空には、小さなたくさんの星が輝いていた。
目に見えなくても、存在する星があるように、
大切なものは目に見えない。
ジョンチョルの父のジョンチョルとウンギュへの愛も、
目には見えないだけだった。

END


なんか、ラストがちょっとしっくりこなかったんですけど....



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