JSA  Joint Security Area  
 原題:共同警備区域 JSA 공동경비구역 JSA(コンドンギョンビグヨクJSA) <2000>

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JSA

分断の象徴的空間-板門店(パンムンジョム)-JSA共同警備区域。板門店の北 側警戒所で銃撃事件が 起きる。

若い北朝鮮警戒所兵チョン・ウジン(シン・ハギュン)が死に、オ・ギョンピル中士(ソン・ガンホ)が負傷したまま発見される。容疑者は、事件直後 に南北軍事分界線上に倒れていた南の警戒所兵イ・スヒョク兵長(イ・ビョンホン)。

北朝鮮軍に拉致された韓国兵士が脱出し発生した事故だと解析する韓国 と、軍事分界線を侵犯した韓国軍のテロだと主張する北朝鮮が対立する。

中立国監視委員会は、中立国スイス情報団の韓国系少佐ソフィ(イ・ヨンエ)に捜査を 依頼する。生まれて初めて韓国に入国したソフィ少佐は、南と北の両被疑者の引渡し拒否と関係当局の非協調的な態度で捜査初期から困難を経験する。

やっとの ことで事件当事者の韓国イ・スヒョク兵長と北朝鮮オ・ギョンピル中士に会い、事件の状況を聞くことができるが、お互い相反した陳述だけを繰り返し、捜査は 迷宮に陥る。

【予告編】
監督 パク・チャヌク 作品一覧

出演

イ・ビョンホ ン(李炳憲)

出演作品一覧

ソン・ガンホ (宋康昊)

出演作品一覧
イ・ヨンエ(李英愛) <1996>イ ンシャラ、<2000>JSA、 <2001>ラスト・プレゼント、 <2001>春の日は過ぎゆく
<2005>親 切なクムジャさん

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【レビュー&ネタバレ】
韓国映画といえば・・・
やっぱり「シュリ」と、この「JSA」でしょう。
興行成績から言えば、どんどん記録は塗り替えられているけれど、
記録の問題じゃないわ。

パク・チャヌクらしい作品ね。
この映画がデビュー作だとはとても思えない。
見事な映画だわ。

イ・ビョンホンは、「Cut」で主演。
ソン・ガンホは、「復讐者に憐れみを」で主演。
イ・ヨンエは、「親切なクムジャさん」で主演。
「復讐者に憐れみを」のもう一人の主演、シン・ハギュンも、
準主役でこの映画に出演しているわ。
スター俳優3人の主演というのも豪華よね。

この映画は、本来敵同士である北と南の兵士の友情を描いているけれど、
パク・チャヌクが描きたかったのは、
友情ではなく、イ・ヨンエ演じるソフィではないかしら?
ソフィは、正義感をかざして
そのために、二人の人間が命を絶ってしまう。
「正しいことが全てではない」
ということではあるけれど、
「正しい」と、思い込んで他人を傷つけている
「自分が正しい」と思い込んだ、思い上がった人間
ステレオタイプの頭でっかち人間へのアイロニーなのでは?

そして、もう一つ。
スヒョンに対しての兵士の証言があるけれど、
北の人民が南の大統領を罵倒した時、
スヒョクは石を投げつけて北の警戒所のガラスを割ったと・・・
けど、これはオ・ギョンピル中士への手紙を投げてガラスを割ってしまったのよね・・・
この世の中は、良くも悪くも
全て誤解で成り立っていると・・・
パク・チャヌクのブラック・ユーモアであり、アイロニーよね。

とにかく、イ・ヨンエの美しさに圧倒されたわ。
この作品で初めてイ・ヨンエを見たのだけれど、
こんな美しい女優さんがいるなんて・・・ビックリしたわ。
けど、人間の美しさは衰えていくものだから・・・
この頃の美しい姿を拝める作品が少なくて残念だわ・・・

そして、mocaはこの作品のソン・ガンホがめちゃめちゃ好きになってしまったの。
あの器の大きさ、男らしさ、頼もしさ、大らかさ・・・
イ・ビョンホン演じるスヒョン宛に書いた手紙の内容でまず惚れ、
4人で和やかな時を過ごしている時のあの笑顔に惚れ、
事件が勃発した時の、あの頼もしさ・・・
どこまでも着いて行きたくなるわ。

シン・ハギュンも、この作品の時は確かにまだ若いのだけれど、
ちょっと頼りなくて小心者・・・まだ幼くて・・・
そんな役もうまくこなすのよね。ビックリ。
本当に、「ウンジ」という別の人間にしか思えなかったわ。

この映画は、朝鮮戦争当時を描いたわけではなく、
ごくごく最近のこと。
現に、軍事境界線はまだ存在するし、
まだまだ現実のものであることを忘れてはいけないわ。
いつ同じようなことが勃発しても、おかしくない・・・
朝鮮戦争からもう50年・・・
一刻も早く解決して欲しいと願うわ・・・
せめて、北と南の人間が自由に交流を持てるようになって欲しいわ。

南北間で頭の痛い事件が起きた。
北朝鮮のチェ上尉(キム・ミョンス)と、
若い北朝鮮警戒所兵チョン・ウジン(シン・ハギュン)が死に、
オ・ギョンピル中士(ソン・ガンホ)が負傷したまま発見される。
容疑者は、事件直後に南北軍事分界線上に倒れていた
南の警戒所兵イ・スヒョク兵長(イ・ビョンホン)。
北朝鮮軍に拉致された韓国兵が脱出し発生した事故だと解析する韓国と、
軍事分界線を侵犯した韓国軍のテロだと主張する北朝鮮が対立する。
中立国監視委員会は、中立国スイス情報団の韓国系少佐ソフィ(イ・ヨンエ)に捜査を依頼する。
ソフィがスヒョクに面会にやってくると、
ピョ将軍(キ・ジュボン)は、「結果は見えている。
アカ(北朝鮮人の蔑称)の奴らが拉致して亡命に見せかけた」のだと主張する。
「この世には二種類の人類しかいない。アカか、それ以外か、だ」と、
ソフィに言い残して去って行く。

ソフィは、ウジンの死体検視に赴く。
8発も撃ち抜かれていたウジン。
いずれも至近距離で撃たれていたため全て貫通。
最初の1発が顔に当たり、即死。
残りは死体に撃ち込んだのと同じことだと。
チェ上尉を撃つ時は冷静だった犯人が、
なぜウジン兵士に対しては感情的だったのか疑問を持つソフィ。

スヒョクの銃に残っていた銃弾は5発。
ギョンピル中士と遺体から摘出された銃弾は合計11発。
弾倉に入る弾は15発。
残りの1発は誰が?
現場に残っていた銃弾は10発。
北の兵士の体を貫通したのに消えてしまった銃弾が1発。
その1発を撃った人間は、自分の存在を隠そうとした。
現場には、第5の人間が存在していたとソフィは推測する。
スヒョクが当日持っていた銃。
誰もがそれをスヒョクの銃だと思っていたが、
それはソンシク一等兵(キム・テウ)の銃だった。
ソンシクは、銃が故障して1発しか撃てなかったと証言している。
ソンシクが返却した銃を調べたところ、血痕が発見された。
死んだ北の兵士の血痕が・・・
スヒョクとソンシクが尋問を受ける。
嘘発見器の話を持ち出された途端、
ソンシクはうろたえ、銃を奪い自殺を図る。
ソンシクが窓から落ちて行くのを見たスヒョクは愕然とする。

過去に戻り─

ある日スヒョクは、JSAの中で地雷を踏んでしまい身動きが取れなくなる。
そこへ、北の兵士オ・ギョンピル中士とウジン兵士が現れる。
スヒョクは二人に助けを求め、
ギョンピル中士は地雷を解体し、スヒョクを助ける。

ろくに礼も言えず申し訳なかったと・・
スヒョクはギョンピルに手紙を書き、おもりをつけ北の警戒所に向けて投げた。
兄貴と呼んでいい?前から兄貴が欲しかったんだ。と・・・
毎日「同士」と呼ばれているから、「兄貴」と呼ばれて嬉しいよ。と・・・
こうして二人の交流が始まる。
ある日、ウジンが冗談で書いた「遊びに来いよ」を真に受けて、
夜中北の警戒所に忍び込んだスヒョク。
ギョンピルとウジンは慌てるが、スヒョクを歓迎する。
三人はすぐさま仲良くなり、夜な夜なスヒョクは北の警戒所を訪ねて行った。

ある日、一緒に南の警戒所に勤務するソンシクが、
あと2ヶ月でスヒョクが除隊してしまうことを悲しんでいた。
ソンシクの寂しさを察したスヒョクは、ソンシクにギョンピルとウジンを紹介する。
最初は戸惑っていたソンシクだが、
ギョンピルの熱い抱擁を受け、内気で友達のいないソンシクは感動する。

その日から、ソンシクを交え4人の交流が始まる。
しりとり、けんけん・・・子供のような遊びではしゃぐ4人。
ソンシクはウジンに、弟のように世話をやいてやっていた。

板門店での警備でも、こっそりとじゃれ合うスヒョクやウジン、ギョンピル。

そんなある日、緊急事態が勃発する。
あわや戦争・・・
燃え盛る豪華を目の当たりにしたスヒョクは、
自分が除隊したら、一人で北の警戒所には行かないようソンシクを諭す。
ソンシクは、ウジンの誕生日と、スヒョクの除隊のお別れのために
最後に北の警戒所へ行こうと提案する。
4人はゲームをし、記念写真を撮り、楽しい時間を過ごした。
ソンシクは、絵画で賞を受賞したこともあるウジンのために、パレットと絵筆をプレゼントした。
感激するウジン。

現在に戻り─
地上に墜落し、朦朧とするソンシク。
そんなソンシクを見たスヒョンは、怒りが沸き起こる。
ソフィに襲い掛かり、首を絞めるスヒョン。

スヒョンとギョンピルが呼ばれ、ソフィの尋問が行われる。
ソンシクの自殺現場を撮影した映像を見せられ、
ソンシクは嘘発見器の話が出た途端、自殺を図った。
それは彼が容疑者であることを自白したことと同じだとソフィに指摘され、
スヒョクはたまらない気持ちになり、ギョンピルに救いを求めるように泣き出す。
慌てたギョンピルは、スヒョクを罵倒し、殴り倒す。

そんな中、ソフィの任務が解かれる。
ソフィの身辺調査が水面下で行われ、ソフィが北朝鮮の将校の娘だということが判明されたのだ。
明日の正午で任務が解かれる。
ソフィはどうしてもこの事件の真相が知りたかった。
ソフィはスヒョクを呼び出す。
「これから面白いショーを始めるわ」
そう言うと、スヒョクの恋人スジョンの写真を取り出す。
「スジョンに会った時、見覚えがあると思った。すぐに思い出した」と、
事件現場に落ちていたウジンの描いた絵を取り出す。
ウジンの絵は、スジョンを描いたものだった。
ウジンはスジョンの写真を持っていた。
消えた1発の銃弾はソンシクのアリバイを覆し、
消えた写真は、4人が親しかったことを物語る証拠。
それを聞いたスヒョクはうろたえるが、
ソフィは、「真実を話せば後任者に何の証拠も引き渡さない」と、取引を持ちかける。
「勲章も刑務所も興味がない俺に、何を与えてくれるんだ?」と、スヒョクは言い放つが、
「あなたが庇おうとしているギョンピル中士の安全よ」
と、ソフィは提案する。
スヒョクは、事件の夜のことを語り始める。


結末ネタバレしますわよー ご 注意を。



あの夜、突然チェ上尉が北の警戒所に見回りに現れた。
スヒョクとチェ上尉は銃を構えたまま睨みあう。
ギョンピルはチェ上尉に「二人は亡命の相談に来たんです」と、説明し、
スヒョクには、「亡命して北朝鮮で一緒に暮らそう。絶対に助けてやる!」と説得するが、
「こいつは手柄のことしか頭にないと兄貴は言ってたろう?殺されるに決まってる」
と、スヒョクは聞く耳を持たない。
ウジンも銃を向けながらも
「兄貴に命を助けてもらったのを忘れたのか?」と、説得する。
スヒョクは涙を呑んで、銃を下ろす。
チェ上尉も、仕方なく銃を下ろした。
ほっとしたのも束の間。
ラジオが突然流れ出した。
その瞬間、チェ上尉は銃を抜こうとするが、
ソンシクが先にチェ上尉を撃つ。
しかし、チェ上尉は銃を抜こうとしていたのではなく、
無線機を取ろうとしていたのだ。
それを見たウジンがソンシクに銃を向けるが、
ソンシクに頭を撃ち抜かれる。
同時に、スヒョンもウジンの手を撃ち抜く。
スヒョンはギョンピルの頭に銃を突きつけるが、
銃が故障し、弾が発射されなかった。
ウジンは、スヒョンの足を撃ち抜くと共に倒れる。
その様子を見て、恐怖に怯えたソンシクは、倒れたウジンに何発も銃を浴びせる。
ギョンピルは朦朧とするソンシクから銃を奪い、
チェ上尉の頭を撃ち抜き射殺する。
ソンシクの銃の指紋を拭き取り、スヒョンに握らせ、
スヒョンの銃をソンシクに握らせた。
「俺たちに拉致され脱出したと言え」と、スヒョンに言い、
「お前はここにはいなかったことに」と、ソンシクに言い聞かせ、二人を逃がす。
別れ際、ギョンピルはスヒョンに自分の肩を撃たせる。

ソフィはギョンピルを訪ねる。
「そうしてウジンは誕生日に亡くなったのね」
ソフィは優しく語り掛ける。
「死んだ奴のことは忘れました」と、ギョンピルは言い放つ。
「スヒョクとソンシクを許せますか?」
と、ソフィはギョンピルに尋ねる。
「もしも立場が逆だったら、私が先に撃っていたでしょう」
ギョンピルは答える。
スヒョクに伝言は?とソフィに尋ねられると、
ギョンピルはスヒョクにプレゼントされたライターを手渡す。

「大事に使っていたけど、煙草はやめるそうよ」
と、ソフィはスヒョクにライターを渡す。
「消えた1発の銃弾は、ラジカセに入ったまま捨てた」と、
ソフィから聞かされ、スヒョクは安堵する。
「ギョンピル中士の証言では、ウジンを最初に撃ち抜いたのはあなただそうよ」
と、ソフィはさらりと話すが、
その瞬間、スヒョクはうろたえる。

「早く退院して、元気な姿で除隊してね」と、ソフィの抱擁を受け、
スヒョクは軍事病院へと搬送されていく。
しかし、スヒョクは銃を奪うと、そのまま拳銃自殺を図る。

最後に映し出される一枚の写真。
行進するウジン。
壁際で警護するソンシク。
写真を撮るのを阻止するスヒョク。
そんな姿を見守るギョンピル。
偶然にも、4人が一緒に写された写真。

最後の写真がせつない余韻を残すわ・・・
まだこの頃は、こうして4人が出会うことも、
悲しい悲劇を迎えることも、誰も知る由もなかった・・・。

スヒョクがなぜ自殺をしたのか・・・
スヒョクは、ソンシクがウジンを撃ったと証言していたけれど、
嘘を証言したわけではなく、そう思い込んでいたのよね。
そう思い込まなければ、耐えられないほどの事実・・・
人を殺した・・・
しかも、自分と親しかった人間を・・・
その背景には、国と国という重い責任があって・・・
その罪の重さに、
その重圧に耐えられない・・・
ソンシクが自殺を図ったのと同じことよね・・・。
だから、消えた1発の銃弾が
ラジカセの中に入ったまま捨てられたことを知り、安堵するの。
自分の銃から撃たれた1発が、
その証拠がキレイに処理されたから・・・
スヒョクの思い込みの記憶では、
スヒョクの銃では、誰一人として殺されていないのよ。
それでも、その1発の銃弾が消えてだけで安堵するほどの重圧があるのよね。
ソフィの口から真実を告げられるまで、
スヒョクは本当に自分の思い込みの真実を信じ込んでいた。
けど、ギョンピルの証言で、
本当の真実に気づいてしまうのよ・・・
ソンシクの死はともかく、
スヒョクの死は、ソフィの個人的な好奇心のために引き起こったこと。
劇中で、上官に「君は板門店を知らない。真実を隠してこそ平和が保たれるんだ。
双方が望んでいることは、事件が曖昧になることだ」と言われていたように、
曖昧にした方が平和が保たれることもあるのよね。
「正しい」ことばかりが全てではない・・・
思い上がった正義。
それは、劇中で上官が言っていたように、
「中立国の人道とは何なのか?」
それと同じことよね・・・




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