アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン I Come with the Rain 
 フランス映画<2008>

ある男が失踪した。手がかりは、名前と年齢、数枚の写真だけ。彼の名はシタオ。 他人の痛みを身代わりとなって引き受けるという不思議な力を持つ。

彼の父の依頼により、元刑事の探偵クラインは、シタオ捜索の旅に出る。シタオの足跡を辿り、LAからフィリピン、そして香港へと辿り着くクライン。そこで 刑事時代の仲間メン・ジーと共に突き止めたのは、シタオがリリという女性と一緒にいるということ。そして、リリを溺愛し、追い求め続ける香港マフィアのボ ス、ス・ドンボもまた、シタオを探しているということだった…。

香港マフィアと警察の抗争、壮絶な逃走劇に巻き込まれながら捜索を続けるクラインは、遂に シタオとの対面を果たす。だが、その時彼の目に映ったシタオの姿とは…

日本公式サイト:http://icome.gaga.ne.jp/main.html
【予告編】

出演

イ・ビョンホ ン(李炳憲)

出演作品一覧




【クライン】
ジョシュ・ハートネット
【シタオ】
木村拓哉
【ス・ドンポ】
イ・ビョンホン
【リリ】
トラン・ヌー・イエン=ケー
【メンジー】
ショーン・ユー

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【レビュー&ネタバレ】
フランス映画ですので、簡単にレビュー書きます。
「イ・ビョンホン&木村拓哉!!」
劇場まで観に行こうかと思ったくらい興味惹かれた映画なのに、今更視聴とは....(笑)
近くのレンタル店では、何のジャンルに並んでるのか謎なんですヨ。
ネットでレンタルしたいドラマがあったので、そのついでに(失礼)借りました。

この映画は、キリストの受難を題材にしたトラン・アン・ユン監督によるフランス映画。
トラン・アン・ユン監督は「青いパパイヤの香り」でカンヌ国際映画祭カメラドール(新人賞)を、
「シクロ」でヴェネツィア国際映画祭のグランプリを受賞というスゴい監督。
でも、萌香って芸術映画苦手だからぁ..........
観たいような、観たくないような、ビミョーさ............
予告編観ても惹かれないし........

やはり観るべきでなかった。
商業映画でなかったのはともかく、芸術映画でもない。ただの宗教映画だ。

この映画は、「イエス・キリストの受難」を題材に制作された。確かに、キリストの受難を題材にしているのは明白だ。
たが、何が言いたい?
キリスト教信者にとっては有り難い映画なのか?
それとも、イエス・キリストの受難を信じず、キリストが身代わりに受けてくれた我らの罪を認識させたいのか?
それだけでなく、クラインが猟奇殺人犯に同化してしまったエピソードがこれまたわからない。
人 類の苦痛、それは世界で最も美しい。

この監督の哲学は、とても理解できない。
「キリストの受難」を忘れてしまった人々、知らぬ人々へのメッセージなのか?

この映画では、シタオ(木村拓哉)を通じて、キリストの受難を描いているわけですが、
無宗教の萌香には、とてもレビューを書く気にはなれません。
もう1つの、24人もの人間を生きたまま切断し彫刻を制作する猟奇的殺人犯ハスワードと、
ハスワードに感化されてしまった主人公のクラインのエピソードにしても、理解しがたい。
これまた「キリストの受難」が題材になっているわけで、
ハスワードは、「キリストの受難」を成就させるために人間で彫刻を制作しています。
なぜ、「キリストの受難」を成就させるために、人類の痛みが必要だったのか。
あまりにも独善的すぎて、萌香には理解不能。
キリストへの生贄なのか?
人間の罪を被って受難を受けたキリストを成就させるために罪を犯して24人も殺す意味がわからない。

そして、ハスワードに感化され、自分も人間の肉体で彫刻を作ることに魅せられてしまったクラインの苦悩、
この映画はあまりにもマイノリティな哲学を示唆しているだけで、受け入れられることは難しいでしょう。
こんな映画なのに、日本の木村拓哉、韓国のイ・ビョンホン、香港のショーン・ユーという人気俳優を出演させ、
自分の独善的な哲学を、興味のない多くの人に示唆できたことは監督としては満足でしょう。
例え、理解を得ることに失敗したとしても。
出演した俳優は、監督に利用されたとしか思えません。


香港マフィアと警察 の抗争、
壮絶な逃走劇に巻き込まれながら捜索を続けるクライン


↑こんな謳い文句は嘘っぱち。

木村拓哉も、イ・ビョンホンも、彼らの持ち味が全く生かされてませんでした。
うじ虫に全身這いずり回られた木村拓哉が気の毒だ。

トラン・ヌー・イエン=ケーは、トラン・アン・ユン監督の奥様です。
いくら奥様だからって、B級女優のようなヒロインは勘弁です。

本当に、監督の自己満足映画ですね。



↓  ダイジェスト的にストーリーを(結末ネタバレ) ↓




2年前のある猟奇連続殺人事件をきっかけにトラウマを抱え、刑事を辞職したクラインは、
世界最大の製薬会社の大富豪から、行方不明の息子シタオを探し、連れ戻して欲しいとの依頼を受ける。
早速、最後にシタオが目撃されたというフィリピンのミンダナオに行くと、彼が7ヵ月前に殺されたと知らされる。
だが、どうやらシタオは生きているらしい。
クラインはシタオが現れたという香港へと向かう。




香港へ向かったクライン。
一方、他人の痛みを身代わりになり引き受けることができるという特殊な能力を持ったシタオは、
人々の痛みを身代わりに引き受けていた。




クラインは、友人である香港警察のメンジーに、シタオ捜しの助けを求める。




その背後でシタオが取調べを受けていることなど知らずに。
自分の横を通り過ぎて行ったシタオを目にし、不信に思ったクラインだったが、シタオだと気づけず。




シタオは、傷だらけの体を撮影された。




その頃テレビでは、警察署の更衣室を金の十字架に塗った青年のインタビューを報じていた。
「主の家の修復」だと告げる青年。「我らの中から、主が再び現れる」と。



メンジーと夕食を楽しむクラインは、警察を辞めた経緯を語った。
24人もの人間を惨殺した猟奇的殺人犯ハスフォード。
クラインはハスフォードを逮捕するために、ハスフォードの考え、行動に同化した。
しかしそのため、自分は精神病院に入れられ警察を辞職することに。




一方、メンジーから執拗に追跡される香港マフィアのドンポは、ヤク中のリリを溺愛していた。
ヤク中に苦しむリリに、「抜け出したいなら、力になる」と、ドンポは告げる。




そんな時、ドンポの部下が裏切り、リリを人質に金を持って逃走した。




リリが乗った車が発見された場所に、ミンダナオのシタオの小屋とそっくりの小屋をみつけクラインは興奮する。
しかも、警察でクラインの横を通ったシタオが来ていた×マークの服をもみつける。
「あれはシタオだったんだ!」




一方シタオは、ヤク中のリリを連れ逃走していた。
リリの体からヤクを抜くために、リリを懸命に介抱するシタオ。時にはリリの苦痛の身代わりになって。




やはり警察で見かけたのはシタオだった。
警察で押収した指紋と、小屋にあった指紋が完全に一致した。




一方ドンポは、行方不明のリリが、ヤクがなくて苦しんでいないか案じていた。
ドンポは部下をメンジーの元へ送り、病院送りにする。




その頃、すっかりヤクが抜けたリリは、シタオを恩人と感じながら安らかな時を過ごしていた。




一方クラインは、ハスフォードから受けた苦痛から逃れられずにいた。
24人も殺害し、肉体の塔を完成させたハスフォードは、「これでキリストの受難は成就する」と、
クラインに自分を殺すよう命じる。死ぬ間際に「ありがとう」と、言い残して。




クラインはハスフォードの死後、ハスフォードの頭をメスで肉体から切り離した。
ハスフォードの感性させた肉体の彫刻に触れながら、ハスフォードの思考に同化したことを感じるクライン。




シタオの肉体の写真を撮った写真を貼りあわせたクラインは、人間の肉体で彫刻を作る欲求に駆られる。




シタオは、自分の限界をも顧みずに、自分を求めて来る人々の痛みの身代わりになっていた。
リリはそんなシタオを見ていられず、やってくる者を追い払う。




シタオに寄り添うリリを発見したドンポは、憎しみに駆られる。




シタオに銃を撃ちこむドンポ。




シタオはドンポに手を差し伸べる。その手を握るドンポ。何とも言いがたい恐怖をドンポは感じる。
「僕を恐れないで」
シタオはドンポに告げる。
「恐れてなどいない」
ドンポは、震えを隠しながら告げる。
「惑わされないで、恐れに」
シタオは告げる。
「地獄を見てきた。おまえなど怖くない」
ドンポはそう言ってシタオを小屋から引きずり出す。




まるで十字架を背負うかのように、シタオの両腕を板に釘で撃ちつけさせるドンポ。




そんな時、「我らの中から主が現れる」と言っていた青年がシタオをみつけ、
シタオが「主」であることを察する。




そしてクラインもシタオを発見する。青年により金色に塗られ冠まで被せられたシタオを。

END

なんだよ、この終わり方!


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