目には目、歯には歯  Eye for an Eye 
 原題:目には目 歯には歯 눈에는 눈 이에는 이(ヌネヌン  ヌン イエヌン イ)<2008>

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目には目、歯には歯

真昼のソウル都心で起きた数十億ウォン現金輸送車量強奪事件に続き、済州島空港 で密輸金塊600kgが煙のように消える。

伝説的な刑事ペク班長(ハン・ソッキュ)の名前を名乗り、完全犯罪を成功させた犯人は、まさにアン・ヒョンミン(チャ・スンウォン)。怒ったペク班長は、 アン・ヒョンミンを執拗に追うが、アン・ヒョンミンはいつもペク班長の網から抜け出す。

勝者が決まらない息詰まるレースが続く中で、危機に陥ったアン・ヒョンミンは、逆にペク班長の前に現れ、自身の命を含めた思いがけない提案をする。果たし てこれはチャンスなのか、罠なのか。

公式サイト:http://www.eye2008.co.kr/

【予告編】

監督 カク・キョンテク <1998> ドクターK、<2001>友へ チング、<2002>チャン ピオン、 <2003>ト ンケの蒼い空
<2005>タイフーン、<2007>愛 サラン、<2008>目には目、歯には歯、<2011>痛み
アン・グォンテ <2004>マ イ・ブラザー、<2008>目には目、歯 には歯

出演

ハン・ソッ キュ(韓石圭)

<1995> ドクター・ポン、<1996>銀杏のベッド、<1997>ナンバー3、< 1997>グリーン・フィッシュ、
<1997>接続、<1998>八 月のクリスマス、 <1999>シュリ、 <1999>カル、<2002>二 重スパイ
<2004>スカーレット レター、<2005>ユゴ 大統領有故、 <2005>ミスター主婦クイズ王
<2006>恋の罠、<2006>殴打誘発者たち、 <2006>愛すると きに話すこと、<2008>目には目、歯 には歯
<2009>白 夜行-白い闇の中を歩く、<2010>2階の悪党

チャ・スンウォン(車勝元)

出演作品一覧

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【レビュー&ネタバレ】
2008年7月30日韓国公開。観客動員数は約210万人。
韓国映画界低迷のこの時期において、貴重な200万人突破のヒット作。

高い検挙率を誇る血の気の多いベテラン刑事と、MBA出身の知能犯の追跡劇。
追跡劇といえば、現在2008年の動員数2位のチェイサーが 思い浮かぶ。
チェイサーはスリラーであり、残酷 なス プラッター風。
対して、こちらは頭脳戦であり、血はほとんど流れない。
そして、追撃戦だけではなく、きちんと人間ドラマが描かれている。

前者であるチェイサーは若者向けのスリルたっぷ りの 映画であり、
後者である目には目、歯には歯は、推理劇 と、男達の義理・友情、そしてアクションを楽しみたい方向け。


物語は、現金輸送車襲撃事件から始まります。
刑事を辞めようとしていたペク刑事ですが、
この事件に自分の名前を名乗った男がいると知り、退職願を保留にし捜査に乗り出します。
ペク刑事の名を偽ったのは、犯人であるアン・ヒョンミン。
アン・ヒョンミンは、検挙率の高いペク刑事をわざわざ選んで事件に巻き込んだ。
「俺に止めて欲しいのか?」
と、悪事を働かぬよう検挙して欲しいのかとペク刑事はアン・ヒョンミンに尋ねるが、
アン・ヒョンミンには、別の目的があった。
現金輸送車に続き、今度は密輸金塊を強奪するアン・ヒョンミン。
現金輸送車に、密輸金塊... どちらも、財閥総裁キム・ヒョンテのものだった。

ペク刑事とアン・ヒョンミンの追撃戦。
そして、ペク刑事の長年の因縁の相手であるキム・ヒョンテ。
次々とペク刑事らを煙に撒き、完全犯罪を成功させるアン・ヒョンミン。
その華麗な技を十分楽しめますし、アン・ヒョンミンの身元が明らかになっていく過程も興味をそそります。
そして、欲と悪の象徴であるキム・ヒョンテ。
アン・ヒョンミンは、なぜキム・ヒョンテをターゲットにするのか。
追撃戦と、謎解きが、スピード感溢れる展開で繰り広げられます。


正直、まったく期待していなかった。
なんといっても、ハン・ソッキュは嫌いですし........
制作発表会のチャ・スンウォンのレゲェヘアにひきました....
(あの髪は、映画とは関係ありませんでした)

ですが、ここ最近で 一番のお気に入りの映画になりまし たっ!
1回見るだけではもったない。


mocaは、カク・キョンテク監督は、前作の愛 サランを 見て、も う終わったと思いました。
その前のタイフーンなんて、大作であるのに散々でした し....
ですから、今回ちっとも見る気にならなかったんです。
ですが、 質が高い映画と聞き、それならば.... と.....
なんせ、男達の義理という話が、mocaの興味をそそるのでございます。
評判通り、なかなかレベルの高い映画ですね。
しっかり練られた久々の秀作。
脚本はキム・ドンウ。そして監督は、アン・グォンテとの合同。
脚本の勝利であることは間違いありませんが、
演出面では、アン・グォンテの功績ですね。
アン・グォンテは、個人的事情により途中降板し、師匠であるカク・キョンテクに引き継いだわけです。
アン・グォンテ監督がほとんど撮り終えていたということで、
カク監督は終わりの方をシナリオに手を加え、撮影したというわけだそう。
カク監督では、この映画は作れません。
オーソドックスな骨太の昔風映画しか、撮れないでしょう。
この映画の魅力は多々ありますが、スピード感溢れる展開、映像、
そして、スタイリッシュさと、見事なカットワーク。
カク監督の持たないものです。
ラスト近くだけが、カク監督色になっている感じでしたね。

カク監督がシナリオに手を入れたそうですが、
元々のシナリオでは、ラストはどうなっていたのでしょうか。
カク監督でなかったら、あのラストはなかったのかもしれません。
映画全体が魅力的ですが、あの意表をつくラストは大好きです。
まさに、男の義理と友情を描かせたら天下一品のカク・キョンテクです。
結果オーライ!というところでしょうか。
カク監督の稚拙な演出でも、全体的に優れた作品なので、映えたのでしょうね。

以前は、あの顔が苦手で大嫌いだったチャ・スンウォン。
血の涙拍手する時に去れ息子 と、どんどん好きになり、今回惚れました!
義理や情を大事にする男らしいキャラクターがピッタリハマっておりました。
そして今回、モデル時代のイメージを払拭するために避けていたというダーク系の細身のスーツで登場。
これがまた、ため息が出るほどキマっているのです。
警防片手に仲間を救う場面では、あまりの鮮やかさと軽やかさで、もう釘付け。
繰り返し、リピっちゃいます。
まさに、チャ・スンウォンのための役。

対して、最近なりを潜めていたハン・ソッキュですが、この役は彼には難しすぎたのでは?
あまりにもカリスマ溢れ、義理人情を密かに大事にしており、
異常者的であり、血の気が多く、ユーモアにも溢れる。
ハン・ソッキュのカリスマがなくなってしまったことを、悟ってしまう結果になってしまったように思います。
この役は、ソン・ガンホや、ペク・ユンシクでしたら、もっと輝いたでしょうね。
ハン・ソッキュのファンにとっては、相変わらずかっこいいままのハン・ソッキュに映ったかもしれませんが。

困ったのが、登場人物の多さ!
似たような風貌で、敵か味方かさえも、見分けられぬほど。
意味のある端役には、それなりの個性を出して欲しいですね。
そのせいで、展開についていけない部分もありましたから。

【ペク・ソン チャン】
ハン・ソッキュ 한석규
【アン・ヒョン ミン】
チャ・スンウォン 차승원
【キム・ヒョン テ】
ソン・ヨンチャン 송영창
【アントニオ】
イ・ビョンジュン 이병준
【ファン・ミン チョル】
チョン・インギ 정인기
【キム・ドス】
ソン・ビョンウク 손병욱
【ソン・ユゴ ン】
キム・ジソク 김지석
【チャ・ヨン ジェ】
イム・ソンギュ 임성규
【ドスの母】
キ ム・ヘスク 김해숙
【イ刑事】
チョン・ユン 정윤

情け容赦なしや、うつせみのソン・ヨンチャン。
今回は、悪の象徴として出演します。
ペク刑事が長年捕らえることのできなかった悪党であり、アン・ヒョンミンの復讐の相手。

オカマのアントニオが最高 抱きしめたくなるほど、大好き。あの不恰好さがたまらない。
覆面ダルホの演歌歌手。

追撃者のファン・ミンチョル。ハゲ たせいか(すみません)、個性的になって最近イイ感じ。
キム・ジソクはまだ印象に残りますが、イム・ソンギュはいらん!
毎回顔が違うなんて、役者としてどーよ!
変装したとしても、その人だとわからなきゃ意味なし。

そして、mocaの大好きなソン・ビョンウク!かっこいいー
正しく生きようよりも、随分 出演分量が増えましたねー
端役から、助演に昇格でしょうか?
もっと、もっと見たいですー
ソン・ビョンウクの娘役は、セブンデイズのウニョンこと、イ・ラヘちゃん。
母は、特別出演のキム・ヘスク。

チャ・スンウォンの父には、特別出演のチョン・ムソン。

チョイ役ですが、チョン・ユンは、スマイル・アゲインのイ・ドンゴン先輩。

+ + +

↓ さて、思いっきりネタバレしますので、未見の方はご遠慮くださいませ↓


世間から見れば、ろくでなし軍団。
しかし、チャ・スンウォン演じるアン・ヒョンミンを筆頭に、絆と義理が生まれる。
彼らを悪に走らせたのは、彼らのせいではないと思ってしまう。
誠意を以って接すれば、誠意に応えようとする義理堅さと情が、彼らにはあるのだから。

そもそも、アン・ヒョンミンは悪ではない。
復讐が人を悪に走らせる。
悪いのは、復讐される側。
まさに、復讐者に哀れみを、だ。

ろくでもなかった人生を送っていた彼らの人生を切り開いてやろうとするヒョンミンの心と義理を知り、
強盗団の面々にも芽生え始める義理と友情。
とにかく、ヒョンミンがハンパじゃなくカッコいい。

危険を承知で、キム・ヒョンテの情報を渡したユン常務と、
自分のために命を失う義理はないと、捕まった仲間を命がけで助けようとするヒョンミン。
復讐のためだけに利用するのではなく、仲間として絶対に見捨てない。
そんなヒョンミンに心を動かされる仲間たち。
せっかく国外脱出したのに、ヒョンミンを救うために戻ってきてしまう。
そして、心を動かされたのは、ヒョンミンだけではない。
ペク刑事も同じだった。

ラストの取調べで、ペク刑事がしてやられたと高笑いしたのは、
見事にアン・ヒョンミンに騙されたからだ。

今夜3時に、金と金塊を持って港へ行く。
そこで(ヒョンミンを含め)二人とも逮捕すればいい、と。

それは、金が目的じゃない、復讐だ。
というヒョンミンの心のあらわれであった。
だからこそ、ペク刑事はヒョンミンを逃がしたのであろう。
悪いのはヒョンミンでなく、ヒョンテなのだから。
ですが、ヒョンミンは実は金塊を偽者と摩り替えていたわけで....
目的は金ではない、というのは嘘になるわけですね.....
まぁ、ヒョンテに奪われたものを取り返すのは当然ですが......
あれくらいじゃ足りないくらいです。

まぁ、ペク刑事がしてやられた....というのはわかりますが、
ヒョンミンを逃がした時のヒョンミンの表情を回想しますが、あれは何の意味が?
ヒョンミンの表情としては、「申し訳ない...」という感じでしたけど。
逃がしてくれたのに、騙して申し訳ない...だったのかしら?
だとすれば、なぜ手紙には、「騙したことは不届きだと思わない」と書いたのか?

きっちり練られたシナリオなのに、ラストがねぇ... 
最後だけがわかりづらい。
だからこそ、カク監督は無能だと思ってしまうのよ。
 





 

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