DMZ 非武装地帯 追憶の三十八度線 
原題:DMZ,비무장지대 DMZ,非武装地帯(ピムジャンジデ)  <2004>

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DMZ 非武装地帯
1978年の冬。キム・ジフン(キム・ジョンフン)は、苛酷な訓練を受ける。前 方戦闘小隊に配置され たジフンは、走り込み と殴打で名高い軍隊生活に適応していく。映画科という理由で連隊の広報課に連れていかれ、各小隊を回りながら映画を上 映する仕事をする。 そんなある日、ジフンは偶然に風変わりな男イ・ミンギ(パク・コニョン)に出会い、運命のように親しくなる。それから間もなく、ジフンはミンギの所属する トンネル捜索隊へと志願する。ホテル・ココナッツと呼ばれる警戒所の前に雄々しく立つアカシアの木で作っ たココナッツの木。そして、ミンギのカリスマ的な雰囲気と洒落た食器に入れる洗練された食事。ジフンは驚くばかりだ。ジフンは、ミンギと利己的なヘ リョン(チョン・ウンピョ)の三人で軍隊生活を始めるようになる。

一方北朝鮮は、トンネルを掘り南への侵略を計画する。そして地上では、韓国の視線を分散させるために、特殊部隊員たちが休戦ラインで示威行動を繰り 広げる。その中で最も有能な能力を保有するリ・サンホ上尉(チョン・チェギョン)は、他の部隊員たちと共に韓国の軍人たちを弄ぶように蹂躙する。非武装地 帯に入りト ンネルの有無を確認しなければならない状況で、北朝鮮警戒所が直ぐ前にある。肝が据わってなければ到底やり遂げられないことを、ココナッツ警戒所の部隊員 た ちは、才覚とその肝っ玉で鮮やかに処理していく。霧が立ちこめた非武装地帯に入った新隊員たち。ジフンは道に迷い、北朝鮮民政警察との交戦が始まってしま う。その渦中でミンギは、ジフンを助けたことにより自らの命を落とす。ミンギを失い悲しみに暮れるジフンたちは、負傷したリ・サンホ上尉を生け捕りにす る。彼は娘のために自分を 殺してくれと懇願する。
【予告編】


監督 イ・ギュヒョン(李奎炯) <1987>青春スケッチ、<1988>大人たちはわからない、<2004>DMZ、非武装地帯

出演

キム・ジョン フン(詳細

<2004>DMZ、非武装地帯、 <2004>ふざけるな、<2006>霧の視程距離、<2009>カフェ・ソウル

パク・コニョ ン

<2004>DMZ、 非武装地帯、<2005>ダンサーの純情、<2006>ダメ男の愛し方(生、ナル先生)
<2006>ガチデン 堤防伝説

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【レビュー&ネタバレ】
2004年11月韓国公開の 「DMZ 非武装地帯」でございます。
DMZ(디엠지)は、<非武装地帯:Demilitalized Zone>の略。
DMZ 非武装地帯ツアーなんてものもあるので、ご存知の方は多いかしら?
韓国・北朝鮮間の休戦ラインに沿って南へ2km、北へ2km設置された、軍事力の配備を制限した地域のことでございます。 現在では、このDMZは朝鮮半島にしか存在しないそうよ。
もうおわかりだと思いますが、南北分断の悲劇を描いた作品でございます。
でも、いわゆる戦争ものとは一風変わっているわ。
時代が1978年ということでおわかりだと思うけれど、戦時中ではございません。
1979年に朴大統領が暗殺され、その後49日間の政権不在という非常事態の中、北朝鮮軍が韓国に侵攻。第二次朝鮮戦争の危機を招いた。その時DMZでは どのような様子だったのかを描いた実話でございます。ただ、全てが実話なわけではなく、この映画の監督であるイ・ギュヒョンの体験した実話を基にした作品 で、フィクションとノンフィクションの境目が曖昧な、想像でもなく、実話でもなく・・・・限りなく実話に近いフィクションというべきでしょうか?
劇中で披露される数々のエピソードは実話だそうよ。
走り込みに代表される厳しい訓練や暴力・・・軍事内部を綿密に描いた為に、国の協力が得られずに衣装やセットを全て自分たちで用意しなければならなくなっ たという・・・韓国ではかなりの問題作だったようよ。その為、しばしば制作費の不足により撮影中断し、クランクインから3年かかったという・・・・。イ・ ギュヒョン監督は、兵役中からこの体験を基に映画を作る構想を練っていたけれど、このような衝撃的な内容を公開できるような時代ではなく、2000年にな りようやくその時代がやってきたと、この映画の製作を開始したそう。およそ30年前に、韓国ではこんなことが起きていたのか・・・という衝撃もしかり、兵 役については厳しいだろうという想像はしていても、その内部を垣間見るとかなりの衝撃を受けるわ。
かといって、そんな重々しい内容ではなく、この時代に軍隊生活を送った若者たちの青春を描いたコミカルな内容が全般を占めるので、涙涙の戦争もの・・・・ とはちょっと異なるわね。
女性物の下着をつけるとよい配属先に配置されるとか、眠っている間に巡回してきた上司が銃を隠してしまうとか、暴力上司を追い出すために、上司の帽子に悪 戯して病院送りにしたりとか・・・ヘビ酒を造って米兵と物々交換して、煙草やお菓子を手に入れ、軍隊生活を楽しんだりとか・・・そんな若者らしいユーモラ スなエピソードを交え、暢気な雰囲気が延々続くのよね。ラストに向けて、いきなり緊迫した状況に陥るわけだけれど、そんな重々しさを感じられないまま突入 したために、ちょっと気持ちがついていけなかったかも・・・・そんな緊迫した事態がいつも身の回りにある・・・それを全く感じられていなかったから・・・ あくまでも訓練である兵役生活・・・そんな風に捉えすぎちゃっていたのかもしれないわね・・・
いつ北朝鮮との戦争が始まってもおかしくない・・・そのための軍隊であることを忘れすぎてしまっていたのかもしれないわ・・・

mocaは・・・・
<宮>を観て、キム・ジョンフンが観たいがためにこの映画を借りてきたという・・・(笑)
同じ目的の方もいらっしゃると思いますが、キム・ジョンフン熱が萎えませんことを祈るわ・・・(笑)
王子キム・ジョンフンを期待したらダメよー
軍隊・・・ということで、予想通りキム・ジョンフンも短髪で、
mocaは予想通りかなり萎えちゃいました(笑)
なんだかまだあどけないというか・・・別の意味で可愛いわね(笑)
ただ、彼の演技力は、「この映画で演技をちょっとかじった」なんて程度じゃないと思うわ・・・
あの泣きの演技は見事だと思うわ・・・・
パク・コヒョンは、今まで観た中で一番ステキだったわー
予告編では、なぜかパク・コヒョンが主演のようだわよね(笑)
キム・ジョンフン演じるジフンが初めてパク・コヒョン演じるミンギに出会った時のシーン、
殴られているジフンを助け、相手を痛快にやっつけちゃうのだけれど、
「やっぱり強い男はかっこいいわー」と、惚れ惚れしちゃいました。
見た目もなんだか爽やかで、他の作品で感じた(moca的に)イヤラシサもなくて(笑)
ヘリョン役はチョン・ウンピョ。<霊-ユリョン->で料理長役だったけれど、ここでも<ホテル・ココナッツ>の料理長なのね?(笑)
ユリョンでは、彼の死があまりにも悲劇的で泣いたので、ここで彼の元気な姿を見て、ちょっと立ち直ったmocaでございます。

映画としての良し悪しは置いておいて、軍隊のことや南北のことを知るには
とてもよい映画だと思うわ。



結末までネタバレするわよー



北は、南へ侵入できる トンネルを掘り続け、それは20本ほどに もなるという事実はよく聞くわよね。けれど、実際にみつかっているトンネルは3本だけで、そのトンネルの中には、あと100mほどで南へ繋がっていたもの もあり、韓国の国民を震え上がらせたそうよ。
そのトンネル捜索隊に所属するのが、ミンギやジフンたち。最前線という最も危険な部隊。
朴大統領が暗殺され、 その後49日間の政権不在という非常事態 になり、北朝鮮は「韓国は崩壊寸前だ」と、侵攻してくるのよね。深い霧の中、ジフンたちは侵入してきた北のゲリラ部隊と交戦になってしまい・・・ジフンは 霧のために仲間たちからはぐれてしまって・・・ジフンを探しに来たミンギは(探しに来たのよね?)、ジフンと共に北のゲリラ部隊に包囲されてしまい・・・ 「このまま北へ帰ってくれ。そうすればこの事態は丸く収まるんだ。それがイヤなら、この場で撃ってくれ」と、敵の銃を掴み、銃口を自分へと向けて・・・動 揺した敵は発砲してしまうが、その瞬間銃口を敵の方向へ向け、弾は敵に命中しミンギは助かるが、銃撃戦になってしまい、ミンギは銃撃を受け死んでしまう。

「ジフンのためにミンギは命を落とす」と、当たり前のようにどこでも目にするし、監督もそう言ってるのだけれど、もう少し明らかにジフンのために命を落と したように描いて欲しかったわ・・・・
ジフンのため・・・というのが、少しもわからないのですが?
はぐれたジフンを探しに来たがために、命を落とした・・・そういうことでよいのかしら?
きっと、ここは実話なんじゃ?と、mocaは思ったわ・・・
「ジフンのためにミン ギは命を落とす」と謳うなら、もっとドラ マティックになっていいものだもの。
自分のために慕っていた先輩が命を落とし・・・その自責の念に苛まれて・・・だから、ジフンを庇ったわけではないように見えるこのシーンに、「ジフンのた めにミンギは命を落とす」という表現になったのじゃないかしら。事実を知っている監督だからこそ、そんな風に・・・
けど、監督のインタビューからは、そんな想いは感じられなかったわね(笑)
カリスマ溢れる青年も、死を前にすれば弱くなり・・・・20代の若さで死ぬということは、言い知れぬ恐怖だということを描きたかったと、監督は言っていた わ。

そして、この映画の一番の問題定義であるクライマックス。北のゲリラであるリ・サンホ上尉を生け捕りにするのだけれど、軍人というものは、自害することも できずに敵に捕まれば、それは「相手に渡った」という裏切り行為と見なされることで・・・残された家族は悲惨な運命を辿るのだと・・・。娘は殺されるか、 一生炭鉱で働かされることになる・・・娘のために、<この場で殺してくれ>とリ・サンホはジフンたちに懇願し・・・。生け捕りにしたらすぐさま本部へ報告 することが義務であり、自分の独断で殺したことがバレれば、ジフンたちにはそれ相当の罰が与えられる。ミンギが殺された時、捕らえられることを拒み「この 場で撃ってくれ!」と叫んだミンギの声が頭から離れないジフンは、望み通りこの場で射殺してあげたいと言い出して・・・そんなジフンたちをヘリョンだけは 「どうかしてる!」と、一人本部へ報告に行ってしまうのだけれど、ジフンと軍曹はリ・サンホをその場で銃殺することに決め、ジフンはリ・サンホに涙ながら に銃を向ける。そんなジフンの涙を見たリ・サンホは、「ありがとう。迷惑をかけたな」と、涙ながらに言い残して・・・・

このリ・サンホの「迷惑をかけたな・・・」の言葉に、mocaは大泣きです・・・・
これが事実なのか、事 実じゃないのかは不明だけれど、このよう な判断が、この頃の軍隊には当たり前にあったようよ。境界線を越え、亡命してくる北の人民は絶えなくて・・・
けれど、<亡命>というのは、南の金網を乗り越え、そこで白旗を降った時点で初めて<亡命>と見なされるのであり、DMZで掴まったら、それは<亡命>で はない・・・

動くものは全て撃て!

それが、このDMZでの決まりであり、それを拒むことはできない。亡命しようと危険を冒してきた人間を、「亡命者ではない!」と、銃殺しなければいけない 苦悩・・・・
軍人として規律を守るべきか、人間的であるべきか・・・
どこまでがフィクションで、どこまでがノンフィクションか、という問いに、「フィクションの部分が現実とは逆だということです。今の兵士なら、捕虜をその まま保安隊に引き渡すのに、この場面では相手を殺すことが良心的なこととなる」と監督は答えておりました。
実際には、亡命してきた人をいくら命令であっても殺せず、保安隊にそのまま引き渡す・・・それが実話での人間的な判断。映画では、これが逆になっていて、 殺すことが相手にとって良心的であるという人間的判断に置き換えられているのですね。相手を殺さないということは、人間的な面での良心的呵責に捕われるこ とはないけれど、相手を殺さなければ救ってあげることができないということは、人間的にはかなりの苦悩ですね。だからこそ、こんなにドラマティックになっ たと・・・


そして、10数年後・・・

ジフンは映画監督になっている。ある日、新聞で「東京射撃大会」の記事を見て、北朝鮮の選手リ・スヒョンが、リ・サンホの娘ではないかと気づき・・・東京 の新聞社に電話をする。東京の新聞社の協力を得て、記者と偽りリ・スヒョンに接触するジフン。そして、リ・サンホから託された写真と手紙をスヒョンに手渡 し・・・「極限の状況でも、敵を信じて手を差し伸べる。この手紙を渡してくれた彼のような人間が真の英雄だ。辛くなったらいつでも空に向かってお父さんを 呼ぶんだよ。父さんが空から大きな愛を贈ってあげよう」という父の手紙を読んで号泣するスヒョン。

このシーン・・・かなり???な感じで・・・つながらないのよ・・・
いきなりスヒョンが手紙を読みながら泣いてて・・・
と思ったら、全面カットされてたのね(笑)
カットされている部分では、ジフンがお父さんに頼まれたと、写真と手紙を手渡して・・・
お父さんがどれほどあなたのことを愛していたか、それを伝えたいと・・・
「どうしてあなたがこれを持ってるんですか?」と、問いただされ
「私があなたのお父さんを撃ち殺したのです」と、告白するのよね・・・・

このシーンは必要ないとカットされたのだろうけど、「私が撃ち殺した・・・」それをスヒョンに告白することは、かなりの勇気がいることよね・・・
ジフンが雨の中で一人物思いに佇むシーンは、この告白も含め・・・
いくら殺すことが良心的な判断だとはいえ、人を殺してしまった苦しみに今でも苛まれていることを表しているのよね・・・・

最後、死んでしまったミンギとリ・サンホが、ヤシの木が立つ海辺で肩を並べ笑い合っているという・・・かなり意味不明なシーンで終わるのよね(笑)
韓国でも、論議というか・・・話題というか・・・なったそうだけど、当たり前(笑)
これは<監督の願い>だそうよ。
ジフンのために命を落とした男と、ジフンによって命を奪われた男が、
天国では親友になり、楽しく暮らしている・・・そんな風になったらいいな、と・・・
天国では、南も北もない、イデオロギーもない・・・
それが監督の願いであると・・・





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