| ブレス BREATH |
| 原題: 息 숨(スム)<2007> |
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| 監督 | キム・キドク(金基徳) | 作品一覧 |
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出演 |
チャン・チェン(張震) |
<2007>ブ レス(息) |
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パク・チア |
<2002>バス、停留所、<2002>コースト・ガード、<2003>春夏秋冬そして春、
<2004>うつせみ、 <2007>ブレス(息)、<2007>奇談、<2008>悲 夢 |
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ハ・ジョンウ |
出演作品一覧 |
| 【レビュー&ネタバレ】 |
| キム・ギドク監督の14番目の作品。 前作<絶 対 の愛(時間) >公開時、激しいバッシングを受 け、 当時編集中だった新作<息>は公開しないと発言しましたが(<絶 対 の愛(時間) > 参照のこと)、 2007年4月に公開し、実質的に引退を撤回。 <絶 対 の愛(時間) を観てくれた3万人のために戻ってき た、と語っています。 初の海外スターを主役に起用。 台湾のトップスター、チャン・チェン。 当初は日本人俳優を想定していたが、願い叶わず。 次回作の非夢で願いを叶え、オダギリ・ジョーをキャスティング。 主人公の死刑囚チャン・ジンは声を失った設定なので、韓国語を話せなくとも問題なし。 そもそもキム・ギドクには、主人公にセリフがないことは珍しくもない。 セリフなしに、目だけで演じたチャン・チェンは見事だ。 ヒロインには、<コースト・ガード>の狂気的な 演技でインパクトを与えたパク・チア。 今回は<チア>として出演。 彼女の演技力は凄まじいものがある。 美人といっていいのか微妙な顔でありながら、妙に印象深く、 <奇談>のような品のある役から、狂気的な恐ろしい役まで難 なくこなす。 けれど、どうも好感を持てない。 演技力ではチョン・ドヨンを軽々と超え、人気ではチョン・ドヨンには叶わない。 前作<絶 対 の愛(時間) >は、ともかく素晴らしい出来で感 動した。 キム・ギドク監督も絶対の自信を持って公開したくらいだ。 なのに興行に失敗し、悔し紛れに暴言を吐いてしまうことも理解できる。 あんなスゴイ作品なのにね。 今回はキム・ギドクらしさと、キム・ギドクらしくない面が共存。 <サマリア>以降の作品を好きな方には、ちょっとオスス メできないかもですね。 美しく、叙情的で、衝撃的..... そんなキム・ギドクの世界を期待してはいけません。 ![]() 鮮やかな色使い、斬新なコントラスト。 ため息が出るほど美しい映像。 それらは健在ではあるけれど、ちょっと物足りない。 今回は天使のモチーフがふんだんに使われ、ノスタルジックな雪景色や スタイリッシュな町並みが楽しめます。 ロケが行われた<ヘイリ芸術村>も、この作品にピッタリ。 カメラワークの一つ一つにも注目してください。 細やかなところにも気遣いが。 高速道路の場面では、有刺鉄線さえも美しく、 鏡やガラスを使ったカメラワークにも、鳥肌が立ちます。 初期の頃には見られなかった、キム・ギドク監督の美しい世界。 それは健在ではあるけれど、原点に返りつつあります。 キム・ギドクが切実に訴えたかったメッセージ。 <悪 い男 >や、<絶 対 の愛(時間) >の総決算とも言える作品。 <うつせみ>のような崇高な愛はどこにもなく、 <悪い男 >のように現実離れしてもない。 現実的な愛の物語。 息とは...... 吸って、吐く...... 吐いて、吸う...... その繰り返し。 愛とは...... 憎んでは、許し....... 許しては、憎む....... その繰り返し。 愛を息に例えて描いたキム・ギドク流、愛の物語。 愛しているからこそ、憎むのであり、 愛しているからこそ、許してしまう。 それが、この<息>というタイトルに込められたメッセージであろう。 そして、Sexは愛の完成形でも、愛の象徴でもない。 体などは無意味なことだということを描いている。 Sexすることは愛などでなく、ただの性欲、動物の本能でしかない。 <悪い男>で伝えようとしたキム・ギドクの世界観。 それは相変わらずらしい。 だが、キム・ギドクは変わった。 何かふっきれたのだろう。 メディアの前に現れる場面でも、常に余裕の表情を見せたという。 それは、作品にも表れている。 もう見る側のことを意識することをやめたのだろう。 自分のやりたいようにやろう、そういった意識が作品から見て取れる。 あれだけ自信を持って公開した絶対の愛(時間) の興行失敗。 今までのキム・ギドクになく商業的な面白みを持った映画だったにも関わらず。 あそこまでしたのに結果が同じなら、好きなことをしようと考えるのも当然だろう。 (<サ マリア >以降、毎回動員数3万人を超えておりましたが、 好き放題やった結果、この<ブレス>は、1万人を超す程度で終わりました) 劇中に俳優として登場(あれを演技と言っていいのか...)するキム・ギドク。 そこにも、キム・ギドクの意識が表れている。 劇中でミュージカルさながらに歌い踊るパク・チアを楽しむキム・ギドク。 キム・ギドクの心の余裕を見せたかったのだろう。 それだけでなく、傷つけられたプライドの恨みを晴らしてもいるように見える。 映画を見て、どう解釈しようか悩む人々を、一人高みの見物でせせら笑っている監督の姿が重なる。 自分の思い一つで他人をどうにでも操作できるというキム・ギドクの負けん気が表れている。 だが、そのために映画としての品格が落ちてしまった。 作品に対するキム・ギドクの愛はその程度か。 恐ろしいほどの才能を持った人なのに、残念だ。 この作品は好きじゃない。 ガッカリ。 この映画じゃ、生きることが ' 辛い ' と感じている人に、エネルギーは与えねえだろう? 観た者に好き放題言われ、 他人の意見に左右され、 その末に、観る者ありきで作っても、 結局理解されず。 その上、韓国中を敵に回したかのような酷いバッシングを受け、 キム・ギドクの心は相当深く傷ついたことでしょう。 きっと、劇中のパク・チアの歌を楽しんでいるキム・ギドクは、 この映画は自分が楽しむために作ったと言いたいのかもしれませんね....... そう考えると、本当に可哀想で胸が痛むし、 この作品にも理解を示したいと思ってしまいます。 興行成績は全く意識せず、自分のために作った作品。 だから今回は、日本の資本提供を受けなかったのかもしれませんね。 最 初っからネタバレしていきますよ! ネ タバレしたからつまらなくなる.... という作品ではありませんが、未見の方はご注意を。 死を間近に控えた死刑囚の愛の物語。 せつない極限の愛。 と思って観る方がほとんどでしょう。 しかし、違います。 二人は何度か会ううちに、欲望以上の感情を抱くようになります。 ヨンは自分が幼い頃、5分間死んだことがあるとチャン・ジンに告白し、 会うたびに自分の話を聞かせ、心を開いて行く。 ヨンはチャン・ジンに「もう死のうとしないで」と哀願する。 二人はほんの短い一時を見つめ合って過ごし、 2つ目の季節、夏にキスをする。 この一時だけが二人にとって幸せな時間となる。 この世に未練などなかったチャン・ジンには、生きる喜びを感じ始め、 ヨンもまた、チャン・ジンに会うことだけで自分を支えていた。 これってどこかで聞いたような? そう、カン・ドンウォンとイ・ナヨンの<私たちの幸せな時間> のようね。 人々は、あのような映画を美しいと感じ、それをせつない愛、純愛と呼ぶ。 しかし、この映画は、その<私たちの幸せな時間>を 皮肉っているような映画だ。 夫の浮気により、空虚で満たされぬ想いに苦しむ。 そんな時、何度も自殺を図る死刑囚チャン・ジンの存在を知る。 チャン・ジンに自分を重ね、憐憫を感じたヨン。 けれど、それはヨンの勝手な思い込みにしか過ぎなかったのだ。 天使をモチーフにしたオブジェを作り続けてきたヨン。 その天使のオブジェたちに自分を投影させるかのように。 夫の浮気により作り上げたオブジェは、心が空洞のオブジェだった。 空虚で満たされぬヨンの心。 夫にチャン・ジンとの関係を知られ阻止されるが、 それでもヨンはチャン・ジンの元へ向かうことをやめようとはしなかった。 そのヨンの足を止めたのは、ヨンの娘ミョンヒ。 娘を不幸にして、自分が幸せになることはできなかったヨン。 そして、ヨンはついに知ることになる。 チャン・ジンが何の罪を犯したのか。 チャン・ジンは妻と娘を殺害したのだった。 チャン・ジンが何の罪を犯したのか.... それを知ることを、もう一歩のところで阻止されていたヨンと観客。 それがようやく明らかになる。見事な演出。 チャン・ジンの罪を知ったヨンは、チャン・ジンに怒りを覚える。 自らを投影した心のないオブジェを破壊し、チャン・ジンの元へと向かう。 しかし、今度は冬のプレゼントは一切用意せずに。 四季をプレゼントしようとした美しいヨンの心を踏みにじった憎い男。 ヨンの贈った四季に喜びを感じていたのではなく、ヨンに性欲を感じていただけだ。 そんな男に美しい四季をプレゼントしようとした愚かな自分。 ヨンは冬の代わりに、男にSexをプレゼントする。 そして、男を殺そうとするヨン。 死を間近にした男と女の心の交流.... それは愛などではなく、性欲でしかない。 それを愛などと呼び涙を流す愚か者たち。 キム・ギドクのそんなメッセージが目に浮かぶ。 劇中、監視室でチャン・ジンとヨンの一部始終を眺めながらせせら笑うキム・ギドクの姿。 そんな愚かな私たちを嘲笑っているのだろう。 そんなのは愛じゃない。 愛とは、許すこと...... そして、チャン・ジンを許せなかったヨン。 チャン・ジンを殺すことが未遂に終わり、刑務所を出るヨン。 そこには、雪だるまを作りながらヨンを待つ夫と娘の姿があった。 肩を寄せ合うヨン、夫、娘の三体の雪だるま。 ヨンは夫と娘に加わり、笑顔で雪をぶつけ合う。 ヨンは、ようやく夫の愛に気づく。 自分を許した夫の愛に。 そうして、ヨンも夫を許す。 帰り道、アダモの<雪が降る>を歌うヨン。 夫の前で、心を開く。 ヨンと夫は、<雪が降る>を合唱する。 その頃、チャン・ジンは、自分を愛する若い男の手で殺されていた。 愛するが故に、チャン・ジンに憎しみを抱いてしまった男。 チャン・ジンが自殺を図るたびに、狂ったように絶叫し、チャン・ジンの命を救ったというのに、 最後には、自分の手で殺してしまう。 チャン・ジンの死刑執行は明日だというのに。
moca的みどころは、若い囚人を演じたカン・イニョン。 チャン・ジンを愛する囚人。これまたセリフのない役どころ。 見た瞬間に言葉を失った。 まるで、<うつせみ>の時のジェヒのよう。 顔は似ていないけれど、どこか通ずるものがある。 (moca好みってだけか?) あの時のジェヒから感じたせつなさと、純粋さ、そして、新鮮さ。 チャン・チェンとカン・イニョンが演じるサブストーリーの方が、moca的にはゾクゾクしたわ。
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