青い自転車 The Elephant On The Bike |
原題:青い自転車 파란 자전거(パラン チャジョンゴ) <2007> |
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監督 | クォン・ヨングク | <2007>青 い自転車 |
出演 |
ヤン・ジヌ |
<2003> 黄山平野、<2004>達磨よ、ソウルに行こう、 <2007>青い自転車、<2007>同い年の家庭教師2、<2007>セブンデイズ、<2011>ラブコール |
キム・ジョン ファ |
<2003>僕
の彼女を知らないとスパイ、<2004>マッサージ、
<2006>後悔なんてしない、 |
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オ・グァンノ ク |
<2002>復
讐者に憐れみを、<2003>春
の日のクマは好きですか?、<2003>オー
ルド・ボーイ、 |
【レビュー&ネタバレ】 |
2007年12月14日DVD発
売。 これが、日本語字幕つきなんです。嬉しいですよね。 他の映画も日本語字幕つけてくれたらいいのに。 定価:25,300ウォンなので、韓国国内で20,000ウォンくらいで買えます。 2007年4月公開。 しかし、既に公開日を広報しているというのに、公開日の1週間前になっても 公開する劇場が1つも押さえられないという異例の事態に。 興行を見込めそうにもないからと、劇場から総スカンを食ったのだ。 しかし、試写会で観覧したネティズン(ネットユーザー)たちが、その知らせを聞き惜しんで インターネットの掲示板に書き込みを始めたことにより、 22の映画館で上映されることが決まったという、これまた異例の結果に。 観客動員数は2000人。 <グエムル~漢江の怪物~> は、スクリーン数620ですし、 少なくても100以上の映画館で上映されるのが普通です。 ですから、20数個の映画館で上映されただけですので、この数字は比較にはなりません。 しかし、単純にみても、興行的には大惨敗でしょうけど............. 試写会を観覧したネティズンの書き込みは、 「巨大資本の大作しか相手にしないのか。すべては金か。これでは低資本の良い映画が育たない。 金ばかりで見る目がないのか。美しい家族愛が描かれ、とてもよい映画なのに」 というような内容が多い感じですね。 まさにその通りなんですが、投資家や劇場関係者etc.... 韓国映画低迷の2006年。次々と映画関連企業も倒産し、背に腹は変えられないわけですよ。 そんな中、22もの映画館で上映できたことは感動秘話とも言えるのでは? 映画を観てみて..... 確かに暖かくてよい作品だと思うわ。 けど、これは確かに興行は見込めませんわ..................... ストーリーがあまりにもありきたりで薄っぺらいのよね。新鮮さがまったくない。 主人公は幼い頃の事故により’義手’というハンディキャップを背負う。 監督のクォン・ヨングクも足が不自由で、監督の経験した悔しさをそのまま映画にした感じがしてしまう。 淡々と日常が描かれている感じね。 逆にその辺りが他の映画との差別化を図れるといえばそうなんですが。 映画の中に感動があるようなドラマティックなヒューマンドラマでもありませんし、 興行的にはなかなか難しいでしょう。 予告編でもわかるように、田園風景や川原、並木道など.... 観ているだけで心が洗われるような優しい風景。 その中で生きる平凡だけれども、善良な家族。 <ワニ&ジュナ>のよ うな優しい映画。 美しい風景の中で静かに流れる時間..... 面白いモノは何一つないけれど、心が満たされる。 予告編で幼い頃の姉と主人公が自転車に乗っておりますが、 この田園風景が大好きなの。 よくロケで使われている感じよね。 自転車で転んで傷の手当をしているシーンのバックの木は、<花 喫茶店 純情> でも出てきたわ。 この木はどこにあるのでしょうか。 その他にも、美しい風景が満載です。 この映画は、当初ヤン・ジヌとキム・ジョンファのW主演ということでした。 しかし、公開時にはヤン・ジヌの単独主演となってしまったという、これまた異例なことに。 そもそも、この映画はキム・ジョンファとの出会いにより 主人公が希望を取り戻していくという内容だったんです。 それが、撮影しているうちに”これは家族と主人公の愛の物語だ”と思ったそうです。 この監督、なに言ってんだか。 自分で書いたシナリオなのに、どこに向かっている映画かもわかってなかったのかよ!ってな感じ。 途中で方向転換されてキム・ジョンファはいい迷惑よね。 彼女の出演シーンは、脇役と同じくらいの分量にまでカットされちゃったんです。 それなのに、不服も漏らさず彼女はエライ。 そんな事情は知らずに観たもので、あまりの出演シーンの少なさに驚きましたわ。 出演している意味ありませんから(笑) 彼女の出演シーンは全部カットしちゃってもいいくらい........... キム・ジョンファよりも、恋人ユリを演じたパク・ヒョジュ(イェウォン@エ ア・シティ) の方が メインキャラになっちゃってます....... この映画の一番の見所は主人公ではありません。 主人公の父です。 演じるのは、初めてのメインキャラともいえるオ・グァンノク。 今までは一癖ある個性的な役柄ばかりで、こういった普通の父親というのはこれまた初めてで..... 逞しく頼もしい若かりし日の頃と、病に臥せって弱々しくなった壮年期と、見事に演じ分けてます。 子供思いの優しくて、実直で無欲な父がとてもステキ。 子供を包み込むような大きさと、力強い声。 安心してついていきたくなるような頼もしさです。 こんな父親、探すのが難しいでしょう。 映画は、主人公の幼い頃と、現在の姿と、半々くらいで展開していきます。 子供の頃の父親とのエピソードはステキですが、 初恋の女の子のエピソードまで盛り込んで、欲張りすぎて薄っぺらくなってしまったわ。 ただでさえ、幼児期と青年期という二本立てで、時間的余裕がないというのに。 幼児期の主人公に希望を与えてくれたのは、言葉が話せない初恋の女の子。 その女の子が、主人公に義手というハンディをとっぱらい、自転車に乗ることを教えてくれた。 けど、その子が事故で死んだと同窓会で聞かされる。 正直、この初恋の女の子とのエピソードに感動がなかったので、必要なかったと思うんですけど。 子役ちゃんたちは可愛いし、演技達者なんですけれどね。 幼児期に重みを置きすぎて、青年期のエピソードが何も伝わってこないの。 転職の面接で義手だとわかった時の偏見、 恋人の両親と対面した時の偏見、 容赦ない現実。 偏見があるということを描くだけで、その先がないのよね。 そんな苦しいばかりの毎日の中で、父の愛が主人公を守ってくれていた.... そういうことだそうですが、心には響いてきませんの。 主人公の心が見えない映画。 |
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