アラン(阿娘)  Arang 
 原題:アラン(阿娘) 아랑(アラン)<2006>

 オススメ

 ストーリー

 韓流王道

 泣き

 笑い

名作

 映像

×

×

×

×

×


アラン(阿娘)

3つの連続殺人事件が起きる。現場で発見された糸口といえば、被害者たちのコン ピュータに表示されて いるミンジョン(キム・ヘイン)という少女のホームページだけだ。

停職から復帰したばかりの女刑事ソヨン(ソン・ユナ)は、新米刑事ヒョンギ(イ・ドンウ ク)とコンビになり、この事件を捜査することにな る。

その後ソヨンは、3人の被害者が友人関係にあり、全員がミンジョンという少女と関連があることがわかる。ソヨンは、3人の被害者たちの友人、医師ドン ミン(イ・ジョンス)を 有力な容疑者と睨み、調査を始める。

そんなある日、容疑者ドンミンまで殺害される事件が発生する。ミンジョンについて捜査したソヨンとヒョンギは、彼女が 10年前に突然失踪したことと、4人の被害者に出会ったことを知る。

ミンジョンが住んでいた海辺の村を訪ねたソヨンは、そこで奇怪な噂を聞く。海辺の廃塩 田にある塩倉庫に少女の幽 霊が現れるという。そしてそれ以来、ソヨンは毎夜、少女の怨みの霊を夢で見始める。

【予告編】

監督 アン・サンフン <2006>ア ラン(阿娘)
出演 ソン・ユナ(宋允兒) <2002>ジェイル・ブレーカー、<2004>フェイス、< 1999>ラブストー リー 遺失物編、<2006>愛を逃す
<2006>アラン(阿娘)、<2009>シークレット、 <2010>ウェディングドレス
イ・ドンウク <2005>ハ ノイの花嫁、 <2006>アラン(阿娘)、 <2007>最強ロマンス、<2008>その男の本198ページ

<< HOME

【レビュー&ネタバレ】
観客動員100万人を突破し、同 時期に公開された
ホラーの鬼才アン・ビョンギ監督の アパートメント& nbsp;よりヒットしてしまいました。
意表を突く展開に観客はみな、唸らせられたようです。
せつなく、悲しい真相に.... しばらく声も失います。
見事な伏線に感嘆。
ただ、クライマックスは....
クサいというか、白々しいというか.... あまりにも青臭くて...... 苦笑い......
陳腐で、チンケで......
あれさえもっと盛り上がれたら.... かなりの名作になったでしょうにね。

< 阿娘(アラン) >というのは、女性の名前。
映画 箪笥は、韓国に古くから伝わる古典怪談「薇花紅蓮 伝」をモチーフにしておりますが、
その「薇花紅蓮伝」 の元となったのが、「阿娘伝説」です。
殺された女性が、霊となって殺された真実を伝えようとする... それが一番のポイントでしょう。
箪笥も、この阿娘も、元を辿れば同じ物語。しかし、箪笥にはまったく敵いませんね。
ホラーの中では、比較的よくできた映画ですが。

今回は、ソン・ユナ主演。イ・ドンウクのスクリーンデビュー作。
ソン・ユナが、「初めて男性俳優より先に名前が並びました」と、意気揚々と語っておりました。
彼女にとっては、人生の岐路ともいえるイメチェン作品。
いつも奥ゆかしい女性を演じたメロー作品ばかりが印象強いソン・ユナ。
今回は、男勝りで、クールな刑事。
破格の挑戦。
けれど、観てみるとそれほど違和感は感じませんね。
ただ、一番の見せ場があまりにもへたくそで..... かなりシラケましたわね...........

新人刑事のイ・ドンウクは、2005年のドラマ< マイガール >は観ておりませんのでわかりませんが、
このドラマでブレイクしたそうです。
mocaは、2003年のドラマ< 酒の国 >のドイルの印象が深いわ。
< バリでの出来事 >のジェミンのような金持ちの息子。ワガママで単純で、一途で可愛らしい....
そんなキャラクターがピッタリで、大好きだったの。
この映画では、’かっこいい’というよりも、その’美しさ’に驚くわ。

医師ドンミンを演じたイ・ジョンスは、1998年のドラマ< LOVE ~サラン~ >で、
ソン・ユナの弟で共演しておりますわよね。
この弟が死んだがために、チャン・ドンゴンはソン・ユナと結婚したという.......
イ・ジョンス。2002年のドラマ< 悪い女たち >での、ソン・ユリの恋人ボンチュル役のイメージが強すぎて
どうしても好感が持てないのです。
今回、’悪人’でホっとしたわ。善人の役では違和感がありすぎて。
今後も悪人専門でお願い致します。

ソン・ユナの上司は、愛のゴースト 、< 冬のソナタ >のゴリラ先生、チョン・ウォンジュン。
監察医には、 永遠の片想い  の、ソン・イェジンの父、チェ・ジョンウ。
冒頭で、今注目のキム・オクビンが女子高生役で特別出演しております。




↓ネタバレ↓






うっわー キレイな男の子.....................
けど、あれ?見覚えが???
と思ったら..... 雪の女王 の イム・ジュファンでした。
イム・ジュファンが、イ・ドンウクの高校生時代を演じるのは知っていたのですが....
というよりも、イム・ジュファンが観たくてこの映画を見たほどなのに.......
あまりにも予想外だったので、気づきませんでしたわよ(笑)
だって、< 雪の女王 >も、この< 阿娘 >も、同じ2006年の作品なのよ?
なぜ、こんなにも違うのー
確かにね、ゴヌ役にはちょっと幼すぎる....とは思ってはいたけれど、
こんな普通に中学生のような高校生を演じられるなんて........
それにしても、有り得ないほどの美少年よ。
写真はイマイチですが、映像でも息を呑むほど美しい。
生なんかで観てしまったら..... 倒れるかもね。



ストーリーとしては、ホラーというよりも、ミステリー。
きちんと謎解きが物語を引っ張る軸となっており、ホラー要素はおまけ程度。

停職処分を受けたソヨンが職場復帰すると、
ソウルの科学捜査班から志願し、刑事になった新人刑事ヒョンギが配属されていた。
ソヨンは、' 酔っ払っていた女にも罪がある 'と、
ひょうひょうと語るレイプ犯に腹を立て、暴行を加え停職になっていた。
ヒョンギはソヨンの相棒となることになり、ソヨンはヒョンギの面倒を看る。
ソヨンはエリートがなぜ強力班(殺人などの重罪を扱う)に志願したのか尋ねる。
毎日のように死体が運ばれてきて、どんな奴がどんな理由でこんな風にしたのか....
この手で捕まえてみたかったと語るヒョンギ。
ヒョンギも、ソヨンになぜ刑事になったのか尋ねる。
「捜したい人がいる」と、ソヨンは答える。
「誰?初恋の人?」と尋ねるヒョンギにソヨンは呆れる。
「初恋の人を捜すために刑事に?そんな人いるの?」
「僕です」
と、ヒョンギはおどけて手を挙げる。

火災現場から発見された最初の被害者はソン・ジョンホ、29歳。
豪邸に住み、カウンセリングを受けていた。
しかも、10年前の殺人事件の犯人として服務し、出所後1年は定職もなく、豪邸の購入資金も不明。
近所の住民の話によると、時々外車が止まっており争う声が聞こえたと。
ジョンホは10年前、友人との旅行で、地元の青年と争いになり傷害致死で死なせる。
カウンセリングでは、' 黒い服を着た髪の長い女が現れる ' と苦しみ、治療を受けていた。

2人目は、アン・ジチョル。
友人ドンミンの結婚式で、ビデオ撮影中に黒い服の長い髪の幽霊を見たジチョルは怯えていた。
謎のメールが届き、' ミンジョン 'という少女のホームページに接続された後、ジチョルは死んだ。
ジチョルの部屋で、第一の被害者ジョンホが一緒に写った写真を発見し、
写真に写っていたのは男4人。
ジョンホ、ジチョル、そして、一緒に写っていたチョン・ジェヒョクをソヨンとヒョンギは訪ねる。
ジェヒョクは、4人で行った旅行でジョンホが地元の青年を死なせてしまい説得して自首させた。
出所後、情緒不安定でのジョンホを注意していたことが、
近所には争っているように聞こえたのだろうと語る。

ジョンホとジチョルの検死結果が出る。二人とも窒息死。
検死の道20年で初めてだと、難解な遺体に監察医は頭を抱える。
毒ガス、それも、青酸ガスで死んだという。
ジョンホは火災が起きる前に死んでおり、ジチョルも心臓麻痺ではなかった。
毒ガスは細胞を窒息させ、心臓を麻痺させ死に至らしめる。
しかも、ガスと同時に首を絞めた跡がある。
その上、毒ガスを吸えば必ず現れる口と鼻の周りの小さな水泡が一切ない。
「外部から吸入したのではなく、体の内部から発生したのだ」と、監察医は首をひねる。
そんなことが一体可能なものなのか......

そして、3人目の男、ジェヒョクも謎の死を遂げる。
またもや、謎のメールが届き、' ミンジョン ' のホームページに接続後、
黒い長い髪の女に襲われる。

ホームページを調べるが、持ち主も不明。
ソヨンは、' ミンジョン ' を探して、塩倉庫のある片田舎を訪ねる。
しかし、女子高生に塩倉庫の場所を尋ねると、少女たちは怯えた様子を見せる。
そこには幽霊が出るのだと。
つい先日も、そこで幽霊を見た女子高生が気が狂って入院したのだと。
そして、' ミンジョン 'が、10年前に突然失踪したことを知るソヨン。
当時の同級生から、ミンジョンにはジュノという恋人がおり、
ジュノを殺したのがジョンホだということを話し聞かされる。
もしや、ミンジョンは自殺したのではないかと、友人は語る。

写真に写った最後の男、ドンミンを訪ねるソヨンとヒョンギ。
ジョンホの豪邸の資金は、ドンミンを始め、写真に写った3人の友人が振り込んでいたことが判明。
ドンミンは、いくらジョンホ一人が起こした事件でも、一緒に旅行に行ったのに
放ってはおけなかったと、ドンミンは釈明する。
「黒い服の髪の長い女性について何かご存知ありませんか?」
ソヨンはドンミンに尋ねる。
そんなソヨンを ' ミンジョンの幽霊が復讐しているとでも? ' と、ヒョンギは笑う。
しかしソヨンは、今回の事件はきっと10年前の事件が絡んでいると睨む。
そして、ソヨンはジョンホの家で死んでいた犬の死体の腹から
ビデオテープを発見する。
そこには、ミンジョンがレイプされている現場が映し出されていた。
ソヨンは居た堪れず部屋を出て行く。
実は、ソヨンも高校生の頃レイプされていたのだった。
捜し出したい奴とは.... 自分をレイプした犯人だった。

ドンミンを犯人と睨み、張り込むソヨンとヒョンギ。
ヒョンギはソヨンに、小さい頃の夢を尋ねる。
「小説家」と答えるソヨンに、「絶対に諦めないで」と告げるヒョンギ。

黒い服の髪の長い女の霊と、小さな女の子の霊がドンミンを襲い
錯乱したドンミンは、妻のスビンを霊と錯覚して刺し殺してしまい、警察に連行される。
ドンミンは取り調べで真実を語り始める。
ジュノを殺したのはジョンホ一人ではなく、ジチョル、ジェヒョク、ドンミンの3人も共犯だった。
恐ろしくなって一旦自首はしたものの、ある人物に説得され、
ジョンホ一人に罪をかぶせたのだ。
裕福な家庭に育った3人は、ジョンホの未来を保障するという約束で、
ジョンホ一人にかぶせたのだ。
証拠となるビデオを撮れば、訴えないとジョンホは約束したが、
最初からジョンホは3人を脅迫する計画だったのだとドンミンは語る。
脅迫され金を脅し取られ、ジョンホを殺し、残りの2人も殺したのかと問い詰めるが、
ジョンホを殺そうとしたが、あの子の方が先に殺したんです。
と、ミンジョンの霊に殺されたのだと訴える。
「ミンジョンの行方は?」と、ソヨンはドンミンに尋ねるが
「わからない。警察が何とかすると言ってました」というドンミンの答えに、
パソコンに調書を入力していたヒョンギの手が、驚きで止まる。
ドンミンたちの罪をジョンホに着せるよう提案したのは、当時事件を担当していた警察署長だった。
「私もあの子に殺される。助けてください」
ドンミンは涙を流し訴える。
しかし、ソヨンらが席を外した隙に、パソコンにホームページが映し出され
ミンジョンの霊が現れ、ドンミンは苦しみ出す。
そこへ戻ってきたソヨンらの目の前で、ドンミンは窒息して死んで行く。
犯人はいったい誰なのか?
やはり、ミンジョンの霊のしわざなのか?



↓結末ネタバレ↓


翌日、ヒョンギが誰かに会うと言って、朝からでかけていた。
ソヨンは、ミンジョンのビデオテープを丹念に見入っていた。
そして、薄暗い画面の隅に5人目の男が映っていることを発見し驚愕する。
そこへ監察医から連絡が。
ドンミンの部屋で発見された錠剤は、長く使用すると幻覚が見えるものだった。
それよりも、ジョンホたちの死因の謎が解明されたのだ。
現場の吸殻のフィルターから青酸の反応が出たと。
中毒者の体内で発生したのではなく、フィルターから口に入ったのだ。
顆粒の青酸カリ。
それをビールや炭酸飲料と一緒に飲めば、腹の中でゆっくり反応し
青酸ガスが発生する。
それが気道を通って肺に逆流して入ったのだと。
証拠品を先に成分分析し検死していれば見抜けたが、
警察の検死が先で、証拠品の分析が後であることを利用している。
犯人はこの道に詳しい人間だ。
監察医の言葉に、ヒョンギが頭に浮かぶソヨン。
慌てて塩倉庫へと向かう。


ここから、真相解明....
すごくうまくできていると思うわ....
高校生のヒョンギ役イム・ジョンファが
「言いたいことがあるんだ....」とミンジョンに向かって言い出し
「ごめん....」と、イ・ドンウクに変わる。
ここにはぞくぞくしたし、せつなくて.......
何よりも、まさか ' 初恋の人を捜すために刑事になった 'というのが本当だったなんて、
少しも思わなかったわよー
見事騙されたわよね。見事な伏線。

ミンジョンのレイプ映像に映っていた5人目の男は、高校時代のヒョンギ。
ミンジョンに想いを寄せていたヒョンギは、
ミンジョンとジュノが塩倉庫で隠れて愛し合う姿を目撃し、ショックを受け
ミンジョンをレイプするとは知らずにカメラマンを引き受けたけれど、
ミンジョンへの愛が憎しみへとなり、涙を流しながら撮影してしまう。
けれど、そのことがいつまでも深い後悔となってヒョンギを苦しめたのね。

ミンジョンは、あの事件で妊娠してしまい、
警察署長に犯人に会わせるよう訴えるけれど、
偽装した事件が明らかになることを恐れ、
ミンジョンを塩倉庫に呼び出して殺してしまう。
塩倉庫は使われなくなって放置されたままだったものなので、
それから10年、ミンジョンは塩の山に埋もれたままだった。

事件の真相としては、
ジェヒョクには、喫茶店でヒョンギがジェヒョクに煙草を渡していたし、
ドンミンにも、ヒョンギが煙草を渡していた。
事件の現場の吸殻....と検察官は言っていたので、
ジョンホもヒョンギから煙草を受け取り殺されたのでしょう。
ジチョルも、きっとヒョンギとどこかで接触したのでしょうね。
でなければ、ヒョンギは自分以外にも犯人がいることに驚くでしょうから。

けれど、< 阿娘伝説 >のように、ミンジョンは霊になって
ドンミンらの前の前に現れたのも、塩倉庫で目撃されたのも事実。
ミンジョンの霊によるホラーと、ヒョンギによるサスペンスの融合。
あの幼い処女の霊は、ミンジョンのお腹の子の霊。
ホームページで最後に現れた'母と娘'の絵は、ヒョンギのしわざではなく、
ミンジョンの霊のしわざ。
だから、ヒョンギの部屋でみつかったホームページの素材の中からはみつからなかった。

事件解明後、ソヨンは ' レイプされた過去 ' と決別したのよね。
それが、あの爽やかな目覚めと、パソコンに向かって小説を書く姿から見てとれるわ。
ヒョンギに言われたように、小説家の夢を諦めずに一歩を踏み出す。
それは、ヒョンギを許したということでは?
ヒョンギを許すことで、自分を犯した犯人とも決別できたのでは。
ソヨンは現役刑事でありながら、小説を出版するという快挙を成し遂げるという、
同じ痛みを持った女性には、少し励みになるようなラストね。
きっと、頑張って欲しいというメッセージ。
そのポイントとなるのが、ソヨンがヒョンギに投げた言葉。

いいえ、撃たないわ。殺さない。殺さないわ。
見届けるわ。
このまま死ねば許されるとでも?
生きろ。生きるのよ。
そして、自分の子供が同じ目に遭ったり、
年老いて醜く死ぬ時に、耳元で言ってやるわ。
おまえの人生は、犬畜生に劣る人生だったと。

この言葉に監督はどんなメッセージを込めたのでしょうか。
この言葉にヒョンギが怯えるのもわからない。
そんなに恐ろしいかしら?
クライマックスだというのに。
もっと胸に迫るセリフが欲しかったわ。
ソン・ユナの演技もイマイチですし。


ラストは、またもや男が一人殺される。
ミンジョンのホームページは、やはり霊のしわざだった。
そして、殺されるのは....
ソヨンが捜していた自分をレイプした犯人よ。
手首に証拠の傷があるわ。

事件解明後、ソヨンが夢の中でミンジョンに出会い笑いあうシーン。
二人はきっと、無二の親友というくらいに痛みを分かち合ったのでしょう。
そして、自分の恨みを解明してくれ、
自分と子供の遺体を見て涙を流してくれたソヨンに代わって
ミンジョンが復讐してくれたのよね。

ちょっと、あまりにもヒョンギが可哀想な映画だったわ。




<< HOME

inserted by FC2 system