八月のクリスマス  Christmass in August 
 原題:八月のクリスマス  8월의크리스마스(8ウォレクリスマス) <1998>

 オススメ

 ストーリー

 韓流王道

 泣き

 笑い

名作

 映像

×

×


八月のクリスマス

ジョンウォン(ハン・ソッキュ)は、ソウルの片隅でみすぽらしい写真館を経営し ている。写真館にはう るさいおばさんの客もいれば、近所の子供が憧れの女の子の写真を持っ来ることもあり、葬式用の写真を撮ってやることもある。相手がどんな客だろうと、そ の写真には、必ず命の輝きが刻印されている。それを焼き付け、引き伸ばす仕事は、生きる時間の限られている彼にとって、ひときわ重要な作業となっていた。

そんなある日、交通課に勤務する若い婦人警官タリム(シム・ウナ)が、駐車違反の写真の現像を頼みにやって来る。彼に気があるのか、やがて毎日顔を見せる ようになり、 ジョンウォンも可愛らしくキラキラと輝いている彼女に惹かれていく。

だが、この恋が叶わないことは、誰よりも彼が一番良く知っていた。近づく死。自分で自 分 の葬式のための肖像写真を撮るジョンウォン。彼の顔には、不思議なほど穏やかな微笑みが浮かんでいた。

【予告編】

監督

ホ・ジノ(許秦豪)

<1998>八 月のクリスマス、 <2001>春の日は過ぎゆく、 <2004>20のアイデンティティ
<2005>四月の雪、<2007>ハピネス、<2009>五感度 segment 2 <私、ここにいます。>、
<2009>きみに微笑む雨

出演

ハン・ソッ キュ(韓石圭)

<1995> ドクター・ポン、<1996>銀杏のベッド、<1997>ナンバー3、< 1997>グリーン・フィッシュ、
<1997>接続、<1998>八 月のクリスマス、 <1999>シュリ、 <1999>カル、<2002>二 重スパイ
<2004>スカーレット レター、<2005>ユゴ 大統領有故、 <2005>ミスター主婦クイズ王
<2006>恋の罠、<2006>殴打誘発者たち、 <2006>愛すると きに話すこと、<2008>目には目、歯 には歯
<2009>白 夜行-白い闇の中を歩く、<2010>2階の悪党

シム・ウナ (沈銀河)

<1995> サランヘヨ あな たに会いたくて、<1996>ボーン・トゥ・キル、 <1998>八月のクリスマス
<1998>美術館の隣りの動物園、<1999>イ・ジェスの 乱、<1999>カル、<1999>イ ンタビュー

<< HOME

【レビュー&ネタバレ】
ホ・ジノ監督の名作「八月のクリスマ ス」
ホ・ジノ ワールド全開で、優しい穏やかな作品になっているわ。
好き嫌い分かれる作品だけれど、
ホ・ジノ作品では一番万人向けかしら。
この作品が受け付けなければ、他のホ・ジノ作品もダメでしょう。
mocaはホ・ジノ作品は受け付けない派。
でも、この「八月のクリスマス」は、ちょっと心に残ったわ。
死に向けての一人の青年のカウントダウンを
変わり映えのしない日常の中で淡々と描くことで、
不思議な温かさが心に残るわ。
コップに水を注ぐ・・・
そんな何気ないシーンでさえも詩情的で、
「よい映画」というのは、こういうものなんだなぁ・・と思わされるわ。
ハン・ソッキュのナレーションの声も、太い声ですごくよいの。
韓国人男性の声がmocaは大好き。

そして、この映画のタイトルが
なぜ「八月のクリスマス」なのか
  人間は生きていく過程において悲しみを感じたり、ある時は笑ったり、
  そういった相反する2つの感情のぶつかり合いの中で日常を生きている。
  そういった意味をこめて「8月」という夏の明るいイメージと
  「クリスマス」という冬のイメージを持つ単語を
  2つ合わせた時の印象が非常によかったので、
これをタイトルにしたそうよ。
主人公が「八月生まれ」ということも、引っ掛けたんでしょうね。

何気に、おじさん俳優フェチのmoca。
mocaの大好きなおじちゃん俳優がもう1人。
「ジュリエットの男」のチャ・テヒョンの祖父シ ン・グ씨が、
今回ハン・ソッキュのお父さん。
全然キャラが違うというか・・・
威勢のいいおじいちゃんじゃなく、
今回はどこにでもいそうなおじさんだけど、
見てるだけで嬉しくなるわ。
可愛いわぁ。

ハン・ソッキュの友達チョルグは、
春のワルツのスホの 父。若い・・・笑える・・

シム・ウナは・・・
ちょっと野暮ったい感じよね。
「美しい」と感じるにはちょっとほど遠いけど、
彼女のキャラではちょっと珍しく、可愛らしくも、したたかでもあるわ。

二人とも、「初めての恋愛」に近いものを感じるけど、
その初々しさが、新鮮に感じるわ。
なんといっても、1998年の作品。
古臭くも、懐かしくも感じるけれど、ちょっと羨ましくなるわ。

映像も、街並みもノスタルジックで、心が癒されるわよね。
設定上は、「ソウルの片隅」となっているけれど、
ロケが行われたのは、全羅北道の「群山(グンサン)」という港町。
当時のソウルでさえも感じられないノスタルジーが、
まだ、群山には残っているのでしょうね。
写真館はセットなので、群山を訪ねても探すことはできません。
それでも、群山の街並みに惹かれた方は、訪ねる価値はありそうよ。
密かに、「群山」はロケのメッカだから、それなりの魅力があるはずよ。
バスで片道3時間半という、かなりのチャレンジャーになりますが・・


いつか、父も僕も、この世から消えると思っていた──

そうして、ジョンウォンは小学校の校庭で佇む。
この映画は、ある青年の死へのカウントダウンを描いた作品で、
主人公が死ぬことは最初から明らかになってます。

そんなある日、ジュンウォンが葬式から戻ると、
婦人警官のタリムが写真の現像をしようと待っていた。
ジュンウォンは「また後にしてもらえませんか」と断るが、
タリムは「おじさん、それはできないわ」と、譲らない。
写真館の向かいのプラタナスの木の下で、
現像が終わるのを待つタリム。
そんなタリムのためにジュンウォンは
向かいの店でアイスキャンディーを買ってくる。
「さっきは怒らせたかな?暑いし、朝から忙しくて・・・」
と、ジュンウォンは謝り、二人は笑いながらアイスキャンディを食べる。
それ以来、二人は街角でも顔を合わせるようになり、
タリムは毎日のように写真館にやってくる。

写真の現像にやってきた子供たちがケンカを始めれば
「お前たち何をやってるんだ。やめなさい」
と、ジュンウォンは割って入る。
(こういう風景、もう東京では見られないわね・・)
そんなジュンウォンを、タリムは微笑ましくみつめる。

結婚して街を出て行ったジュンウォンの初恋の相手ジウォンに
道端でバッタリ再会するジュンウォン。
写真館に戻ると、ショーウィンドウに飾ってあった写真を取り出す。
高校生の頃のジウォンの写真。
写真をみつめるジュンウォン。
家に帰ると、嫁に行った妹が来ていた。
「ジウォンに会った?あの子可哀想なの。
旦那がギャンブルに手をだして、最近では殴るようにもなったって。
兄さん、まだジウォンのこと好き?」
妹の問いに、ジュンウォンは答えない。

バスの中で、駐車違反者に因縁をつけられているタリムをみかける。
その日、タリムは疲れきった足取りで写真館にやってきた。
「暑いのはうんざり。ちょっとここで休んでもいい?」
そんなタリムの心中を察したジュンウォンは、
タリムのために扇風機を回してやる。
「おじさん、獅子座でしょう?八月生まれ。
獅子座は私と相性いいんだけどな。
ところで、おじさん何歳?結婚してないでしょう?」
この日のタリムは質問攻め。
「20代後半だ。子供も二人いる」
と、ジュンウォンは見栄を張る。
「嘘ね。30代でしょう?服の着方を見れば結婚してないのもわかるわ」
タリムは全てを見透かしたような口調で言う。
そんなタリムに、ジュンウォンは愉快に笑う。

道端で大きな荷物を抱えたタリムに出くわすジュンウォン。
一度通り過ぎるが、すぐに戻ってくる。
そんなジュンウォンに、タリムは嬉しさを隠せない。
タリムを後ろに乗せ、スクーターで走る。

このシーンも美しいのよ ねぇ・・・
韓国版「ローマの休日」?
スクーターで二人乗りして、 自由に街を走るのってステキ じゃない?
こんなこと、日本のド田舎行 かなきゃできないわ・・
ヘルメットなんてかぶったら 台無しだしね。
(ド田舎ならノーヘルでいい のか!)


ある日、映画好きの父が借りてきたビデオを再生してくれと、
ジュンウォンに声をかける。
今までは自分が操作してやればよかった・・
これからは・・
ジュンウォンは、父に一人で操作してみてと、
操作の仕方を教えるが、父はなかなか飲み込めない。
ジュンウォンはイライラし、爆発してしまう。

お父さん可哀想だよぉ・・
怒ったジュンウォンに戸惑う お父さんが可愛くて、可哀想 で・・
一人で何とか操作しようと恐 る恐るリモコンのボタンを押 す姿・・
抱きしめたくなっちゃう わ・・・
ここだけ何度もリピる mocaは、ちょっとヘン?
サランヘ シン・グ씨



そろそろ結末よ。



ジュンウォンは、父のためにビデオデッキの操作方法を書き残し、
店を継ぐ者には、現像機の操作方法を書き残し、
死への準備を始めるジュンウォン。
一方、タリムとの淡い恋も少しずつ進展していく。
一緒に遊園地へ行き、銭湯に行き、恋人のような時間を楽しむ。
しかし、ついにジュンウォンは倒れ、入院してしまう。
そんなことも知らないタリムは、何度も店の様子を見に来る。
そして、タリムは別の地域へ異動が決まる。
痺れを切らしたタリムは、ジュンウォンへ手紙を残す。
ジュンウォンが自分に黙って消えてしまったと思い込んだタリムは、
深く傷つく。
ようやく退院し店に戻ったジュンウォンは
タリムからの手紙をみつける。
ジュンウォンも、タリムに向けて最初で最後の手紙をしたためる。
役所へ行き、タリムの異動先を尋ね、
喫茶店の中から、勤務中のタリムをみつめるジュンウォン。
ガラス越にタリムの姿を指でなぞるジュンウォン。
去っていくタリムをみつめながら、今生の別れを告げるジュンウォン。
遺品を整理し、自分の葬式用の肖像写真を撮る。
死を迎えようとしているとは思えない穏やかな微笑み。
箱の中には、タリムの写真と、
出せなかった手紙が収められた。

ジュンウォンがこの世を去った冬のある日。
写真館を訪れるタリム。
ショウウィンドウには、タリムの写真が飾られていた。
ジュンウォンに忘れられてしまったと思っていたタリムは、
嬉しそうに微笑む。

  僕の記憶にある写真のように
  愛もいつかは思い出になってしまうものだと思っていました。
  でも、君だけは思い出ではありません。
  愛を秘めたまま旅立たせてくれた君に
  「ありがとう」の言葉を残します。




<< HOME

inserted by FC2 system