その男の本198ページ Heartbreak Library |
原題:その男の本198ページ 그 남자의 책 198쪽(ク ナムジャエ チェク 198チョク)<2006> |
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監督 | キム・ジョングォン | <2000>リ
メンバー・ミー、<2002>天国からの手紙、
<2006>バカ(公
開
2008)、 <2008>その男の本198ページ |
出演 | イ・ドンウク | <2005>ハ ノイの花嫁、 <2006>アラン(阿娘)、 <2007>最強ロマンス、<2008>その男の本198ページ |
ユジン |
<2007>止められない結婚、<2008>その男の本198ページ、
<2008>ロ
マンチック・アイランド、 |
【レビュー&ネタバレ】 |
2008年10月公開。観客動員は、たったの9万6千人。 ちょっと待てよ!という数字。思いっきり大ゴケ。 なのに、日本語DVD発売決定。 でも、キム・ジュングォン監督の作品だから、 動員数は少なくとも、何か魅力のある作品なのでは?と、期待して観てみました。 mocaの期待している「何か」は、やはりありました。 韓国映画らしい美しさ。 そして、いかにも”韓流”という、美しい音楽。 やはり過去3作と、傾向が似ていますね。 過剰なほどの「深い愛」 それは、時には自らを犠牲にしても....... この作品には、過去の作品にあった「自己犠牲」というエピソードはありません。 しかし、過剰なほどのドラマティックな展開が待っています。 そんな劇的にしなくとも..... シンプルで、心の些細な心情まで伝わるような作品だったら、この映画はとっても良い映画になったでしょう。 比較したくなるのが、ノートに眠った願いごと。 あの映画のように、シンプルだけれども、心の内面が響いてくるような映画になったら、 キム・ジュングォン監督が作り出す世界と相乗効果で、 素晴らしい作品になったことでしょう。 この映画のテーマは、 一人では抱えきれない痛みも、誰かがそばにいてくれれば乗り越えられる。 へんてこりんな小細工などせず、それをシンプルに描いて欲しかったですね。 バカ(パボ)は、人気漫画家カンプル(강풀)の漫 画が原作で、 この映画は、文学賞を受賞したユン・ソンヒ作家の同名短編小説を原作にしている。 短編とあるように、原作の小説は、たった18ページしかないそうです。 ”文学賞”を獲ったような名作小説を、商業的映画にしてしまったことが、 この映画の誤算だったのでは。 きっと、原作を生かして、しっとりとした映画になったら、心がホっと温まったでしょうね。 監督が悪いのか、脚本家が悪いのか....... リメンバー・ミーも、天国からの手紙も、脚本は、チャ ン・ジン です。 この映画は、大ヒットした光州5・18や私たちの生涯最高の瞬間のナ・ヒョンが主に 執筆しています。 ナ・ヒョンは、他の作品、飛べ、ペンギンや、彼女たちの部屋などの作品は、全く観客動員できてませんが。 どうも、この監督は人気原作を台無しにしてしまうようです。 演出力がないというのでしょうか。 あれも、これもと、余計なものを詰め込んで、 長くなったから編集して、 余計なものをたくさん残し、大切なものをカットしてしまう。 そんな編集の跡を感じずにはいられません。 バカ(パボ) も、2年近くお蔵入りされていたくらいで、 本当に、こけ落しのシラケる映画でした。 けど、あの映画には、内容だけでは評価できない、あの映画の良さがあるのです。 童話のように美しく、温かい。 この映画も、映像に癒される感じがします。 風景も、記者村や、釜山で主に撮影され、美しく、癒されます。 この映画にも、温かさがいっぱい詰まってます。 ですが、レベルの低さは、バカ(パボ)に匹敵するほ どかも。 ラストだけは、この映画は温かな気持ちになる分、余韻はいいかもしれないですが。 ”劇的な真相” これがね、ちょーっとガッカリな感じ。 そもそも最初から、必要のない演出が目白押しなのよ。 ジュノを”何者かわからない謎の男”を、無理矢理作り上げる必要性は全くないと思います。 その”謎の男”の正体を知りたい、という気持ちにもまったくならず、 正体がわかった時も、「べつにー」って感じ。 そんな余計なことに時間と労力を使うなら、 ストレス性胃炎になるほどのウンスの心情と、 二人が過去の恋を引きずる中で、互いに惹かれあっていく過程をきちんと、 ”観客の心に響くように”描いて欲しかったですね。 はっきり言って、ジュノがウンスに惹かれたのは理解できなくはないけれど、 ウンスがジュノに惹かれる理由がまったく伝わってきません。 映画から伝わってくる”ジュノ”の魅力は、単純に、イ・ドンウクの魅力でしかありません。 ラブストーリー的には駄作で、何のトキメキも感じません。 この映画には、”良さ”があるだけに、残念で仕方がありません。 全てが中途半端で、薄っぺらい。 ほんと余計なものを、すべて削って、丁寧に作って欲しかった。 ・ジュノの”謎の男”の設定はいらない (結局、”てんかん”にあれほど見事に対応できた理由もわからずじまい) ・ウンスの図書館の新たな空間の企画の話もいらない ・ジンムク(てんかんの危ないおじさん)とジュノの会話もいらない それでもmocaは、ちょっとオススメしたいですねぇ...... 韓国映画らしさを、ちょっと味わえる映画です。 韓国ではコケても、日本の韓流ファンには、好まれる方も多いかもしれません。 mocaがお気に入りなのが、↑の2つのシーンです。 ”プっ”っと笑ってしまって、このセンスにちょっとヤラれた感じです。 右側のシーンは、ウンスが羨ましい。 ウンスはなんだかんだと、自己中な感じで、自由を感じます。 まぁ、同じ職場だったら、こんな奴は許せん! って感じですが、ウンスは心根がキレイですからね..... 許しちゃうかも..... もう1つ、ペン教授が「おじさん、車どかして!」って怒鳴ったら、相手はヤクザ。 慌てて車の窓を閉めるシーンは、笑いがとまりません。 やっぱり、チャン・ジン監督の弟子だけあり、センスが似てるかも。 テーマを絞って、メローならメロー、笑いなら笑いの商業映画、 丁寧に作ったら絶対に良い映画が作れそうなのに。 さて、これらのシーンは、本編でご確認を。
ジュノは、過去の愛に捕らわれている男で、ジュノ自身の魅力を感じる... というか、 ジュノがどんな男かすら感じることのできないほど、キャラの設定がないに等しい。 ジュノは、イ・ドンウクの持つ魅力で押し切った! という感じです。 これを何の魅力もない男優が演じたら、映画もボロクソになっていたかも。 ちなみにウンスは、原作では8年間図書館に勤務している司書。 ジュノに「年齢も変わらない」と言われ反論するが、逆算すれば、確かに同年代。 ウンスのキャラは、ユジンあってのウンスでしたね。 気が強く、癇癪持ちで、姐さん的で、、だけど心根の優しさを持つ情の深い女性。 どうしても役柄には、本人の人柄が反映されてしまうので、 演じる女優によっては、イヤミな感じになったでしょう。 もっと、「せつない」心情をうまく表現できれば、言うことなしなんですが..... この映画は、mocaの好きな助演陣が多くて、もう涙が出るほど嬉しー その一人、キ・ジュボン。 オール・インのように悪役を演じることもありますが、今回のような人情的な役柄がピッタリ。 キ・ジュボン演じるフンスのセリフに、ボロボロ泣かされましたわよ。 天国からの手紙では、キム・ヒソン の父親役を演じておりましたが、 またもや、キム・ジョンングォン作品に登場のチョ・ドッキョン。 チョ・ドッキョン演じる警備員のセリフがまた、心に染みるんですよー ジュノのスーツをクリーニングしてあげるシーンです。 ”韓国の情” ここにあり!という感じ。 何気に、ウンスの自転車のパンクとか直してあげてたりするしね(笑) いったい何者ぢゃ(爆) そして、親切なクムジャさんで、刑務所のボス的存在だったコ・ スヒ。 あの何とも言えない強烈な存在感。 でも、なんかフツーのオバさんになってきちゃった.... 残念。 最近見ないなぁ....と、思っていたら、何と! 日本語を勉強して、日本の演劇界に進出しておりました! 日本でも、けっこう認められているようですよ。 チョン・ホジンは、人生の逆転で、キ ム・スンウの子役を演じてたわよね。 こんなに大きくなっちゃって、びっくり。 なんか、クォン・サンウに似てません??? 彼は”刑罰”として社会奉仕のために図書館で働いているようですね。 そして、mocaのだーいすきなイ・サンフン。 キム氏漂流記でもチョイ役だし、チョイ役ば かりで、 最近「ウォーリーを探せ」ならぬ、「イ・サンフンを探せ」状態のmocaであります。 キム・ジョングォンは、チャン・ジンの弟子。 イ・サンフンも、チャン・ジン組。 その上、俳優だけでなく、ガン&トークスの助監督を したり、 SPYリー・チョルジン 北朝鮮から来た男で は、特殊メイクを担当したり、 俳優、撮影・演出、など多才さを発揮しております。 この映画でも、撮影部隊に参加したようです。 そして、特別出演のカメオ2人。 mocaのだーいすきなチョン・ウンピョ。彼の笑顔を見ると幸せです。 未だに、ユリョン(幽霊)のチョン・ウンピョが重なってお ります。 ドラマ【ピアノ】の毒蛇のイメージが強いイ・ジェヨン。 やっぱりヤクザ役がオハコのよう? 触ったらバリバリ言いそうなカツラを堂々と被る彼は愛さずにはいられません(笑) ↓ 結末までネタバレしますので、十分にご注意を!! ↓
↓ 未見の方、この先キケン! ↓
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