その男の本198ページ    Heartbreak Library  
 原題:その男の本198ページ 그 남자의 책 198쪽(ク ナムジャエ チェク 198チョク)<2006>

 オススメ

 ストーリー

 韓流王道

 泣き

 笑い

名作

 映像

×




別れの言葉もなく去っていった過去の恋人を探そうと、毎日図書館を訪ねては、 198ページの手がかりを探すが、たやすく彼女が残していった意味を探せずにいる、ベールに包まれた、その男ジュノ(イ・ドンウク)。

毎日懸命に生きているが、失恋以後、人生が虚しく感じられたその時、図書館で198ページだけを探す男を発見し、その男の事情が気になり始めた、そ の女ウンス(ユジン)。

ウンスは、正体不明な、その男ジュノが切望する<198ページの秘密>を明らかにするために、彼を助けてあげることにする。

<198ページの秘密>を探せば探すほど蘇る、自分らの過ぎ去った愛の瞬間を辛くく感じる二人。そして共に過ごす時間が流れるほど、ジュノとウ ンスは、胸の中に新たな感情を発見するようになる。

果たして、記憶のページをめくれば、愛にまた会えるだろうか。

【予告編】
監督 キム・ジョングォン <2000>リ メンバー・ミー、<2002>天国からの手紙、 <2006>バカ(公 開 2008)、
<2008>その男の本198ページ
出演 イ・ドンウク <2005>ハ ノイの花嫁、 <2006>アラン(阿娘)、 <2007>最強ロマンス、<2008>その男の本198ページ
ユジン

<2007>止められない結婚、<2008>その男の本198ページ、 <2008>ロ マンチック・アイランド
<2009>ヨガ教室

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【レビュー&ネタバレ】
2008年10月公開。観客動員は、たったの9万6千人。
ちょっと待てよ!という数字。思いっきり大ゴケ。
なのに、日本語DVD発売決定。
でも、キム・ジュングォン監督の作品だから、
動員数は少なくとも、何か魅力のある作品なのでは?と、期待して観てみました。
mocaの期待している「何か」は、やはりありました。
韓国映画らしい美しさ。
そして、いかにも”韓流”という、美しい音楽。

やはり過去3作と、傾向が似ていますね。
過剰なほどの「深い愛」
それは、時には自らを犠牲にしても.......

この作品には、過去の作品にあった「自己犠牲」というエピソードはありません。
しかし、過剰なほどのドラマティックな展開が待っています。
そんな劇的にしなくとも.....
シンプルで、心の些細な心情まで伝わるような作品だったら、この映画はとっても良い映画になったでしょう。

比較したくなるのが、ノートに眠った願いごと
あの映画のように、シンプルだけれども、心の内面が響いてくるような映画になったら、
キム・ジュングォン監督が作り出す世界と相乗効果で、
素晴らしい作品になったことでしょう。

この映画のテーマは、
一人では抱えきれない痛みも、誰かがそばにいてくれれば乗り越えられる。
へんてこりんな小細工などせず、それをシンプルに描いて欲しかったですね。

バカ(パボ)は、人気漫画家カンプル(강풀)の漫 画が原作で、
この映画は、文学賞を受賞したユン・ソンヒ作家の同名短編小説を原作にしている。
短編とあるように、原作の小説は、たった18ページしかないそうです。

”文学賞”を獲ったような名作小説を、商業的映画にしてしまったことが、
この映画の誤算だったのでは。
きっと、原作を生かして、しっとりとした映画になったら、心がホっと温まったでしょうね。

監督が悪いのか、脚本家が悪いのか.......
リメンバー・ミーも、天国からの手紙も、脚本は、チャ ン・ジン です。
この映画は、大ヒットした光州5・18私たちの生涯最高の瞬間のナ・ヒョンが主に 執筆しています。
ナ・ヒョンは、他の作品、飛べ、ペンギンや、彼女たちの部屋などの作品は、全く観客動員できてませんが。

どうも、この監督は人気原作を台無しにしてしまうようです。
演出力がないというのでしょうか。
あれも、これもと、余計なものを詰め込んで、
長くなったから編集して、
余計なものをたくさん残し、大切なものをカットしてしまう。
そんな編集の跡を感じずにはいられません。

バカ(パボ) も、2年近くお蔵入りされていたくらいで、
本当に、こけ落しのシラケる映画でした。
けど、あの映画には、内容だけでは評価できない、あの映画の良さがあるのです。
童話のように美しく、温かい。
この映画も、映像に癒される感じがします。
風景も、記者村や、釜山で主に撮影され、美しく、癒されます。

この映画にも、温かさがいっぱい詰まってます。
ですが、レベルの低さは、バカ(パボ)に匹敵するほ どかも。
ラストだけは、この映画は温かな気持ちになる分、余韻はいいかもしれないですが。
”劇的な真相”
これがね、ちょーっとガッカリな感じ。
そもそも最初から、必要のない演出が目白押しなのよ。
ジュノを”何者かわからない謎の男”を、無理矢理作り上げる必要性は全くないと思います。
その”謎の男”の正体を知りたい、という気持ちにもまったくならず、
正体がわかった時も、「べつにー」って感じ。
そんな余計なことに時間と労力を使うなら、
ストレス性胃炎になるほどのウンスの心情と、
二人が過去の恋を引きずる中で、互いに惹かれあっていく過程をきちんと、
”観客の心に響くように”描いて欲しかったですね。
はっきり言って、ジュノがウンスに惹かれたのは理解できなくはないけれど、
ウンスがジュノに惹かれる理由がまったく伝わってきません。
映画から伝わってくる”ジュノ”の魅力は、単純に、イ・ドンウクの魅力でしかありません。
ラブストーリー的には駄作で、何のトキメキも感じません。

この映画には、”良さ”があるだけに、残念で仕方がありません。
全てが中途半端で、薄っぺらい。
ほんと余計なものを、すべて削って、丁寧に作って欲しかった。

・ジュノの”謎の男”の設定はいらない
(結局、”てんかん”にあれほど見事に対応できた理由もわからずじまい)
・ウンスの図書館の新たな空間の企画の話もいらない
・ジンムク(てんかんの危ないおじさん)とジュノの会話もいらない

それでもmocaは、ちょっとオススメしたいですねぇ......
韓国映画らしさを、ちょっと味わえる映画です。
韓国ではコケても、日本の韓流ファンには、好まれる方も多いかもしれません。



mocaがお気に入りなのが、↑の2つのシーンです。
”プっ”っと笑ってしまって、このセンスにちょっとヤラれた感じです。
右側のシーンは、ウンスが羨ましい。
ウンスはなんだかんだと、自己中な感じで、自由を感じます。
まぁ、同じ職場だったら、こんな奴は許せん!
って感じですが、ウンスは心根がキレイですからね..... 
許しちゃうかも.....

もう1つ、ペン教授が「おじさん、車どかして!」って怒鳴ったら、相手はヤクザ。
慌てて車の窓を閉めるシーンは、笑いがとまりません。

やっぱり、チャン・ジン監督の弟子だけあり、センスが似てるかも。
テーマを絞って、メローならメロー、笑いなら笑いの商業映画、
丁寧に作ったら絶対に良い映画が作れそうなのに。


さて、これらのシーンは、本編でご確認を。

【キム・ジュ ノ】
日本料理店社長
イ・ドンウク
【チョ・ウン ス】
図書館司書
ユジン
【フンス】
日本料理師
キ・ジュボン
【ソンミ】
図書館職員
チョ・アラ
【キム氏】
図書館警備員
チョ・ドッキョン
【ペン教授】
書道講師
コ・スヒ
【チャボン】
図書館職員
チョン・ホジン
【図書館長】

ユ・テギュン
【がらくた屋】

イ・サンフン

ジュノは、過去の愛に捕らわれている男で、ジュノ自身の魅力を感じる... というか、
ジュノがどんな男かすら感じることのできないほど、キャラの設定がないに等しい。
ジュノは、イ・ドンウクの持つ魅力で押し切った!
という感じです。
これを何の魅力もない男優が演じたら、映画もボロクソになっていたかも。

ちなみにウンスは、原作では8年間図書館に勤務している司書。
ジュノに「年齢も変わらない」と言われ反論するが、逆算すれば、確かに同年代。
ウンスのキャラは、ユジンあってのウンスでしたね。
気が強く、癇癪持ちで、姐さん的で、、だけど心根の優しさを持つ情の深い女性。
どうしても役柄には、本人の人柄が反映されてしまうので、
演じる女優によっては、イヤミな感じになったでしょう。
もっと、「せつない」心情をうまく表現できれば、言うことなしなんですが.....

この映画は、mocaの好きな助演陣が多くて、もう涙が出るほど嬉しー
その一人、キ・ジュボン。
オール・インのように悪役を演じることもありますが、今回のような人情的な役柄がピッタリ。
キ・ジュボン演じるフンスのセリフに、ボロボロ泣かされましたわよ。

天国からの手紙では、キム・ヒソン の父親役を演じておりましたが、
またもや、キム・ジョンングォン作品に登場のチョ・ドッキョン。
チョ・ドッキョン演じる警備員のセリフがまた、心に染みるんですよー
ジュノのスーツをクリーニングしてあげるシーンです。
”韓国の情” ここにあり!という感じ。
何気に、ウンスの自転車のパンクとか直してあげてたりするしね(笑)
いったい何者ぢゃ(爆)

そして、親切なクムジャさんで、刑務所のボス的存在だったコ・ スヒ。
あの何とも言えない強烈な存在感。
でも、なんかフツーのオバさんになってきちゃった.... 残念。
最近見ないなぁ....と、思っていたら、何と!
日本語を勉強して、日本の演劇界に進出しておりました!
日本でも、けっこう認められているようですよ。

チョン・ホジンは、人生の逆転で、キ ム・スンウの子役を演じてたわよね。
こんなに大きくなっちゃって、びっくり。
なんか、クォン・サンウに似てません???
彼は”刑罰”として社会奉仕のために図書館で働いているようですね。

そして、mocaのだーいすきなイ・サンフン。
キム氏漂流記でもチョイ役だし、チョイ役ば かりで、
最近「ウォーリーを探せ」ならぬ、「イ・サンフンを探せ」状態のmocaであります。
キム・ジョングォンは、チャン・ジンの弟子。
イ・サンフンも、チャン・ジン組。
その上、俳優だけでなく、ガン&トークスの助監督を したり、
SPYリー・チョルジン 北朝鮮から来た男で は、特殊メイクを担当したり、
俳優、撮影・演出、など多才さを発揮しております。
この映画でも、撮影部隊に参加したようです。



そして、特別出演のカメオ2人。

mocaのだーいすきなチョン・ウンピョ。彼の笑顔を見ると幸せです。
未だに、ユリョン(幽霊)のチョン・ウンピョが重なってお ります。

ドラマ【ピアノ】の毒蛇のイメージが強いイ・ジェヨン。
やっぱりヤクザ役がオハコのよう?
触ったらバリバリ言いそうなカツラを堂々と被る彼は愛さずにはいられません(笑)


↓  結末までネタバレしますので、十分にご注意を!! ↓

失恋して以来、神経性胃炎に悩まされている
図書館秘書ウンス。
未だに別れた彼を引きずる毎日。

「あ、来てるぞ!」
ある日ウンスは、同僚のチャボンと、ある男を追跡する。
いつも図書館の本を破って持ち帰ってしまうのだ。
証拠の写真も押さえ、男を取り押さえにかかるウンス。

その男ジュノは、あらゆる本の”198ページ”だけを
破り取っていた。

ウンスは警備員のキム氏や、警察を呼び、
ジュノを捕まえる。
捕まえられる際にボコボコに殴られたジュノ。
鼻の骨も折れているのでは?というほどに。
その横暴さを非難するジュノ。
しかしウンスは言い返す。
「おじさんは、れっきとした犯罪者」だと。
絶版の本まで破られ、ウンスは怒りを露にする。
館長も怪我をさせてしまったジュノを労わりながらも、
優しく諭す。
「必要なら、メモを取るとか、コピーをするとか....」
それを聞いたジュノは驚く。
コピーできることすら知らなかったのだ。
「コピーしていいんですか?」
その言葉にウンスは呆れ果てる。

とにかく、ジュノへの怒りが解けないウンスは、
同僚のソンミに愚痴る。
「平日にスーツで図書館に来るなんて失業者ね」
ソンミは言い放つ。
早速ジュノは、本のコピーを取りに、
図書館にやってくる。
ウンスは、ジュノが破いた本の修復中。
修復は面倒だし、紙で何度も手を切り、
ジュノの顔を見て、イライラして睨み去って行く。
ジュノの顔など、苦々しいだけだ。
しかし、長年図書館に通っている
ちょっと精神に問題のある中年男ジンムクが
突然泡を吹いて倒れた。
(この泡がまた... 偽物バレバレで....)
咄嗟にジュノが抱きとめ、手際よく応急処置を施す。
ウンスはオロオロするばかり。



ジュノの機転の利いた対処で、ジンムクは大事に至らず、
救急車で運ばれていく。
しかしジュノのスーツは、
ジンムクが吐いた泡で台無しだ。
ジュノを見直したウンスは、ジュノにハンカチを差し出す。
「あのおじさん、ここに8年も通ってるの。
こんなことは初めてなんです」
ウンスは、ジンムクの発作に驚いたことを話す。
「てんかんの人は、自ら注意するから」
ジュノの言葉に、ウンスはますますジュノを見直す。
「ついて来て」
ウンスは、ジュノを図書館の外へ連れて行く。
ウンスに頼まれ、警備員のキム氏が、
ジュノの汚れたスーツを、キレイにクリーニングしてくれた。
ジュノはお金を払おうとするが、キム氏は制止する。
「私がクリーニング屋のオヤジに見えるか?
あんたが大仕事をしたから、俺が助けたんだ」
と、キム氏は笑って諭す。
「なぜ、198ページだけなの?」
ウンスは、ジュノに尋ねる。
さっきのおじさんもそうだけど、
たまに正常じゃない人も来るの。
あなたも「そちら側の人」だと思って....
ウンスの聞いたジュノは、不愉快になる。
「そちら側って、これ?」と、
頭の横でクルクルと輪を描いてみせる。
(クルクルパーのように)
ウンスは、申し訳なさそうに頷く。
ジュノは呆れて笑う。
「これ(クルクルと輪を描く)じゃなければ、
何か手伝えるかもしれないでしょ?」
ウンスは申し出る。
しかしジュノは、丁寧に辞退する。
ウンスは「イヤならいいけど」と、去って行く。
その時、キム氏がジュノを追ってくる。
ポケットに、黒いネクタイが入っていたのを
渡すのを忘れたと。
「いつも黒いスーツだから、そっち(ヤクザ)の人かと。
葬式でも行ったのかい?」
キム氏は尋ねる。
ジュノは、黒いネクタイを見て、何かを思い出す。
そして、ウンスを振り返り、呼び止める。


「198ページを見て。あなたに伝えたい言葉が、そこにある」
ジュノは、そう書かれたメモをウンスに見せる。
「面白いわね、けど、何の本だか聞けばいいじゃない?」
ウンスは尋ねる。
「連絡するのはダメなんだ。去ってしまった」
ジュノは答える。
「どこに?」
ウンスは尋ねる。
「どこというわけじゃなく....」
それを聞いたウンスは、「あぁ、フラれたのね」と解釈する。
ジュノは答えない。
「この図書館でいつも本を借りてたんだ。それで....」
ジュノは語る。
「それで?」
ウンスは促す。
答えないジュノに、ウンスは尋ねる。
「それで、ここにある本を片っ端から探そうと?」
「他に方法がないだろう?」
ジュノは答える。
「窓際の何だっけ?教養と哲学は、ほぼ探した」
自慢げに話すジュノに、ウンスは呆れて笑い出す。
「その人、何て名前?」
ウンスは尋ねる。
「なぜ、そんなことを?」
ジュノは訝しがる。
「名前がわかれば、貸し出した本がわかるでしょ」
ウンスは呆れながら答える。
「そんなことをどうやって?」
ジュノは、心から驚いたように尋ねる。
ウンスは呆れて言葉も出ない。
「本当に?」
驚いたり、喜んだり、
そんなジュノに、ウンスは呆れ果てる。

ウンスは早速パソコンで検索してやる。
しかし、総貸出数が、976冊だと。
「いいわ、明日は休館だから今夜探してあげる」
ウンスは、ジュノの手伝いを引き受ける。
その夜二人は、ジュノの元カノ、ミンギョンの借りた976冊の中から、198 ページの謎を探し始める。
しかし、なかなか「これ!」というものがみつからない。
結局、みつからないまま、朝になってしまった。







手伝った御礼に食事をご馳走になるウンス。
酒に酔ったウンスは、言い放つ。
「もう探すのはやめろ」と。
離れたのは体だけじゃなく、心もだと。
しかしジュノは認めない。
「突然離れた理由がない」
ウンスは、更に諭す。
「好きに理由がないように、嫌いになるにも理由がないの。
ただ、おじさんのことが”何となく”全てイヤになったの」
ウンスの言葉に、ジュノは深く傷つく。

「キム社長!」
ジュノは突然、見知らぬ男から呼び止められる。
「いったいどうなってるんだ?店にも出ないで。
キム社長に会おうと、何度足を運んだことか」
しかし、ジュノは男の言っていることも理解できない。
ジュノは、精神疾患を患っていた。



ジュノが、図書館の会員登録を希望してきた。
借りたい本があると。
「この本でした、198ページ」
ジュノは一冊の本を差し出す。
「1年になった日彼女は初めて出会った入り江で待った」
そこには、そう書かれていた。
「俺たちも入り江で出会ったんだ。明日は、出会って1年だ。
198ページなら、19時8分。太陽が沈む時間」
ジュノは嬉しそうに解釈してみせる。
翌日、ジュノは入り江でミンギョンを待った。
しかし、その日は暴雨。
暴雨の中、黙ってミンギョンを待ち続けるジュノ。





ペン教授と飲みに行ったウンス。
しかし、雨の様子が気になって仕方が無い。
ペン教授の話にも、上の空だ。

見かねたペン教授は、ウンスを諭す。
「恋愛もうまくチョイスしないと。
あのしつこそうなチンピラが好きなんだって?」
それを聞いたウンスは憤慨する。
「なんで私が!」


結局ジュノは、ミンギョンには会えなかった。
198ページは、あの本ではなかった。
19時半ではバスもないのに、
一人で入り江に佇んでいるジュノを心配した、
近くの店の店主に救われたのだ。
「最近、流れ者がそこで自殺した」と。
ジュノのことを心配したのだと。



ある日ウンスは、移動図書館の当番となり、
あるマンションで貸出の受付をしていた。
その時、ジュノがマンションから出て来るのを目撃。
しかも黒塗の高級車で、いかにもヤクザという子分らに
案内されながら車に乗り込んでいった。
ウンスは驚愕する。
ジュノは、やはりヤクザ?


しかしジュノは、日本料理の調理師で、
非常に名高い腕前を持つ料理人だった。
ジュノの腕に惚れこんでいるソン会長が、
自分の誕生パーティーで、
ジュノに料理を依頼したのだった。




しかしジュノは、包丁を握っても、
躊躇して、さばくことができない。
ジュノを心配そうに見守る弟子のチョル。
ジュノはチョルに料理を任せて、自分は指導に回る。
それを見たソン会長は、「どうしたのか?」と、案じる。
「今日は、私の弟子の腕前を見て頂けないでしょうか?」
ジュノは取り繕ったように説明する。
ソン会長は、「よかろう」と、受け入れる。
ソン会長はジュノを諭す。
「事故のことは聞いた。これからどうする気だ?
社長は、まだ若い。立ち直らないと」
それを聞いたジュノは動揺し、
社長の前で酒をこぼし粗相してしまう。
ミンギョンにも会えず、仕事でも失敗し、
落ち込んだジュノは、図書館のウンスの元を訪ねる。
「正直、本当は違うんじゃないかと思ってたの。
でも、落ち込むと思って言えなかった」
ウンスは語る。
気落ちするジュノを見かねたウンスは尋ねる。
「その人、キレイなの?」
「キレイだよ、特に笑うと」
ジュノの表情に、笑みが戻る。
のろけるジュノをウンスは茶化す。
「あばたもエクボっていうしね」
ウンスは、家を訪ねたら?と促す。
しかし、ジュノは家を知らないと言う。
春川に住んでいて、いつも家の近所で別れたから、と。
ウンスは規則を破り、ジュノのために
ミンギョンの春川の住所を調べてやることにする。
「これがバレたら、私はクビだわ」
ウンスはジュノに資料を渡す。
「大丈夫です、僕はあなたの思っているような常識の欠けた人間ではないですから」
と、ジュノはウンスを安心させる。
「とにかく、ここでこうして探さず、
本人に直接確認して。
なぜ、離れたのか?198ページは何なのか?」
ウンスは、励ましの声をかけ去って行こうとするが、
ジュノが引き止める。
「ミンギョンが自分を無視しそうで一人で行けない。
一緒に行って欲しい。お願いします」と。
結局、ジュノに同行することになってしまったウンス。



そこへ、偶然別れた元カレと遭遇する。
「あの男だれ?彼氏?」
元カレに聞かれ、
「知らない人」と、ウンスは咄嗟に嘘をつく。

電車の中で、ウンスはジュノに指摘される。
「坊主は、自分の髪は剃れない」
それが、まるでウンスのことのようだと。
人の恋には強気で説教するくせに、
自分の恋は、どうすることもできない。
ミンギョンの家の前までやってきた二人。
「やっぱり、これ以上は....
それに、一緒には帰れないでしょ?」
と、ウンスは家の前で帰ると言い出す。
ジュノも、ウンスの意思を受け入れる。
しかしウンスはジュノが気がかりで、
思わず電柱の影から見守ってしまう。
一人先に駅に戻ったウンス。
すると、ジュノもすぐに駅に戻ってきた。
ウンスは悪い予感を感じる。
「もしかして... 門前払いとか?二度と現れるな!とか?」
ウンスは、気まずそうに尋ねる。
それを聞いたジュノは、おかしそうに笑い出す。
「とうとうおかしくなった?おじさん...」
ウンスは、気の毒そうに言う。
「引っ越してたよ、家族全員」
ジュノは、あっさり言う。
「どこに?」
ウンスは気まずそうに尋ねる。
「わからないよ」
ジュノは、あっさり答える。
その場の空気を変えようと、ウンスは言う。
「お腹すいた」
ジュノは駅の周りを見回して、ウンスに言う。
「もうちょっと我慢して。着いたらおいしいものご馳走する」

電車に揺られながらの岐路。
疲れたジュノは眠ってしまい、ウンスに寄りかかる。
密接するジュノに、ウンスはドギマギしてしまう。


閉まっている日本料理店に裏口から招き入れられ、
訝しがるウンス。



ジュノの弟子チョルが出てきて、魚をさばこうとすると、
奥からジュノが制服を着て出てきた。
しかも、魚をさばくことができなかったジュノが、
自らさばくと、微笑む。

久しぶりに料理をしているジュノを見て、
フンスは安堵する。


ジュノは、見事に刺身を仕上げる。
刺身、たたき、天ぷら....
ウンスは、並べられる豪華な料理を前に、
喜びを隠せない。
フンスが前掛けをかけ店に入ってくると、
ジュノにウンスの横で相手しろと合図をする。

「ありがとう」
ジュノはウンスに礼を言う。
「それは普通エンディングに出てくる言葉では?」
ウンスは「ありがとう」の意味が気にかかる。
「もう、やめようと思って」
ジュノは答える。
「全てが錯覚だった。錯覚が執着を生み、
君が言うとおり、ミンギョンは、ただ去ったんだ」
そんなジュノをウンスは励ます。
「でも、違うかもわからないじゃない?」
しかし、ジュノはもう決意した。
ウンスは、ジュノが気にかかる。
弟子のチョルが言い出す。
「師匠がこんな風に笑顔を見せたのは久しぶりだ」と。
ジュノは、チョルの言葉に心が痛む。
店を閉めると、ジュノとフンスは酒を酌み交わす。
「ごめんなさい、おじさん。
僕のせいで今まで辛かったでしょ」
フンスはジュノの気持ちを深く受け止め、
ジュノにある話を聞かせてやろうと、語りだす。


お前の父親が天国に行く時、
俺にあるものを与えて逝った。
俺にとっては全く重要なものでなく、
あいつにとっては、よほど大切なものだったのか.....
お前の父親と俺は、50年来のライバルだ。
それで、受け取った。
それは普通、気にもかけないもので、
途中で捨てようと思ったこともある。
しかし不思議だが、時間が経つにつれ、
俺にもわからないが、
それは、俺にとっても大切なものになった。
それが何だかわかるか?

フンスの話を聞き、ジュノは涙をこらえながら頷く。
お前のせいで辛かったと?
辛かったさ。
息子がこうして胸を痛め、あちこち彷徨い.....
だとしても、
お前よりも辛かったと?
心配するな。
月日が経てば、記憶は残るが、痛みは消えるから...

フンスの言葉に、ジュノは大粒の涙をこぼしながら、
何度も頷く。
失恋以来、憂鬱だった毎日。
しかし、ジュノと過ごした一日により、ウンスは変わった。
憂鬱な朝も、始まりの朝となり、
毎朝すれ違う女子高生をからかったり、
毎朝通った薬局をそのまま素通りしたり.....
そしてウンスは、ジュノのために
残りの本の198ページを全てコピーした。
そしてジュノのマンションを訪ねるが、
ジュノは数日留守にするようだと。
せっかくの本のコピーを渡せず、ガッカリするウンス。
そしてウンスは、思い切って元カレを訪ねる。
ジュノに言った言葉は、自分に対する言葉だったのだ。
元カレはなぜ去って行ったのか.....
ウンスは、そのことに胃炎になるほど悩まされていたのだ。
自分も、ハッキリ決着をつけないと。
しかし呼び出した元カレが現れると、
すぐさま今の彼女から携帯に電話が入る。
「今、教授と話してるところ」
自分のことを”教授”と嘘をつかれたことで、
ウンスは全て目が覚める。
「聞きたいことがあるんだろ?」
と引き止める元カレをよそに、「もういいの」と、去って行く。
そして帰り際、振り返り言葉をかける。
「せいぜい、頑張れよ!」
ウンスはジュノの言葉を思い出す。
「錯覚であり、執着だ」
ウンスは、ジュノの言葉は正しかったと、
元カレに会って実感する。
「何で、こんな男が好きだったのだろう」と。

※ここでウンスが言っている
「잘 먹고,잘 살아라!(チャル モッコ、チャル サララ)」
は、ジュノがミンギョンに会った時に言いたいと言った
言葉と同じです。
ですが、同じ言葉なのにシチュエーションにより意味が
変わるんですね。
「せいぜい、よく食べて、元気に生きろ」と。
ジュノは素直に「よく食べて、元気に暮らせよ」という意味で、ミンギョンに伝えようとしたのに対し、
ウンスは嫌味を込めて、言っています。
「せいぜい勝手に生きろ」とか、「私がいなくても、せいぜい頑張れ」とかいう嫌味になります。
これは、別れ際の捨て台詞で使います。
元カレの実態を垣間見たウンスは、
「あんたなんて、もう好きじゃない」
という意味で使ってます。
いつになっても、図書館にやって来ないジュノを想い、
ウンスは、せつなくなる。
ジュノに会いたい....


ペン教授の書道講座。
神経性胃炎を患っていた頃は、
「心も目も曲がってる」と、ペン教授に指摘されていたが、
心のつっかかりが取れたウンスは、書道に集中する。
「心も目もまっすぐになったわ」
と、ペン教授に褒められる。
鏡に貼っていた元カレとのツーショット写真も始末した。

ある日館長から、長期延滞者へ返却の催促をするよう指示が出る。
リストを見たウンスは驚愕する。
そこに、ミンギョンの名前があったのだ。

ウンスは躊躇しながら、「延滞者の催促」の名目で、
ミンギョンの引越し先の住所を手に入れる。
しかし、あれ以来ジュノは図書館にやってこない。
しびれを切らしたウンスは、自らミンギョンに電話をかける。
「市民図書館ですが...」と、催促を名目に。
しかし、その電話により、驚くべき真実を知ることになる。



↓  未見の方、この先キケン! ↓



マンションにも図書館にも姿を現さないジュノ。
ウンスは思い切って、ジュノの店を訪ねる。
フンスが出てきて相手をするが、
この日本料理店は閉店することになっており、
もう片付けも終わったと語る。
ウンスは閉店の理由を尋ねる。
「ジュノがどうしても閉めたいと。
日本に行って、修行し直すのだと」
フンスは答える。
ウンスは思い切ってフンスに尋ねる。
「もしや、ミンギョンさんを御存知では?」
ウンスの言葉に驚いたのはフンスの方だ。
「なぜ、ミンギョンを知ってる?」と。
フンスは語る。ミンギョンのことは、よく知っていると。
「言いづらいのですが....
ソ・ミンギョンさんは、2ヶ月前にお亡くなりに....」
ウンスは、告げる。
しかしフンスは、全く動じない。
少し考えた後、「知っている」と、告げる。
その言葉に、ウンスが驚いてしまう。
「では、なぜジュノさんはそのことを知らないので?」
フンスは、真実を語り始める。

医者はもう完治したと言っている。
私から見ても、よく話すし、機嫌もいい。
だが、あの事故以来、ジュノが料理をするのは、
君が店に来た日が初めてだった。
ミンギョンはジュノが大好きで、
互いに心から愛し合っていた。
傍から見ても、お似合いの二人だった。
そして、春川のミンギョンの家に挨拶に行く途中、
事故に遭った。

自分だけ助け出され、
ミンギョンだけが亡くなり、車に取り残された....
「ミンギョン!ミンギョン!」
と、必死でミンギョンから離れようとしなかったジュノ。

そして、一人助かってしまったジュノは、
事実を受け止めきれない。
そうして、精神的に異常を来たした。






魚をさばこうとしても、大量の血を見て、
朦朧となってしまう。
そのうち、痴呆症のようになってしまい、
記憶障害が起きた。
フンスの顔さえ、時々忘れてしまうのだと。
そしてジュノは入院した。

真実を知ってしまったウンスは、
どうすべきなのか思い悩む。
せっかく引越し先の住所を手に入れても、
逆にジュノを苦しめることになるだけではと。
しかしウンスは、ミンギョンのことが気がかりで、
寝付かれないほどだ。
仕事も手につかない。
ウンスは、思い切ってミンギョンの家を訪ねることにする。


遺影のミンギョンの笑顔。
「キレイな人....」
と、ウンスは素直に漏らす。
あの日、ジュノが言った通りだった。

ウンスは、ミンギョンが最後に借りた本を
家族から返してもらう。

「人間が逝けば、それだけだと思っていたのに、
こんな風に傷跡が、たくさん会って....」
ウンスは、その言葉に、胸が痛む。










ミンギョンが最後に借りた本。
ウンスは期待してページをめくる。
しかし、その本は196ページで終わっていた。
この本でもなかった......
ウンスは、ガッカリする。






その頃ジュノは一人、
(たぶんミンギョンと出会った入り江で)
心の整理をしていた。
ミンギョンの残していったメモ。
「198ページを見て。
あなたに伝えたい言葉がある.....」
そのメモを、海に向かって破り捨てた。











旅から戻ったジュノを、ウンスは呼び出す。
すっかり整理して、スッキリしたような表情。
以前のような暗く不安げなところも消え、
落ち着いて、大人びて見えるジュノ。
ウンスは、そんなジュノに違和感を感じる。
「新しく始めようと思って。
過ぎたことは忘れ、以前の自分も全て....
そう考えたら、少し変わったよ。
ミンギョンもそうだったように、俺も彼女を愛してなかった。
それで間違いないんだ。ウンスさんもそう考えて」
ジュノは告げる。
「来週、日本へ行く」
ジュノは、あっさりと告げる。
「何か話したいことがあったんじゃ?」
ジュノはウンスに尋ねるが、とても話せる雰囲気ではない。
「お願いがあるの。聞いて、必ず」
ウンスは、それだけ告げる。


そしてウンスは、清平寺の情報をインターネットで調べる。
そして、あたかも何度も参拝しているかのように見せる為、
寺の情報を手帳に書き込み暗記する。
今までは、過ぎ去った思い出を綴るためだけの手帳。
しかし今では、これからの未来に関することを
書き込んでいるウンス。

ウンスはジュノを連れ、清平寺へ向かう。
「たまに来てるけど、女一人だと物騒だから」
と、デタラメの言い訳をするウンス。
「でも安心して。あなたを誘惑する目的じゃないから」
ウンスは告げる。
「ちょっとガッカリだな」
ジュノは、本気とも冗談とも取れない言葉で返す。

「こんないい場所があったなんて」
ジュノは素直に連れて来てくれたウンスに感謝する。
「本当に着たことないの?」
ウンスは尋ねる。
しかし、どう見てもジュノは初めての様子だ。
寺に向かう途中、ウンスは寺にまつわる伝説を聞かせる。

昔、互いに愛し合う男女がいたんだけど、
女が病気になって、先に逝ってしまったの。
独り取り残された男は、女が恋しくて耐えきれず、
人生を諦めようとしたの。
ある神霊の助けで、
辛くて苦しい彼女との記憶を全て消し去ることができた。
だけど、青大将の中に住まねばならないという
代償があったの。
何も知らずに、女の家の周りを荒らした青大将は、
結局、村人達に追われ、この寺に隠れ住んだ。
その後、毎日、毎日、後悔の涙を流したと....
彼女との愛を大事にし、人として生きていくことが、
本当の幸せだったと後悔をした。

その伝説は、まさにジュノに対する話だった。


寺の中を見物する二人。
ジュノは片隅に並べられた位牌棚が気になる。
「苦しみもなく、美しく平和な場所で休まれている方々よ」
ウンスは説明する。
「全て忘れまいと、こうして人々を迎えているのかしら」
ウンスは、語る。

過ぎた愛は、決して変わらないわ。
永遠に、心で生き続けるから....

ウンスは語る。
ジュノは、そこで、信じられないものをみつける。
愛するミンギョンのために自分が贈った霊歌が刻まれた
位牌がそこにあったのだ。
それを見て、涙を流すジュノ。
ようやく真実を受け入れたのだ。
自分はミンギョンを愛していた。
「ごめん。そして、ありがとう。心から....」
ジュノは、ミンギョンに語りかける。

こうして、ジュノの行き先のわからない旅も終わった。
ユジンの心労も、全て消えた。
もう、胃炎に悩まされることもない。







今日も本の整理をするウンス。
しかし、ついつい癖で198ページを開いてしまう。
そして、そこにはジュノからのメッセージがあった。

「まだ198ページを探しているの?
公園のガラクタ屋のおじさんのところに行ってみて。
そこへ、ウンスさんへのプレゼントがあるから」

ウンスは、ジュノからのプレゼントをみつける。
「新装開店まで2日。待ってるよ」
と、デコレーションされた写真だった。
ジュノは完全に立ち直り、
進むべき道を進み始めたのだ。
ウンスは嬉しくなる。

真相開店当日、ウンスはソンミとペン教授を連れて訪ねる。
そこには、落ち着きを取り戻した自然なジュノがいた。



ジュノが店外のベンチで休んでいると、
ウンスが照れながら現れる。



ベンチに並んで掛ける二人。
自然に見つめあい、微笑み合う。

過ぎ去った愛は決して変わらないと言った彼女。
そして、僕の痛みを分け合った彼女が、
こうして僕のそばにいてくれます。
今は、彼女の痛みがどんなものだったのか、
気がかりです。

彼女と共にいるこの時間も、
永遠に暖かく残ることだろう。
彼女が言ったように、過ぎ去った愛は決して変わらない。

END





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